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【完結】1人だけ魔球投げれますが意外としんどい  作者: ぱちぱち


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第122話 わかんないかなぁ君レベルだと

 『僕は魔球を投げたいです』看板は実家の喫茶店にも下げておく。ここは24時間カメラで配信されてる場所だからね。暇人がなんとなく見てるみたいだからそのカメラに映る場所に下げといたら人の目に留まるでしょ。


 あとはちょっとした工作としてセットを頼んだら飲み放題になるスープ釜の傍に僕のエヘ顔ダブルピース写真と僕が作りましたって吹き出しを着けとこう。ごはんのお替りよりもスープのお替りの方が費用対効果は安いからね。今日のスープは僕が仕込んだものだから嘘じゃない、継ぎ足してくのはおかーさんだけども。


 さて、ここからは僕の頑張り次第って感じだね。高野連がなんだかんだ動いたのは、僕たち女子組の実績が凄かったからだ。世界大会優勝とオリンピック金メダル。男女混合のリトルシニアでもトップの成績を収めてる3名は男子と戦う実力がある事も証明してるんだから、僕が柔道でお尻を叩かなくてもその内出場できるようになってたと思う。


 ただ、魔球は別だ。アレは純粋に人の考える範囲の存在じゃないからね。ノリと勢いでマウンドに立ってなんとかなるもんじゃない。もっと世論を。魔球を甲子園で見たいんだって声をいっぱいにしないと、甲子園のマウンドには立てないと考えた方が良いだろう。1球も投げられないんじゃチケットも使えないしね。


 なんなら多分、甲子園のマウンドに立った瞬間に魔球が出る気がする。僕の予感は半々くらいで外れるけど、今回の奴は多分当たると思うんだよね。女神様の我慢的な意味で。



「という訳でどうにかして魔球を1球でも投げられるようにしたいんだよね」


「おう、それは構わんが流石に試合に出る時はその看板外せよ。退場喰らっちまうぞ」


「いや、あれつけて野球やるわけないじゃないですか」


「あれつけて魔球投げてた映像が土曜20時に全国放送されてるけどな」


「あ、ちょうちょ」



 星監督の底意地の悪い発言を必殺ちょうちょで華麗にかわしつつ、僕らの初めての公式戦。夏の県大会が始まった。そして5回で15-0という数字だけでも分かる圧勝劇で試合の膜は閉じた。女子組は僕以外出場すらしてなかったよ。僕? 僕は勿論安定のセンター出場だよ。


 うちは春季大会で頑張ったからシードになってて2回戦からの出場なんだけどね。今日の相手は雑魚田大付属っていう私立で西東京区でも中堅って評判なんだけどうちの打線と田中のケーちゃんの好投には太刀打ちできなかったみたい。参考記録になるけどケーちゃん、5回パーフェクトなんてやっちゃってるしね。


 この打線もあすみちゃんと久留米先輩、それになによりアンジーという主力3名を抜いた上だからね。3人が入ってたらどうなってたか怖い所ではある。トロ子ちゃん? トロ子ちゃんはここぞという時以外じゃ扇風機だからね……


 本当は僕も出ないでもいいかなって話だったんだけど、うちの部活で数少ない3年生残留組の人から「せめて権藤さんと対戦した思い出だけでも残してあげて欲しい」って言われちゃってね。うちの学校の3年生は聖ザの体制が一新する前に入部した人たちで、久留米さん達一つ上の世代が入部した事により出場機会を失った人たちだ。


 割を食わせてしまったわけだから学校側というかブライアン伯父さんが進学先や希望者には就職先まで世話をしていて、ほとんどの人たちはそのまま野球部を止めてしまったけど一部。どうしても野球が好きだからって理由で残っていたのが現在の3年生であり、そんな人たちだからちゃんと部員の皆に先輩と敬われていてまぁ、つまり僕としてはそういう人たちからのお願いは断りたくないんだ。


 という訳で出場した試合なんだけど相手側の3年生の人たちが泣きながら握手を求めてくる姿を見ると胸にこみ上げてくるものがあるよね。再来年の夏、僕らも彼らみたいに涙を流すんだろうな。写真? どんどん撮ってくださいよ遠慮しないで。ポーズ取ろうか? 僕そういうの上手だよ?



「あんたやっぱり、野球やるよりそっちのが向いてるんじゃない?」


「失礼だなぁあすみちゃんは。僕ぁね? 高校まで野球を打ち込んできた人生の先輩たちを少しでも元気づけようと頑張ってるだけなんだよ。わかんないかなぁ君レベルだと」



 最後には泣いてお礼まで言われていた僕に向かってのっぽ女が大変失礼なことを言ってきたので、鼻で笑ってそう口にするととその瞬間に頭をぐしゃぐしゃにしようとしてきた。ふっ、芸の無い女だねあすみちゃんは! そんな攻撃身長172cmになった僕にはまるで効かなうわよせ何をするやめるぉぉぉぉ!!







 やはり身長。身長は全てを解決する。またポイントがどかんと入って来たらどかんと身長につぎ込むことを決意しつつ、僕は自分のステータスを眺める。腕回りは25cmくらいを維持できているから問題なし。後は肩幅だけど、ここはねぇ。肩の可動域の問題も出てくるから難しいよね。


 グレプロ的なステータスで言うと僕の能力値は球速が127がMAX。これは高校に入ってからの身体づくりと身長アップが功を奏したね。コントロールは100段階中の100でS評価を貰ってて、スタミナが82でA評価って感じ。まぁ体周りが大きくならないように体感とか心肺機能を鍛えまくってたからその辺が数字に出てる感じかな。


 真面目な話をすると、出来れば身長は175は欲しいんだよね。逆に180まで行くとアンダースローの方でバランスがどうなるかわかんないから、コントロールを維持するならこの辺が落としどころなのかなって思ってる。実際に180までいっても問題ないかもだけどね。


 成長期的に自然に伸びるのはもう終わった感じがするから、あとは高校3年間でポイントで3cmくらいは伸ばせば僕の身長は完成かな。という訳でそろそろ後回しにしていた体作りに入ろうと思うんだけど、やっぱり僕の身体は筋トレと相性が良すぎるんだよね。1か月の間、適切な休みを取りつつ逆立ち指立て伏せをしてるだけで腕回りと肩回りが数センチ単位で太くなったから、自重せずに筋トレしてたら半年もしないで一ノ瀬さんみたいな人型の熊みたいになっちゃうよ。


 それを防ぐためにもポイントを稼がないとなんだけど、やっぱり野手としての出場だとポイントが寂しいんだよねぇ。1試合で5ポイントくらいはもらえるから5月で太くなった分はなんとか賄えるけど、継続して筋トレをしてたら途端にパンクしちゃうよ。


 なんとかマウンドに立ちたいけど、そうすると魔球の問題がががが。ううん、成長しないよりは全然良いことなんだけど、なかなか悩ましいよねぇ。



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