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映された自分も、私だった

作者: ごはん
掲載日:2025/07/25

いつからだろう、「どう見られているか」が気になるようになったのは。


中川凛なかがわ・りんは、ガラスの自動ドアの前に立ち、ふと足を止めた。ドアに映るのは、控えめな服装と伏し目がちの目元。誰かの目を気にして整えた髪。──ああ、これが「他人に見せる自分」だ。


ふと心に浮かんだ。

この姿は、わたしじゃないのかな。


電車の中でも、職場でも、SNSでも。自分がどう思われるかをいつも意識していた。

優しく、ちゃんとしていて、空気も読める。けれど、それは「見られたがっている自分」ではなく、「悪く思われたくない自分」だった。


けれど、ある日。

後輩の沙耶が、ぽつりと言った。


「凛さんて、すごく優しいけど…たまにすごく疲れてそうに見えます。無理してませんか?」


心臓が一瞬止まりかけて、そして、少し動き出した。

ああ、見られてる。けど、嘘じゃない。


そのとき、ふと思った。


見られている自分は、演じた姿でも、誤解された姿でもある。

けれど、それを「気にしている自分」もまた、まぎれもない自分なのだ。


外に映った自分。

気にしている自分。

そうして、気づいた自分。

すべてが一つにつながって、「わたし」だった。


だから今は、怖がらずに言ってみる。


「私は、思われている自分も、気にしている自分も、まるごと受け入れて前を向く私でありたいです」


ガラスに映った姿は、少しずつ柔らかくなっていた。

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