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同い年  作者: yukko
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嫉妬と独占欲

国鉄・大阪駅へ向かっている時に、人の流れが二人を引き離してしまうと思われた。

その時、川口秀樹は初めて山田浩子の肩を抱き引き寄せた。

「はぐれたらアカンさかい。」と言い訳のようなことを言いつつ、その心の中は………。


⦅……自然やったよな。自然に見えたよな。

 ロコ、嫌がってないよな……。………頬を染めてる……可愛い……。

 アカン、もう絶対に離しとうない!

 このまま、これからも肩を抱けるわ。ロコとの距離縮まった感じやな。

 ……嬉しいなぁ……嬉しい……。⦆


そう思っていることを浩子には知られていない。


⦅付き合ってるけど、まだ、何にも進展してなかったもんな。

 やっと、進展やなぁ……。

 もっと……僕だけのロコに……そんなロコを見たいなぁ……。⦆


そう思っていることも浩子には知られていない。

肩に手を置いて抱き寄せただけで秀樹は天にも昇る気持ちになっていた。


⦅恋って……こんなんやったんやなぁ……。

 今までよりも……嬉しさが違う……これがホンマの恋なんかなぁ……。

 なんか、今までは割と直ぐにキスしたよな。

 けど、ロコに出来へんのは……ホンマもんの恋やからかなぁ……。⦆


と、過去の彼女たちとの差を感じていることも浩子は知らない。



浩子は何故だか嬉しかった。

肩を抱き寄せられて……嬉しかった意味が分からないまま……嬉しさだけが溢れそうだった。

二人のそれぞれの気持ちを乗せて、電車は京都駅に向かった。

京都駅では秀樹の友人夫婦が待っていた。


「待たせたなぁ……。」

「いいよ。今日は特別な日って聞いてたからね。」

「その方ね。婚約者さんは……。」

「うん。僕の婚約者。 名前は山田浩子。」

「初めまして。山田浩子でございます。」

「初めまして。大学時代の悪友です。」

「おい! 僕は悪友じゃなかったぞ。」

「秀樹君!……浩子さん、可愛いわぁ~。」

「そやろ!」

「小さいんだね。身長はどのくらい?」

「おい! 失礼やないか!」

「ええですよ。気にしてませんから……。」

「ごめんな。こいつ!」

「ホンマにええから、気にしてたら今までの支社での……ね。」

「…………。」⦅それは、話をしたくてやった、って言うたやんか。⦆

「146cmです。背が低いので幼く見えるそうですけれど……

 24歳です。」

「可愛いなぁ……。」

「だから! 背が低いから可愛いんやないんや!

 性格が可愛いんや!って……。」

「本当にそうだね。」

「ええ、そうだわ。」

「そやろ……って、知らんくせに……。」

「分かるよ。ほら、彼女、耳まで赤い……。」

「純情なのね。秀樹君にはピッタリだわ。」

「ピッタリ……。」⦅嬉しいわ……。⦆

「もう、ええやろ。」⦅見るなよ! 僕の……僕だけの……。⦆

「何がいいんだ?」

「もう会うたやん。そやから、帰るわ。」

「ええ―――っ! なんでだよ!」

「見るな! 見られたないから帰る。」

「そんな……凄いわね。今までと違いすぎるわ。」

「何が違うんですか?」⦅知りたいわぁ……私の知らない川口君……。⦆

「教えんでエエ!……ロコ、帰ろ。」⦅聞くな! 過去のこと知られたない。⦆

「凄い独占欲! そんなんじゃなかったわよね。」

「うんうん。なかったよな。」

「帰ろ。ロコ……。」⦅ロコに過去の彼女とのことなんか知られとうないわ。⦆

「待って。お願いやから……私、知りたいん。か……えっと……。」

「何?」

「ひ……ひーくん…のこと、知りたいねん。」⦅言えた。⦆

「ねぇ、また耳まで真っ赤よ。可愛すぎるわ。」

「本当だな。」

「見るな!って言うてるやろ。」⦅今、ひーくんって呼んでくれた。⦆

「連れて帰ってしまいそうだから、大急ぎで言うわね。」

「止めろ!」

「秀樹君、今までの彼女にはそんなに独占欲なかったのよ。

 だから、誰にでも会わせていたし…………

 彼女が誰といても嫉妬した姿を見てないの。私達。」

「そうそう。だから、ビックリしたんだよ。

 浩子さんは秀樹から愛されてるよ。」

「……そう……だったん……ですね。」⦅ホンマに?⦆

「ああ―――っ! 止めてくれ。ロコ……。」⦅耳まで真っ赤や。ロコ……。⦆

「本当です。まぁ、その彼女たちの中には他の目的があって近づいたのもね。」

「秀樹も愛されてるな。さっきから真っ赤になってばかり……。

 恥ずかしさと嬉しさが混在かな?」

「本当に良かったわ。お相手が浩子さんで……

 婚約、おめでとうございます!」

「本当に、おめでとう! 良かったな。秀樹!」

「……ありがとう。……ほな、帰るわ。」

「おい! 夕食くらい一緒に……。」

「否、止めとく。身が持たん。」

「そうか……。では浩子さん、次は結婚式かなぁ~。」

「……はい……。」

「秀樹! 独占欲強すぎると振られるからな。

 ほどほどに……!」

「そうよ。ほどほどに、ね。」

「分かった! 五月蠅いなぁ……。

 ……披露宴、来てや。 式は天満宮でするさかい。

 家族親族だけになると思う。」

「おう! 分かった。二次会の準備は?」

「会社の同僚がしてくれる。」

「そうか、そこに入らせて貰えるように伝えておきたいなぁ。」

「僕から頼んでおくわ。ほな、な。」

「おう!」

「披露宴、楽しみにしてるわよ。」

「ありがとう。……今度こそ帰るわ。」

「うん。」


秀樹は大きく手を振り別れを告げている。

その隣で浩子は頭を下げている。

秀樹に肩を抱かれたままだったことに、その時、気付いた浩子である。

秀樹が抱き起こすようにすると浩子は頭を上げて、二人で友人夫婦の見送る中、京都駅の大阪方面行のホームに向かった。


「二次会? 同僚って、誰のこと?」

「山本さんたち。」

「いつの間に?」

「告白したって報告した時。」

「そんな時から?」

「うん。……ごめんな。まだOKして貰うてなかったんやなぁ……。

 僕、告白した時にプロポーズもしてしもうたから、もうOKやと……

 そない思ってたさかい。」

「それは……私が分かってなかっただけのことやし……ボンヤリさんやから。」

「そこが、ええんやけどな。」

「ボンヤリが?」

「うん。ボンヤリだけやない所が……好きなんや。

 気遣いも出来るし……人の悪口言わへんし……。」

「……そんな……悪いことも、いっぱいやのに…。」

「それは誰でもや。けど、直す努力とか誰にでも出来ることやない。」

「……恥ずかしいから……もう……。」

「分かった。」⦅真っ赤や。ホンマに恥ずかしいんやな。⦆

「家まで送った時に、お父さんとお母さんに……おっと、忘れたらあかんな。

 お父さん、お母さんと幸一郎君に挙式と披露宴のこと話すわ。

 話し終えたら帰るな。」

「うん。ありがとう。」

「これから、忙しゅうなるさかい。」

「うん。」

「お互いに身体には気を付けて過ごさなな。」

「うん。……ひ……ひーくん、も気ぃ付けてね。」⦅なんとか呼ぶこと出来た。⦆

「うん。ロコも……。」⦅ひーくん呼び! 嬉しい!⦆


二人は浩子の家に帰り、挙式と披露宴について話をした。

そして、両家の顔合わせの日取りを決めた。

秀樹は翌週の日曜日を提案した。

場所は秀樹の自宅だという。

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