呼び方
初デートの後で、同期の安西道子から電話を貰った。
川口君とのことを話してなかったので、知っていて驚いた。
「なんで、話してくれへんかったん?」
「いやぁ~~っ、なんとなく?」
「なんとなくって、もうホンマに……。
雅美ちゃんから聞かへんかったら分からへんままやったわ。」
「雅美ちゃん……」
「橋口君から雅美ちゃん、ほんで雅美ちゃんから私と優ちゃん。」
「優ちゃんも知ってるん?」
「そりゃそうやよ。」
「色々あってん。」
「聞いた。それも含めて私が代表で聞くことになってるねん。」
「はぁ………。」
「橋口君からの話やと、ややこしい子が居ててんな。」
「ややこしい子……ちゅうか……なんやろ?」
「先ずは、そのこと忘れて! ほんで、彼と仲良うな。」
「うん。……あのな、相談なんやけど。」
「相談? なんえ?」
「付き合ってる時、安西君のこと何て呼んでた?」
「呼び方?」
「うん。川口君やない呼び方して欲しいって言われたんよ。」
「そりゃそうやな。うちは、和君やったわ。今はお父さんやけど……。」
「和君……。」
「何て名前なん?」
「秀樹……やねん。」
「単純に秀君くらいしか浮かばへんわ。」
「そやね。」
「で、何て呼んでるん?」
「お兄ちゃんって呼びたい!言うたら、次にデートの日までに別のに…
そう言われたわ。」
「お兄ちゃん! なんや、それっ!」
「可笑しい?」
「可笑しいわ。それやったら、秀君の方がええわ。」
「秀君……は、恥ずかしいから嫌やわ。」
「何言うてんの。秀君って練習しいや。」
「秀君?……やっぱり恥ずかしいわ。」
「もお~~っ、秀君一択や。練習しとき。」
「ええ―――っ!」
「練習したら出来ますのえ。
まぁ、頑張って!」
「…………。」
秀君と呼ぶ勇気はなかった。




