表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
同い年  作者: yukko
54/81

待ち伏せ

電車の車窓から流れる景色をぼんやりと見ながら、佐藤信子は⦅あんな会社に居とうないわ。⦆と思っている。

会社を寿退職したいと……そのためにも⦅本社勤務の川口秀樹と結婚したい。⦆と思っている。

早く本社に着きたい想いで心は急いていた。

川口秀樹の姿を思い出しながら、⦅作業着姿もカッコ良かった。けど、スーツ姿はもっとカッコええ。⦆姿を思い出す度に胸が高鳴る。

⦅あぁ……これが恋なんや。秀樹さんって早よ呼びたいなぁ……。私のことは何て呼んでくれはるんかなぁ? 早よ本社に着きたいわ。⦆などと夢見心地で車窓の傍に立っている。

1時間後に本社に着いた。

着いたが、川口秀樹がどの課に居るのか分からない。

全く何も分からないまま電車に乗ったのだ。

⦅どこに居はるのか分からへんけど、運命の人やから必ず会えるわ。信じてるもん。けど、どこで待ってよかなぁ……正面玄関やな。そこで待ってよ。⦆と正面玄関で立って川口秀樹が通るのを待っていた。

暫くすると、受付が声を掛けて来た。


「あの、何か御用でございますか?」

「はい。川口秀樹さんに会いに来ました。」

「どちらの課の川口でございますか?」

「それが分かりません。」

「左様でございますか。

 お客様のお名前を頂戴したいのでございますが……宜しいでしょうか?」

「はい。私は佐藤信子です。」

「佐藤信子様でございますね。」

「はい!」

「暫くお待ちくださいませ。」

「はい!」⦅良かったぁ~。これで会えるわ。⦆

「川口秀樹に連絡いたしました。

 暫くこちらでお待ちくださいませ。」

「はい!」⦅秀樹さん! 秀樹さんにやっと会える!⦆


暫く待つと、会いたくて会いたくて夢にまで見た川口秀樹がやって来ている。

信子は嬉しさに飛び上がらんばかりになっていた。


「佐藤さん?」

「はい! お久し振りです。」

「ああ……久し振りですね。

 何か本社に御用ですか?」

「本社に用はありません。」

「用がない?」

「はい! 秀樹さんに会いに来たんです。」

「えっ? 僕に?」

「はい。秀樹さん、私は秀樹さんのことが、す」

「ちょっと待って! あっちで話を聞くから……。」

「はい!」


秀樹が歩く後ろを付いて歩く……凄く嬉しい。⦅幸せ~。⦆と感じている。

本社にある1階のカフェに入った。

席に座ると秀樹は「アメリカン。」と言って注文した。

真似て「アメリカン。」を注文した。

もう同じ物を飲むというだけで胸はより一層高鳴った。


「……あのね。」

「はい!」

「僕には彼女が居ます。」

「かのじょ……。」

「はい。とても大切な女性です。

 だから、申し訳ないですが、貴女のお気持ちを叶えることは出来ません。」

「嘘よ!」

「嘘ではありません。

 彼女とは結婚も考えています。」

「そんな……嘘! 嘘に決まってます。」

「ですので、このままお帰り下さい。

 貴女には申し訳ないと思いますが、僕の心は彼女のものです。」

「そんな………。」

「気を付けて帰って下さい。

 では、失礼します。

 あ!……もう二度と再び、僕の前に現れないでくださいね。

 仕事中に本社に来られても困ります。

 よろしくお願いします。」


そう言って秀樹は席を立って行った。

残されたのは佐藤信子と、飲みかけのアメリカン…と一口も付けていないアメリカンだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ