参謀
タバコを薫らせている4人が座っていると、もう誰も来なかった。
タバコの煙が嫌な女子社員は敬遠するし、座る場所を4人に陣取られていると誰も入れなかったのである。
その中で年長者の金沢が他の3人を引き連れているように見える。
その金沢が最初に口火を切った。
「さぁ……どないする?」
「問題は、あの佐藤さんですね。」
「うん。何をするか分からんからな。」
「まぁ、川ぐっちゃんに惚れてるからな。」
「佐藤さんに知られずに川口君と連絡を取りたいな。
……山本君。仲良かったな。」
「はい。」
「家に電話架けたことあるか?」
「無いです。」
「そやろな……。」
「俺で良かったら、電話架けますよ。」
「ほな、連絡係は山本君で!」
「はい!」
「あの……喉、乾きません? 俺、ジュース飲みたいんです。」
「ほな、買っておいで。」
「俺の分も頼むわ。」
「ほな、俺と行こか?」
「小野さん! 優しいなぁ~。」
「金沢さんの分も買ってきますよ。」
「ほな頼むわ。」
「俺は…コーヒー。」
「俺も同じで!」
「ほな、俺も同じで。」
「3人同じですか?」
「せやな。」
「ほな、俺はオレンジジュースにしよ。」
「山もっちゃん、お子ちゃまやな。」
「そうですよ。この作戦練ることにワクワクしてる子どもです。」
飲み物を買い、再び作戦を練る4人だった。
「このままやったら、なかなか誘われへんなぁ。」
「せやな。所属が違うって困るな。」
「自然に会う機会を作るしかないな。」
「やりましょ! それっ!」
「山もっちゃん、やる気満々やな。」
「ワクワクしますわ。」
「もうすぐ祇園さんやな。祇園さんに誘うか?」
「ええですね。祇園さん。」
「7月やしな。けど、誰が行くんです?」
「みんなで行ったらええ!」
「うう~~ん。俺、言いにくいです。妻に。」
「そうやなぁ~、言いにくいわな。」
「子どもを妻の両親に見て貰って、夫婦で参加とかは?」
「それがエエなぁ。妻孝行やし、妻の両親に対しても孝行出来る。」
「それで行こ。……後は、山田さんだけを誘ったら来て貰えへんかもしれんな。
それはアカンから……田口さんも夫婦でどうぞって誘うか?」
「それ、ええですね。」
「ほな、山本君は川口君の家に電話して!」
「はい。」
「ほんで、女性二人には、俺から誘うわ。
それでエエな。」
「はい。金沢さんにお願いします。」
「うわぁ~~っ、ワクワクする。
なんか、こう……中学生みたいですやん。友達のために動く中学生。」
「中学生?……せやな。中学生や。俺ら……勝手に応援する中学生。」
「ジュースとコーヒーですもんね。アルコール抜きやから中学生や。」
「ええか? 昼休みが終わるまでに決めなアカンさかいな。」
「はい。進めてください。」
「ほな、後は日にちを決めよ。祇園さんは1か月掛けて行う祭りや。
ちゃんと日にちを決めなアカン。」
「ほな、いつにします?」
その様子をガラス越しに見ていたのが、中野主任だった。
中野主任は席に戻ると、大きなため息をついた。
「どないした? 中野君。」
「西川主任、あの…うちの若い者。
なんか知らんけど、集まってますわ。」
「集まってるのは、いつものことや。」
「なんか違いますねん。悪だくみしてる生徒みたいです。」
「そうか……まぁ、高校生に毛が生えたようなもんやしな。」
「ホンマにそうですわ。」
「中野君から見てもそうかいな?」
「そりゃあ、息子みたいなもんですから。」
「そうや。息子らや。」
「それはそうと……あの子、なんとかならんかなぁ。」
「あぁ……あの子は、困りますね。」
「急に主任からなんか言われたら嫌やろうから……
先ずは山田ちゃんから注意してもらおか。」
「そうですね。それでも変わらんかったら出ますか?」
「せやな。ほな、山田ちゃんに頼もか……。」
「はい。」
西川主任が山田浩子を呼んだ。




