表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
同い年  作者: yukko
39/81

駅までの道

終業時間になり机の上を整理して帰る支度をしていると、弥生ちゃんが佐藤さんに「あれっ? 残業?」と聞いていた。

初めての残業をするようなので、弥生ちゃんが「これは明日でもエエねんで。」などとアドバイスをしている。

佐藤さんは何故だか「いいえ、残業します。田口さん、先に帰って下さい。」とはっきり言った。

弥生ちゃんは「そう? 無理せえへんように、気ぃつけて帰ってね。」と声を掛けていた。

弥生ちゃんと二人で、係の人たちに「お先に失礼します。」と言い、更衣室に向かった。

フロアを出るなり弥生ちゃんは「けったいですわ。」と言った。


「そうやね。けったいやね。」

「はい。けったいです。今まで仕事があっても絶対に残業せえへんかったのに!」

「そやね。………私、声掛けへんかったけど悪かったかな?」

「気にせんでもエエんと(ちゃ)いますか。

 もう早よ帰ってほしいって顔してましたもん。」

「そんな風に見えたんや。」

「見えました!

 ……なんや、怖いです。嵐が来そうですね。」

「そんな台風みたいに言わんでも……。」

「いや、あの子は台風になりますわ。きっと……。」

「弥生ちゃん、早よ帰ろ。お腹の子のためにも!」

「はい。」


服を着替えて会社を出た。

弥生ちゃんと二人で駅まで歩いた。

駅までは20分掛かる。


「佐藤さん、きっと狙ってはるわ。」

「何を?」

「川口さん!ですよ。」

「川口!……君を?」

「はい。そやかて、率先して挨拶したり、お茶出したり……。

 残業も怪しいもんです。」

「怪しいって……?」

「残業せえへんでもエエのに、してはるんやと思います。」

「なんで?」

「川口さんと話すため……やないかと思います。」

「……まさか。わざわざ、そんなこと……。」

「やる子や!と私は思いました。」

「弥生ちゃん、週刊誌の見過ぎやない?」

「そうかなぁ~?」

「佐藤さん、仕事覚えて意欲が出てきただけやと思うわ。

 私もそうやったもん。」

「そうですか? そうかなぁ~?」

「それよりも、今日は何やったんやろ……。

 あの現場、私の担当で申請書、書いたから気になるわ。」

「新工法の見学やったって言うてはったから、山田さんが気にせえへんでもエエん

 と(ちゃ)いますか?」

「そうやけど……気になるなぁ。」

「鈴木さん、新工法の見学やった!って言うてはったから、ホンマに気にせんでも

 エエと思います。」

「そやね。気にしても、なぁんも出来へんもんね。」

「そうですよ。」


一頻(ひとしき)り話していたら駅に着いた。

弥生ちゃんは、7月末日付で退職することが決まっている。

こうして一緒に歩いて駅まで行くのも、あと僅かだ。

駅の改札口で別れた。


「この先のお店に用事があるから、ここでね。」

「はい。お疲れ様でした。」

「お疲れ様。足元に気ぃつけて帰りや。こけたらアカンから!」

「はい。山田さん、お母ちゃんみたい。」

「母と呼んで!」

「ほな、お母ちゃん、さいなら。」

「さいなら。」


弥生ちゃんと別れて、川口君指定の店に向かった。

住宅地図をコピーした。

その住宅地図をバッグから出して、地図を見ながら進んだ。

店の名前を探しながら……【やどりぎ】を探して歩いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ