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同い年  作者: yukko
37/81

6月

本社での中堅女子社員研修を終えて支社に戻った。

変わらない日常が戻ってきた。

早速、山本さんが声を掛けてきた。


「本社はどないやった?」

「スーツ姿の方ばかりでした。」

「そやろ! 『石を投げたら大卒に当たる。』ちゅうて……

 大卒ばかりやからな。本社は……。」

「誰ぞに会うたか?」

「最終日の帰り際に岡崎さんに会いました。」

「おお! 岡崎さん! 元気やったか?」

「はい。お元気でした。皆さんによろしくと仰ってました。」

「そうか…、ほんで……川口君には会えたか?」

「……いいえ。」

「そうか……残念やったな。」

⦅……居てはった……岡崎さんを呼んではった。⦆


日常が戻って、いつものように会社と家との往復だけの生活だった。

時々、空しく感じることがある。

寂しいと感じることがある。

同期も高校の友達も幼馴染も、皆、会えないから……。

結婚して家庭に入って専業主婦になり子育て中の友達たちだから、外で会ってご飯を食べることも、映画を見ることも無くなった。

それが、寂しさの原因だと思っている。


⦅みんな……子育て奮闘中やもんね。

 一人で子育て頑張ってるんや。偉いなぁ~。

 おっぱい あげてる時……母になった幸せを感じるって言うてたなぁ。

 電話架けてもアカンと思うから、手紙を書いて出してるけど……

 返事も貰うてるけど……電話で。

 電話、架かってきても直ぐに切らなアカンようになるからなぁ。

 お父さんとお母さん、二人仲良うデートしはるもん。

 いっつも一人やからやな。寂しいな。

 会いたいなぁ~。⦆


6月になり蒸し暑い日が続いた。

梅雨の雨が疎ましく感じられる。

雨に濡れた傘が満員電車で体に当たるのが辛い季節だ。

そう言えば、昔は、父が若い頃は雨の日に長靴で通勤していた。

風邪をひいたら大人も子どももマスクをつけて通勤通学をしていた。

それが、気が付くと誰もそんな姿で通勤通学をしなくなっていた。

それは、いつからなのだろう。

分からない。


そして、入社して3年目の昭和53年に宮城県沖で地震が起きたことを覚えている。

会社からも選抜された人たちが復旧に向かった。

係からは、吉田さんが向かった。

6月になると、その時のことを思い出す。

同期からも高卒の男子社員が2人向かった。

橋口君と吉崎君だった。

二人と付き合っていて、今は奥様になった彼女たちは、当時、支社から出発のバスに乗り込む彼氏を見送った時、泣いていた。

大きな地震が襲った仙台市に向かうからだ。

不安が大きかったのだと思う。

雅美ちゃん、道子ちゃんの背中を撫でていたことも思い出す。

係から仙台市へ向かった吉田さんは、仙台市から帰ってきた時に、幼いお嬢さんが「俺のこと分からんようになってた。忘れたみたいで……怖がって泣いたんや。寂しかったなぁ……娘に泣かれるのは……。」と笑いながら言っていたが、本当にショックだったのだと思った。

それが、記憶に新しい6月の出来事なのだ。


6月の末になって、本社から何故だか川口君が支社に来たのだった。

1978年宮城県沖地震は、昭和53年(1978年)6月12日,17時14分,仙台市を襲ったマグニチュード7.4(震度5)の地震です。

死者16人,重軽傷者10,119人,住家の全半壊が4,385戸,一部損壊が86,010戸という多大な被害が生じました。この地震は,当時の人口50万人以上の都市が初めて経験した都市型地震の典型といわれました。

1978年宮城県沖地震の特徴の1つとして,ブロック塀倒壊の多発が挙げられます。このブロック塀の倒壊によって死者16人のうち,11人が犠牲となりました。

地震後,建築基準を満たさないブロック塀や宅地造成など規制法以前の造成宅地の危険性が大きな社会問題になりました。(仙台市ホームページより抜粋して転載)

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