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同い年  作者: yukko
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想いのたけ

入社した年の夏のことだった。

ある歌手が人を殺めた。

私たちの世代にとっては「漫画の主題歌」を歌った人という印象しかなかった。

その人は売れていてNHKの紅白歌合戦にも出たことがあったそうだ。

それが、売れなくなって……どんな暮らしをしていたのか分からないけれども、レコード会社から「売り出すから身綺麗にしておくように。」と言われたことが大きな転換点だったようだ。

その歌手が売り出して貰うために愛人を殺害して逮捕された事件だった。

報道された時、「どうして人を殺めてまで!」と思った。

愛人の意味もあまり分かっていなかったように思う。

妻子がいること、妻子のこれからの人生など想いも及ばなかった。

でも、今は内山さんはじめ同期たちの結婚と出産を見て、「あの歌手の妻子はどう生きているのかな?」と思う。

勿論、愛人は奪われなくても良い命を一方的な勝手な思いによって奪われて、あったはずの将来が、開けていたはずの未来が閉ざされたのだ。

可哀想という一言では済まされないほどの被害者である。

この歌手の事件で出てくる人に一人も幸せな人は居ない。


雅美ちゃんの赤ちゃんが幸せな人生を送ってほしいと切に祈った。

内山さんの赤ちゃんも大きくなっただろう。

お祝いに訪問した時に会ったままで…あの可愛い赤ちゃん。

内山さんに似た女の子。

他の同期の子ども達も……どうか、みんな幸せな人生を送れますように!



ゴールデンウイーク、弟は婚約者とデート。

両親と3人でぼんやり過ごした。

父の運転で買い物に行く時、助手席は母の席なのだが……我儘を言って助手席に座った。


「お母さん、ごめんね。」

「ええよ。けど、なんで?」

「運転初心者やもん。見て習うねん。」

⦅ごめん。ちゃうねん。バックのお父さん、見たいねん。⦆

「まぁ、そやったら、よぉ見ておきなさい。

 お父ちゃん、運転上手いから。」


父の耳が少し赤く染まったように見えた。


「どやった? お父ちゃんの運転。」

「上手かったわ。私とは大違いや。」

「直ぐに同じようになる。運転せな、上手にはなられへんで。」

「うん。」

⦅お父さんのバックもカッコええと思ったけど……

 一番、カッコええと思ったのは………川口君……やな…。

 ………今度、本社に行く…けど……無理やな。

 無理や……研修は人事部がある4階やから……。

 もう、2度と会うことはないやろな。⦆


そう思うと胸が苦しいほど痛くなった。

そして、学歴の差が頭から消えたことはなかった。

昔は「アニメーション」とは呼ばれていなかったのです。

「漫画」でした。

テレビのアニメも「漫画」と呼んでいました。

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