黒尽くめ軍団
今日は係長から「気を付けるように!」と言われた法要の日だ。
「怖いなぁ……。」と思いながら会社近くを歩いていた。
会社に入る前に、黒尽くめの男性たちが並んでいた。
⦅壮観やなぁ……。怖さ満載で……。目ぇ合わせんようにせな!⦆
そう思っている時に会社から車が出ようとしていた。
国道は車がいっぱい走っていて、なかなか入れて貰えない様子だった。
すると、黒尽くめの男性が一人、車に近づいた。
⦅ひぇ~~~~っ。何するのん……何もしてへんで。
目ぇ合うたんかな?⦆
黒尽くめの男性の声が聞こえて来た。
「出るんか?」
「はい。」
「ちょっと待っとき!」
⦅へっ? 待っときってなんやの?⦆
急に黒尽くめの男性が10人以上?道路に出た。
そして、車を止めたのだ。
「行きや!」
「すんません。おおきに。」
⦅めっちゃ怖かった。車に轢かれはったら……思うて怖かった。
良かったわぁ~~。轢かれはれへんで………。⦆
「おはよう。」
「あっ、おはようございます。」
先輩と会社には行って更衣室で話した。
「先輩、めっちゃ怖かったです。」
「うん。ビックリやな。」
「急に道路に出はるんやもん。」
「怖ないみたいやなぁ……あの黒尽くめ軍団は……。」
「車、ビュンビュン走ってましたよ。」
「うん。前もそうやった。
あの国道で反対方向から来る車を止めはるねん。
身体を張って……。
ほんだら、組長さんのご自宅まで滞りなく行けるやろ。」
「怖かったわぁ………。」
「まぁ、退社の時には居てはらへんから、安心し。」
「そうですか。良かったぁ~。」
更衣室を出て毎朝の拭き掃除をする。
そして、今日も一日が始まった。