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同い年  作者: yukko
29/81

バック

駅まで車の中で弥生ちゃんと話してばかりだった。

ずっとドキドキしていた。

顔が熱いような気がする。

川口君の方を見られなかった。

何故だか恥ずかしかった。

駅に着くまで川口君は話に入ってこなかったように思う。

駅に着いて「ありがとうございました。」と言った。

「ほな、気ぃつけて。」と返ってきた。

その間、まともに顔を見られなかったように思う。

弥生ちゃんと二人で電車に乗った。


「カッコ良かったですか?」

「何が?」

「川口さんの運転ですよ!」

「う…うん。………カッコ良かった。」

「車をバックする時の仕草、カッコええですよね。

 うちの主人もカッコええ!と思いました。」

「そやの?」

「はい。結構、あの仕草がカッコええと思う人居るんですよ。」

「私だけやなかったんやね。」

「はい!」

⦅良かったぁ~。

 橋口君をカッコええと思ったのも………

 川口君をカッコええと思ったのも普通やねんな。うんうん。⦆

「私もカッコええバック出来るようになりたいなぁ~。」

「誰かの運転に乗せて貰ったら、いつでも見られますよ。」

「あ………そやね。」⦅今度、お父さんの車に乗る時、助手席に乗ろ。⦆



新年が明けて直ぐに教習所へ通うようにした。

初めて車の運転席に座った時、「見えへん……どないしよ。」と思った。

身長が足りないのだ。だから、座高も低い。

次の運転実習の時に座布団を持って行った。

手にしている座布団を見た教官が一言。


「止めておきましょう。座布団は!」

「あきませんか?」

「座布団はへたりますよ。

 変わってしまうのはアカンのです。

 そのままで何も置かずに運転してください。」

「あの……見えへんのですけど……。」

「その感覚で運転することによって車両感覚を覚えてください。

 その感覚は変わらないですから!」

「はい。」


身長が150cm以下である自分の体が、この時ほど嫌になったことはなかった。

幸いなことに仮免許も取れて、路上教習も終えて、教習所内での運転免許のための最後の試験が始まった。

ひとり前の10代の男の子の時に、教官が「道路の端に寄せて車を止めなさい。」と言った。

その通りにすると、教官は「今の運転は非常に危険でした。何が危険か分かりますか?」と問い、男の子はあまり分かっていなかったようだった。

「無理な追い越しでした。そのために追い越し車線の車との距離が危険な距離でした。近すぎた。危険な運転でしたので、貴方は不合格です。試験はここで終わります。運転を代わって下さい。」と言った教官。

男の子は運転席から後部座席に乗り移った。

そして、次は……「次の方、運転席に!」と教官に促されて運転席に座った。

名乗るように促されて名前を言った。


「山田浩子です。よろしくお願いいたします。」

「はい。始めましょう。」


ずっと緊張していた。

だけど、途中で誰とも代わらなかった。

終わった後に、教官は一人一人の運転についての講評をした。


「山田さん、貴女の良いところは安全運転に留意しているところです。

 バックミラーを良く見ていました。

 前を走行中の車との距離、停止時の距離も良く取っています。

 悪いところは今日は仕方がないと思いますが、緊張しすぎです。

 もう少し、リラックスして運転してください。」

「はい。ありがとうございました。」


終わった途端、緊張が解けてホッとした。

そして、門真運転免許試験場へ行き、本当に最後の試験(筆記試験)を受けた。

合格して免許証を手にしたのである。

でも、あのカッコええバックは出来ないままだった。

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