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同い年  作者: yukko
26/81

年が暮れて

休日にお見舞いに行った。

病室の雅美ちゃんは点滴をしていて痛々しかった。

雅美ちゃんの顔を見ただけで涙が出てきた。

「なんで泣いてるんよ。」と雅美ちゃんから言われた。

会えただけで嬉しかった。

願わくば、早くお腹の子が「流れない」と医師に判断してもらえたら……。

そんな日が来たら、もっと嬉しいのに!と思った。

お見舞いの品に選んだ本は「赤ちゃんと子どものニット」という編み物の本だった。

雅美ちゃんは編み物が得意だから……。

そして、市販のマタニティ用のネグリジェを渡した。


「この刺繍……浩ちゃんが?」

「うん。」

「可愛い~! ありがとう。」


長居をしてはいけないから、直ぐに帰った。

橋口君が車で駅まで送ってくれた。

駅で「ありがとう。来てくれて。」と言った時の橋口君の顔を忘れることはないだろう。

素敵な旦那様の笑顔だった。

電車に乗っていて、ふと思った。


⦅運転免許、取ろう! そうしよう。 きっと役に立つ。⦆


帰宅して運転免許の取得をすると宣言すると、父は驚いていた。

母は言葉もなかったようだった。

後から帰宅した弟だけが言ったのだ。


「止めてぇ~な! 姉ちゃん、鈍くさいから……。

 姉ちゃんが運転したら御堂筋が常時大渋滞になるさかい。

 世間のために、止めてぇ~な。」

「ええ―――っ。…………まぁ、そう思うわな。」

「せやろ!……姉ちゃん、自覚してるんやろ。」

「う……うん。」

「浩子、免許取ってもええ。」

「父さん!」

「ただし、車は動く凶器や。

 事故を起こしたら人殺しになるかもしれん。分かるな。」

「はい。」

「歩行者に優しい運転。自転車に優しい運転をせなアカン。」

「はい。」

「運転は人殺しになったらアカンのや。ええな!」

「はい。」

「後は浩子の人生や。好きにしなさい。」

「おおきに。お父さん。」

「浩子、自分のお給料で取りなさいよ。

 お父ちゃんのお金は一円も出しませんよ。

 あんたは社会人やからね。」

「分かってるって、お母さん。」

「ええ―――っ! 大渋滞決定やん。」


年の瀬、もう今年は無理なので、年が明けたら車の運転免許のために教習所に通うことを決めた。

もうすぐ、12月31日。

会社は12月31日まで出勤、そして、年明けの初出は1月4日。

初出の時に女子社員は着物を着て出社する。

食堂で支社の全員が集まり、支社長の新年の挨拶がある。

その後、鏡割りをしてお酒を頂く。

新入社員だった頃の初出では、振袖だった。

そして、出されたお酒を少し飲んでしまった。

それを見た主任が大慌てで「山田ちゃん、未成年かやら飲まんでエエのや。」と盃を取り上げられた。

ほんの少ししか飲んでいないのに胸が熱くなってビックリしたのだった。

弥生ちゃんは既婚者だから付け下げを着るだろう。

未婚でも20歳を過ぎると付け下げを着るようだ。

来年は母の付け下げを着て行くつもりだ。

既に美容院は予約している。

髪を結ってもらうために……。

着物の着付けは母がしてくれる。

来年はどんな年になるのか……とワクワクしたのは新入社員の頃の話。

今はもうワクワクすることなど無くなってしまった。

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