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同い年  作者: yukko
23/81

お見合いの返事

昼休みが終わって席に着く前に思い切って係長に話そうと思った。

今の偽らざる気持ちを……。


「係長、お話があります。」

「なんや?」

「あの……えっと………。」

「あ……こないだの?」

「はい。」

「ほな、ちょっと、あそこで聞こか。」

「はい。お願いします。」


応接セットのソファーに座って話を聞いて貰った。


「係長、実は親戚からも縁談がありました。」

「そうやったんか。」

「その方のお話、それから……係長からのお話。

 私、まだ決めかねています。」

「そやろな。二つもあったら……。」

「あの……それから……。」

「言うて! 気にせんと。僕も娘の父親や。

 まだ、小さいけど……。」

「2歳でした? 係長のお嬢さん。」

「うん。2歳。」

「可愛いでしょう。」

「うん。そりゃあ……そやから、あの主任の話も悪かったと思うてる。」

「あの時はホンマにありがとうございました。」

「いやいや、あれは課長のお陰や。

 悪かった。話の腰を折ってしもうた。続けて……。」

「はい。……どこまで話しました? 私。」

「二つ縁談があって、決めかねてる。までや。」

「あ……済みません。

 えっと、決めかねていて………もう年なんですけど……

 まだ……恋愛に……憧れています。

 それで……。」

「見合いはしたくない。」

「済みません。あ……したくない…までは思っていません。」

「する気持ちが強くない。」

「はい。済みません。」

「謝らんでもええねんで。断るのも自由、会うのも自由や。

 分かった。今回の話は僕から先方に断っておく。」

「ええんですか?」

「ええよ。気にせんとき。」

「……はい。」

「そうか……そうやな、恋愛したいのは分かるわ。

 今までの彼とは別れて、どのくらい?」

「あの……全く無いんです。経験が……。」

「無い? 恋愛?」

「はい。」

「そ……ほなら当たり前やな。ええ恋愛しいや。」

「はい。ありがとうございます。」

「見合いは縁が無かったということでエエな。」

「済みません。お願いします。」

「了解。ほな、仕事しよか。」

「はい。係長、済みません。ありがとうございます。」

「さぁ、席に戻ろうか。」

「はい。」

⦅うん? 断るんやのうて……時間を貰うつもりやったんやけど……

 断ってもうた……私の本音やったんかな?

 なんか分からへん。もうエエわ。⦆


席に戻り仕事をする。

隣の弥生ちゃんは興味津々で聞いてきた。


「山田さん、係長への話ってお見合いですか?」

「うん。断ってん。」

「断ったぁ!」

「ちょっと、弥生ちゃん、声、大きい。」

「済みません。断ったんですね。」

「うん。悩んだんやけどね。

 弟が来年の秋に結婚するねん。」

「ええ―――っ! 弟さんが結婚!」

「弥生ちゃん、声……。」

「済みません。」

「ほんで、弟より前に結婚せなアカンかなぁ~って思ってん。

 けど、そのためにお見合いして…追いつめられるように……

 それは、嫌やと思ってん。」

「それは私も嫌ですわ。」

「人生で一遍でもええねん。一遍だけでも恋愛出来たら……。

 そない思うてん。」

「人生で一遍だけでエエやなんて……そない寂しいこと言わんといてくださいよ。

 これから、きっと巡り会います。運命の人と……。」

「仕事しよ。運命の人なんて無いからね。」

「山田さん…。」

「喋ってたら残業になるさかい。仕事しよ。」

「はい。」


午後からの就業時間中、3時に係の人全員分のお茶を入れて出す。

それも女子社員の仕事のうちの一つだ。

今日も給湯室で入れたお茶を係に居る人の席に出していた。

その時に電話が鳴った。


「はい、係でございます。」

「山田さん?」

「はい。警察から電話なんよ。」

「分かりました。係長……あ……西川主任に出て頂きます。」


メモに【西川主任へ 警察からの架電。よろしくお願いします。】と書いて、隣の席の弥生ちゃんに渡した。

弥生ちゃんがそのメモを西川主任に渡した。


「このまま、繋いでもええ?」

「はい。私から西川主任に代わるとお話いたします。」

「山田さん、お願い。

 ………お待たせいたしました。係に代わります。どうぞお話しくださいませ。」


メモを読んだ西川主任は私の直ぐ傍に立っていた。


「係でございます。

 ただいま主任の西川が在席中でございますので、西川に代わります。」

「主任の西川です。」


警察からの電話で現場担当の小野さんのポケットベルを鳴らした。

黒電話に小野さんから電話が架かってきた。


「小野です。」

「小野か……。」

「はい。」

「現場へ急げ。工事車両の止め方で警察へ通報された。

 早よ。急げ! それからな。匿名や。

 そやから、ご近所さん皆さんへお詫びせえや。」

「はい。」

「不在宅でも頭を下げろや。ええな。心を込めるんやで。

 見てはらへんかってもや。」

「はい。」

「頼むで。」

「はい。」


現場から帰ってきた小野さんは直ぐに西川主任へ報告していた。

小野さんの席にそっとお茶を出した。

「お疲れさまでした。」の言葉を付けて……。

小野さんの「おおきに。」の言葉でホッとした。

取り合えず今日のトラブルは終わったのだ。

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