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同い年  作者: yukko
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今日の出来事

朝、会社に着いた所で橋口君に会った。


「おはよう。」

「おはよう。」


小さな声で聞いた。


「雅美ちゃん……奥さん、どない?」

「入院してるねん。」

「入院?」

「うん。前にも流産したやろ。

 もう2回目は嫌やから……。」

「そやね。」

「雅美な。ずっとベッドの上で天井見てる。

 ……俺な。俺は……

 万が一、また流産したら、もう子どもはエエわ。」

「橋口君。」

「要らん。雅美が辛いのは、もう嫌や。

 雅美は俺の子どもを産みたいって言うてるけど……

 俺はもうエエわ。」

「橋口君、雅美ちゃんのこと大切に想うってくれて……

 ホンマにありがとう。」

「何言うてんねん。当たり前や。」

「ええ御主人さんやね。」

「普通や。普通。」

「橋口君、お見舞い行ったらアカン?」

「今は……ごめんな。」

「そうやね。こっちこそ、ごめん。」

「実は、山田さんだけしか知らへんねん。

 雅美が誰にも言わんといてって……。

 ぬか喜びさせとうない!って言うねん。」

「私、知ったらアカンかってんね。ごめんなさい。」

「いや、ええねん。クリスマスの時のことは雅美に話したから…。

 雅美、言うてた。」

「なんて?」

「浩ちゃんらしいって言うてた。

 もうちょっと安静が解けたら言うから……。」

「うん。

 橋口君、私、お見舞い行けへんでもエエねんよ。

 気にせんといて。

 私に出来ることがあったら言うて。」

「うん。ありがとう。

 ほな、今日も頑張ろな。」

「うん!」


橋口君はの男子更衣室へ、そして私は女子更衣室へ向かった。

更衣室を出て直ぐに川口君に会った。


ドキっ!⦅何が…ドキっ!なん?⦆

「お……はようございます。」


ドキっ!⦅なんでや?⦆

「おはよう。」


挨拶だけして急いで係に行く。

何だか分からないが、いつもと少し違った朝だった。

そう、いつもよりも遅かったのだ。到着が……。


⦅ちょっと遅かったから、ドキっ!ってしたんや。そうや。それだけや。⦆

「ごめん~。弥生ちゃん。遅うなってしもうて。」

「おはようございます。」

「あ! 忘れてた。おはよう。

 ごめんね。一人でさせてしもうて……。」

「いいえ、いつも山田さんにはお世話になってますもん。」

「山田さんって……前は先輩ってつけてたのに?」

「そやかて、先輩は山田さん一人やもん。」

「そやな。」


弥生ちゃんがほとんど終えてくれていた。

2階のフロアにラジオ体操の音楽が流れて、皆でラジオ体操をする。

そして、係の朝礼。

いつもの朝だった。

違うのは、心臓の鼓動だけだった。


⦅これは……なにや? けったいやなぁ……。

 病気か? 病気やったら、どないしよ。⦆


仕事をしていたら係長に呼ばれた。


「なんですか?」

「山田さん、お見合いする気ない?」

「お見合いですか?」

「うん。そう。」

「そうか! 山田ちゃんが……見初められたんやな。」

「これは、目出たいなぁ!」

「中野主任、西川主任、まだ何も決まってませんよ。」

「そうでした。」

「ごめんな。山田ちゃん。」

「いいえ。」

「どないする? 会うてみる?

 お相手は協力会社の社員さんや。

 何度かここに来てはる。

 名前は松本忠司さんで、年は山田さんより1歳上や。

 会うてみる気になったら、言うて。

 お見合いの席、準備するから。」

⦅これ……絶対に断れへんやつや。

 勝子おばちゃんのお見合いもあるし……

 うん? 私、急に縁が……訪れた?⦆

「あの、係長。家に帰って両親に話したいのですけれど……。」

「勿論、ご両親に相談してから返事でエエよ。」

「はい、そうさせて頂きます。

 あの……お話は終わりでしょうか?」

「うん。終わり。」

「では、仕事します。」

「はい。」


二人の主任は「ホンマ良かった。」「ええ子やのに縁が無いから心配してた。」と声を掛けてくれた。

少し離れた席で、現場へ行く前の山本さんが話しかけていた。


「川口君、なんか顔色悪いぞ。 大丈夫か?」

「えっ?……済みません。大丈夫です。」

「そうか、それやったらエエねんけど……。」


そして小声で言った。


「グズグズしてたらトンビに盗られてしまうで。」

「えっ?」


そして、山本さんはホワイトボードに行く先を書き込んだ後、大きな声で言った。


「現場に行ってきます。」

「行ってらっしゃい。」


今日も一日が始まった。

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