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同い年  作者: yukko
19/81

なんでやねぇ~~ん

駅まで歩いて25分もかかる。

その間、何故だか川口君は何も話さなかった。

一人、会話を探して「アホらしかった。」と思った。


⦅なんや! なんか私したんやろか? けったいやな……。⦆

「しんどいの?」

「……まぁ、な。」

「寒いし、風邪ひかへんように……。」

「……うん。ありがとう。」

⦅具合、急に悪うなったんかな?⦆


駅に着いて、別れ際に「無理せんといてね。さようなら。」と言って別れた。

川口君は「うん。さようなら。」だけ……⦅? やっぱり、けったいやぁ~。⦆と思った。

家に着くと、弟が「お帰り。」よりも別の言葉で迎えてくれた。


「ただいまぁ~。」

「姉ちゃん、おめでとう!」

「何が?」

「お見合いや! お見合いの話、おばちゃんが持って来てくれはった。」

「おばちゃん?」

「ふん。勝子おばちゃんや。

 姉ちゃん、良かったなぁ~。

 これで、上手くいったら俺より先に結婚できるで。」

「まぁ……そやな。」

「なんや? 乗り気や無いって顔して。」

「まだ、何にも聞いてへんやん。相手の人のこと……。」

「そやったなぁ~。早よう。早よう。」


居間に行くと父と母が座って見合い写真と釣書を見ていた。


「ただいま。」

「お帰り。」

「お帰り。もう、幸一郎から聞いたようやな。」

「聞こえてた?」

「聞こえてた。勝子おばちゃんが心配して話を持って来てくれた。」

「そうやの……勝子おばちゃんが……。」⦅断るの難しいやん。⦆

「まぁ、浩子もいつ結婚してもエエ歳やねんからな。

 話をもろうたことは有難いと思うんや。」

「そうや! 姉ちゃんが結婚してくれたら俺、もう何も言われへんようになる。」

「幸一郎、ちょっと黙っときや。

 今はお父ちゃんが話してはるんやから…。」

「はぁい。」

「はい!は短こう。」

「はい。」

「浩子、お前、好きな人おらんのか?」

「………おらん、ねんけど。」

「はぁ……そうか……。」

「ええと思うで。」

「幸一郎! お父ちゃんが話してはると、お母ちゃん言いましたやろ。」

「けど、俺も関係あるやん。」

「なんや? 幸一郎。」

「姉ちゃん、高校卒業して、もう23歳やで。

 もう5年や。

 5年も何も無かったんやで。これからあるはず無いやん。

 勝子おばちゃんの話、蹴ったら……もう無いんとちゃうの?

 これが最後のチャンスかもしれんやん。」

「最後のチャンス……そやな。そうかもしれんわ。」

「浩子、お父ちゃんはお前を北海道へなど行かせとうない。」

「北海道の人なん?」

「今は大阪に居はるんやけどな。いずれ北海道へ帰って同居が条件や。

 北海道に行くだけやない。

 お舅さん、お姑さんと同居させとうないんや。

 苦労するのが目に見えてる。」

「そやったら、お父ちゃんから断ってください。」

「お母ちゃん……。」

「うちのおばちゃんやないんですよ。

 お父ちゃんのおばちゃんやありませんか!

 お父ちゃんのおばちゃんやねんから、お父ちゃんが断って!

 うちは何もしませんよって。」

「それは、そうやねんけどな。」

「うちは何もしませんよって!」

「お母ちゃん……。」

「姉ちゃん、どないする?

 同居やって知らへんかったから、ええ話!言うたけど……

 同居やねんやったら止めた方がええわ。

 北海道へ行くちゅうのも、お母ちゃんも寂しなると思うわ。

 お父ちゃんは北海道へ行かせる気ないみたいやし……。」

「けど、幸ちゃんの言う通りやよ。

 5年、なんも無かったんやから、この先もなんも無いわ。」

「姉ちゃん……。」

「お見合い、よぉ考えるわ。」

「……うん。」

「お父さん、お母さん、ちょっと考えさせて! お願いやから…。」

「嫌やったら断るさかいな。断ってエエねんで。」

「うん。ありがとう。お父さん。」

「浩子、ご飯食べるよね。」

「うん。」

「あんたの好きなブリの照り焼きや。」

「嬉しいわぁ……ありがとう。お母さん。

 食べて来るわ。」


夕食を一人で摂って自分の部屋に入った。


⦅あぁ……北海道かぁ……遠いなぁ……しかも、同居……。

 好きでもない人の両親と……出来るんやろか?⦆


何故か川口君の顔が浮かんだ。


⦅なんでやねぇ~~ん。なんで、出て来るねん。なんでやぁ~~っ!⦆



声にならない叫びを上げている頃……。

自宅に帰ったばかりの川口秀樹は………母の「秀樹、ご飯は?」に「食べるよ。」と答えて、自室に入り着替えていた。


⦅あぁ……なんでやねぇ~~ん。 なんでや? 

 なんで急に話されへんようになったんや?

 もぉ~分からへん。 なんでやぁ~~っ!⦆


……と声にならない叫びを上げていた。

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