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同い年  作者: yukko
16/81

クリスマスパーティー

クリスマスが近づくと会社でも労働組合主催のクリスマスパーティーが開催される。

会社の食堂がパーティー会場になる。

鶏肉の唐揚げ、ポテトフライ、サンドイッチ、女性が好きなサラダもある。

お酒はないが、飲み物も色々用意されている。

弥生ちゃんはご主人を待つために家に帰った。

色々と用意をしていると、中野主任から声を掛けられた。


「ご苦労さん。」

「主任、お疲れ様です。」

「今日は若い子達で楽しんでな。」

「はい。」

「おじさんは帰るけど、なるべく早よ帰りや。」

「はい。」


クリスマスツリーを飾ると、いつもの食堂ではなくなった。

鼻歌を歌っていると「真っ赤なお鼻の……やな。」と、振り返ると同期が居た。

高卒の同期で奥様も同じ同期。


「お疲れ様ぁ~。」

「お疲れさん。」

「今日は奥さんは()おへんの?」

「今、大切な時やねん。」

「えっ?」


急に小声になった。


「まだ、内緒やねん。ちょっと良おないねん。」

「?」

「妊娠3ヶ月やねんけどな。

 ちょっと安静にしとかなアカンねん。」

「そやったら、早よ帰ってあげて。」

「けど……何もせんのは…な。」

「ええやん。私がするさかい。

 早よお…早よ、帰ってあげて。」

「けど……。」

「どないしたんですか?」

「川口君、頼みます。」

「何を?」

「橋口君の代わりに今日のパーティーの準備、手伝(てと)うて。

 お願いです。」

「それは悪いわ。」

「けど………。」

「なんか分かりませんけど、やりますよ。

 なんか分かりませんけど、早よ、帰ってください。」

「うん。早よお!」

「………。」

「考えてる間に帰ってあげて。」

「ありがとう。

 川口君、おおきにありがとう。」

「はい。どういたしまして。」

「ほな、頼んます。」

「バイバイ。」

「おおきに。」


橋口君が帰っていく。


「ほんで、何をどうすんの?」

「あ! ツリーの飾りの一番上のお星さま着けてもろたら…。

 これ。」

「……届かんなぁ……。」

「えっ? 届くやろ?」

「君やったら届かんな。」

「むっ……悪うございましたね。小そうて。

 地面と仲ええのも……ええことあるねん。」

「そんなボーナスあった?」


そう言いながら星を着けてくれた。


「もぉ~っ、この前、ええ人やって思うたのに……。」

「いつのことや。」

「あの……内山さんの送別会や。」

「あぁ……あの時は……。」

「有り得えへんやん。

 立場が上の人で、年も上の人に……。」

「あれは……あれはな。

 もう長いこと、この支社にはおらんからな。

 異動でたぶん年明けて春になったら本社に行くと思う。

 内山さんからもな。

 『春になったら異動するし、万が一この支社に戻って来ても

  その時には、あの主任よりも上になって戻って来る。』って言われてん。

 そやな……そない思うた。

 内山さんの決死の勇気には程遠いけど、勇気は要ったな。」

「そうやな。春になったら、三月末には分かるねんな。

 異動先……。」

「うん。……用意は他にある?」

「ううん。もう後は私ら女子で出来るさかい。」

「ホンマにこれだけ?」

「うん。これだけ。」

「そうか………。ほな。」


用意してクリスマスパーティーが始まって……そして、終わった。

その間、笑顔でいたけれど……冷たい風が心に隙間風のように吹いていた。


「社内異動……三月末には分かるんやな……。」


そう呟いたのか、それとも心の中で言ったのか……分からない。

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