適齢期
居間で父と母は同じ話を何回もしていた。
23歳になった娘に浮いた話が全く無かったからである。
心配していたが、それだけではなかった。
親戚からのプレッシャーが父にも母にもかかっていたようだった。
「今日も言われたわ。」
「浩子のことか……。」
「せやねん。」
「誰がや。」
「勝子おばちゃん。」
「勝子おばちゃんか……。なんて?」
「いつまで家に置いとくんや!って……。」
「置いとくって……。」
「早よ。出さな行き遅れになる!って言わはった。」
「おらへんやないか……相手が…。」
「そや。そやのに、行かせえ!って言わはるねん。」
「行く先が無いのに……行く先があったら、もう行かせてるわ。」
「気が重いわ。」
「せやな。けんど、おらんもん仕方ないやないか。」
「それ………お父ちゃんから勝子おばちゃんに言うて。
うちのおばちゃんやないさかい。」
「………せやな。」
⦅適齢期の娘が居るのは、しんどいな……。
どないどして探さなアカンな。
けんど、そんな人おらんわ。困ったなぁ……。
どないどして、25歳までには結婚させなアカンな。⦆
「お父ちゃん、25歳でも遅いって言われるさかい。
早よ。見つけんと……。」
「見つけんと……って、どないするねん?」
「それは、お父ちゃんの会社の人とか……。」
「無理や、おらん。」
「独身の人やで。」
「もう、皆、結婚してしもうた。」
「そやったら、浩子はどないなりますのん。」
「どないなるんやろかなぁ……。」
「お父ちゃん!」
「………誰ど、連れて来てくれへんかな……浩子の結婚相手。
お母ちゃん。」
「なんですのん?」
「もう、神頼みしかあらへんわ。」
「神頼み………。」
「神社仏閣へ行って……神さんに頼むんや。」
「お父ちゃん、仏閣は仏さんや。」
「せやったな。あはは……は……はぁ……。」
25歳でも遅いと言われる結婚年齢。
我が娘はどうなるのか不安でいっぱいの父と母なのだった。




