マクドナルド
終業後、私は川口君に誘われて帰りに「どこか店で話をしたい。」と言われた。
なんとなく目に入った駅前のマクドナルドを指さして……。
「あっこは?」
「マクド? マクドでエエのか?」
「うん。食べたいなぁ~って思って……
マクドやったら、家に帰ってからも御飯食べられるから……。」
「あぁ、お母さんが作ってくれた晩御飯。」
「うん。作ってくれてるのに食べへんかったらアカンやん。」
「そやな。」
マクドナルドはセットがあった。
メニューはハンバーガーセット、チーズバーガーセットとフィレオフィッシュセットの3つだ。
私はフィレオフィッシュセットにして飲み物をホットコーヒーにした。
川口君はチーズバーガーセットで飲み物はホットコーヒーだ。
「マクドでしか食べられへんのよね。」
「何を?」
「この程よい塩加減のポテト! 好きやねん。」
「ふぅ~~ん。」
「大学生やった時、よぉ食べた? マクド。」
「せやな。」
「アルバイトは?」
「バイトは家庭教師をしてた。」
「大学生は違うね。」
「そうか?」
「うん。アルバイトは出来へん高校もあるし……。」
「せやな。」
「ほんで、話やねんけどな。」
「うん。」
「内山先輩から聞いてん。主任のこと……。」
「せやの……。」
「女子社員と主任だけにせんといて!って言われた。」
「せやから? 偶然やないの?」
「うん。偶然やない。」
「ホンマ……ありがとう。私ね、声、出すつもりやってん。
けど、出えへんかった。情けないわ……。」
「そんなことあらへん! 声って出えへん時あるって思うで。」
「……私、初めて気持ち悪い。怖いって思ってん。」
「そうか……。」
「せやから、ホンマにありがとう。
ごめんなぁ。彼女に悪いなぁ……。こうして話聞いてくれる時間。
彼女に……悪いなぁ。ごめんなさい。」
「いや……そんなこと気にせんでもエエよ。うん。気にせんといて!」
「ホンマ?」
「ホンマや。」
「ほな、早よ食べて帰らなな。」
「せやな。……これからやねんけどな。」
「うん。」
「他にも話したからな。気が付いたら主任と女子社員だけにはならへんようにする
からな。」
「ありがとう。」
食べ終わって二人で駅に向かった。
駅では別方向のホーム。
手を振って別れた。
川口秀樹は思った。
⦅なんで言えへんかった。
もう別れたって……。
振られたって……。
あぁ……アホやな……。⦆




