日常
けたたましい目覚まし時計の音が部屋に響いた。
私は布団の中から手を伸ばして目覚まし時計を探す。見もしないで……。
アラームを止めて時間を見る。
⦅あぁ……5時半。起きな……。⦆
起きて食パンを焼きお湯を沸かす。
パンとコーヒーだけの朝食。
⦅栄養摂れて無いなぁ……。まっ、ええかぁ~。⦆
6時半までに家を出ないと遅刻する。
会社まで家から約2時間かけていく。
父よりも通勤時間が長いのだ。
入社直後は父が良く言った。
「なんで、お父さんより遅いんや。」
「お父さん、私は2時間かかるの。2時間!
お父さんは1時間以内で会社に着くやん。
寄り道してへんで。真っ直ぐに帰って来てん。これでも…。」
「……………。」
「お前、いつからや。」
「何が?」
「お父ちゃん やった。お父さん や無かった。
うち やったし、私やなかった。」
「もう、それ、中学の時に変えただけやん。
高校受験の前に……。」
「そやったか?」
「もう、晩御飯食べるさかい。」
「早よ。お食べ。」
そんな会話もしていた。
家族はまだ夢の中だ。
⦅いってきます。⦆
夢の中の家族に向かって、「いってきます。」を心の中で言い、私は家を出る。