表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/23

第三話 部活勧誘

 昼休みが終わり、家庭科室へ移動した私達は今、裁縫をしていた。

 私の正面にいる不器用ながらも必死になって、針に糸をとうそうとする類を見ながら、私は、自分の作業をした。

 私は裁縫をしながら、ふとさっきの昼休みでの会話を思い出していた。


 家庭科の授業が始まる少し前、私達は話しがなかなか尽きずに話し込んでいた。

 そんな中でこんな会話があった。


「僕、イラストというか、絵を描くことも苦手なんだよね」

「そういえば、えなってイラスト描くの得意だったよね」

「う〜ん 得意というか、好きな事のほうが当てはまるかな」

「じゃあ、僕の苦手な料理も出来て、絵も描けるってこと?」

「それだけじゃないぞ。裁縫も出来るし、楽器も吹けるんだぜ」


 また、亮は仁王立ちをして、自慢げに言った。

 自分のことじゃないのに。

 美音もそう思ったらしく、



「なんであんたが自慢げなのよ」



 美音は、怒りをあらわにしながら、怒りっぽく言う。


「別に良いだろ! どうせ、俺は行動力()()()取り柄なんだから」

「そういうところがいけないからモテ無いんじゃないの? もっと類を見習ったほうが良いよ! そういえば、そんな言葉があったような……そうそう! 『爪の垢を煎じて飲む』ならぬ()()爪の垢を煎じて()()()()()だね」


 美音が人差し指をたてて、得意げにしていると、亮も負けじと美音に言いかえした。


「類はいい奴だし、別にいいんだけど、お前は一言余計だ! それこそお前に()()()爪の垢を煎じて()()()()()わ」

「えっ! えなちゃんの爪の垢飲めるの? やった〜! えなのなら喜んで飲む〜」

「お前、本当に良いのか? というか、そのうち絵菜に引かれるぞ」


 亮がいつものように美音を煽ったので、私も亮に乗っかってみることにした。


「もう十分引いてるから、大丈夫」

「っえ! わ、私が大丈夫じゃないから〜! 引かないで〜!」


 美音は、涙目になりながら駆け寄ってくる。

 それから、私に抱きついてきた。

 私は、美音をなだめるようにして、頭を撫でる。


「ごめん、ごめん 冗談だから」

「本当に冗談? 引いてない?」


 美音は、私に抱きついたまま、顔をあげた。

 そして、上目遣いで私を見てくる。


「うん、本当、本当だから 引いてないよ」

「良かった〜! 本当に引かれて、嫌われちゃうのかと思ったよ〜!」

「あは、ははははは……」


 私が苦笑いをしていると、亮が皆が思っていそうな疑問を類にぶつけた。


「そういえば、類は、どの部活に入るんだ?」

「あっ、それ私も気になってた!」

「う~ん」


 類は、腕を組み、顔を斜め上に向けて悩んでいた。


「前の学校は、部活に入らなくてよかったから、帰宅部だったけれど……」

「この学校は、1年生は、強制だからね」

「うん…だから、みんな、どの部活に入っているのか知りたくて」


 類が質問をすると、真っ先に亮が答えた。


()()()は、軽音部に入っているんだ」

「俺たち?」

「うん! 1年生だと私とえなちゃん、亮、それから他のクラスの男子がいるよ」


 類は、混乱しているようで頭の上に?がたくさん浮かんでいるような顔をした。


「…? 亮のことだから、運動部に入っていると思ってた。それから絵菜は、吹部とかだと思ってたし」

「あー、言いたいことは分かるけど、私が軽音部入りたいって言ったら、美音も入るって言うし、何故か亮も居て驚いた記憶があるな~」

「そうなんだ、部活どうしようかな……」


 美音が勢いよく手を挙げた。


「はいは~い、じゃあ類も軽音部に入ればいいんじゃない!」

「おいおい、さっきそれで類、困ってただろ」

「あっ、そうだったね。ごめん」


 美音が亮に注意されてバツが悪そうにしている。


「大丈夫だよ。それに、元々みんなと同じ部活に入りたいと思ってたところだから。でも、軽音部というと曲を作ったり、楽器を演奏したりするんでしょ? 僕は、不器用だけど大丈夫かな?」

「それこそ大丈夫だろ、この俺ですらできるんだから!」

「それは、自慢することではないと思うんだけど」


 相変わらず、亮の言葉につっこむ。

 そんな様子を見ていた類は、決意したようで、


「軽音部に入ることにする。だから、これからよろしく」


「うん、よろしくね」

「よろしくな」

「よろしく〜」

「じゃあ、顧問に言いに行ったり、申請書を書いたりしないとな!」


 そんなこんなで、亮に連れて行かれてしまう、類とその後を追いかける美音。

 その様子を見ていた私は、あることを思い出した。


「そういえば、次は移動教室じゃ………まっいっか」


 私は、皆の後を辿るように追いかけた。

 面白かった、また続きが読みたいという方は、ブックマーク、いいね、評価など宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ