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第二十二話 騒がしい帰り道

 私たちは、あの後、穂乃花先生に促されるままそれぞれの家へと帰った。

 ……帰った――

 はず、はずなのに、なんでみんな私の家にいるの!?

 しかも、自分の家かのようにみんな過ごしているし。

 何故か、お母さんもそれを受け入れちゃってるし。

 何なんだ、この状況は。


 ――一時間前


 私の家は、登下校するのに使う道は片道十五分程度で、頑張れば五分から十分で着くこともあるくらい、そこそこ学校との距離が近い所に住んでいる。

 そんな、家へと向かう帰り道で、私たち七人と一匹は、一緒になって帰っていた。

 さすがに、横に全員並ぶのは迷惑になるので、二、三人程度で並んで帰った。

 といっても、美音と海莉は、すぐに校門を出てから、五分も経たないうちに分かれるので、実質五人と一匹で帰っていたことになるけど。


 それで毎回面倒なのが美音だ。

 帰り道が分かれる交差点まで来ると、駄々をこね始めるからだ。


「や~だ、えなちゃんと一緒に帰るの! 寄り道して帰るの!」


 とまぁ、こんな感じで。

 今日は、その場で地団太を踏んでいるだけだからまだよかった。

 やばいときは、どんなかって?

 それは……うん、聞かない方がいいと思う。


 高校生にもなってやっていることが、幼稚園児と同じだからな。

 お母さんに欲しいものを買ってもらうために駄々をこねているあれと同じだし。

 やっていることが。

 幼稚園児とか、小学一、二年生くらいだったら、「可愛いな」くらいで済むけど、高校生ともなると、いくら容姿が良くたって見てるこっちが恥ずかしくなってくる。

 それも私の名前を呼んで、だ。

 本当に、こればっかりは何とかして欲しいものだ。


 いつもだったら、放置しておくと後々面倒なので、私の家まで寄り道をして帰ってもらうが、

 今日は、それをやられると困る、らしい。

 穂乃花先生曰く、今日の事件のことを簡単にメールで、保護者に送ったとのこと。

 それに伴い、早帰りになるということも送ったらしい。

 だからこそ、私たちには、早く家へと帰ってもらわないと困るとのこと。


「こっちの都合で呼び止めていて、家に帰るのが遅くなると思うから、ごめんね。」


 と謝罪をしつつも、釘を刺されていた。


「それで、理由があって家へと遅れるからと言って、早く帰ろうとする努力をしてね。絶対に。間違っても、寄り道をして遅れたのにもかかわらず、先生に呼び止められてたからって言わないでね。さすがに高校生だから分かってくれるよね。」


 穂乃花先生にしては、珍しく釘をさしてきたので、怖かったが。

 きっと、事件のことで、色々と話し合いをしないといけないのに、保護者からの電話まで来たら、職員室は、パニックになるからだろう。

 いや、もう既になっているか。


 先生たちの仕事を、負担を減らすためにも今日は帰ってもらわなければ。

 そう思い、私は、美音を海莉に託し、帰った。

 私が帰る前に見た美音は、海莉にリュックの持ち手を持たれ、引きずられていた。

 それから、振り返ることもせず私は帰った。

 後ろで、私の名前を呼ぶ声が聞こえたが知らん。

 というか、早く高校生らしくしてくれ。

 本当に。


 そんなこんなで、私たちは、家へと帰っていた。

 亮とは、家がお隣なのでずっと同じなのだが、類も意外と家が近かったらしく、登下校が一緒になることが多い。

 登校中に、ばったり会うってことも有ったり無かったり。

 でも今考えてみると、魔法を使って、偶然を装って一緒に学校に行こうとしていたのではとも思ってしまう。


 類も、前世の頃は、美音並みにやばかったからな。

 いや、美音以上にずっとくっついてきていた気がする……。

 ――もしかして、私の周りにはやばい奴しかいないのでは。

 とも思ったが、亮や海莉みたいにまともな人たちもいるのでそれはないかと思うことにした。

 川沿いの分かれ道で、類とも別れ、三人になった。


 何はともあれ、あれだけの事があったのにもかかわらず、これだけ普通だとさっきまでのことが夢なのではと思ってしまう。

 ショッキングなものを見てしまった人は、ご飯すら手につかなくて、何も口に入れれないし、話すこともできない人もいるという。

 実際に、そういった人たちを前世では何度か見たこともある。

 そういった人たちは、何かに怯えていたり、引きこもってしまっていたりと様々だった。

 でも、これだけ話すことができるのであれば、きっと皆、大丈夫だろう。


 私たちは、今日のことや、部活のこと、これからのこと等々、いつも通り他愛もない話をして家へと帰った。

 晴天の中、私はこんな日が続きますようにと願った。

 もちろん、事件なんてもう二度とごめんだけれど。

 こんな風にどうでもいい話をして、笑いあってそんな日がいつまでも続いてほしい。


 そうこうしているうちに、家の前まで来ていた。


「じゃ、絵菜。またな」

「うん、またね」


 軽く亮と別れの挨拶をして、玄関のドアの前まで兄と二人で行く。

 私がドアを開けると、いつもの風景が広がった。

 玄関には、白や、黒、茶色といった何足か出ている靴と、傘立てに入れられた傘がきれいに並んでいる。

 スリッパが、玄関のすぐそばにある立てるところに私たちのも含めて五足程度、立っている。

 空気を吸うと、花のような、お日様のような、優しい匂いが鼻をくすぐった。

 それから、いつも言い、きっとこれからも、何度も言うであろう言葉を言う。


「ただいま!」「ただいま」

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