第十四話 双子の再会
僕が、皆を守らなければ。
とりあえず、男の攻撃を防ぐために魔法で壁を展開するか。
すると、半透明な壁が僕たちや、クラスメートなどに覆いかぶさる。
そんなことも知らずに、男は再び美音を狙って短剣を構える。
「お前の絶望した顔が見たいなぁ。だから、今度こそ、そこの女を仕留めてやる!! もちろんお前の前で」
「ひぃ...いや、だ。来ない、で......!」
美音がおびえている。
それもそうだろうな。
なんせ、友を目の前で殺されたのだから。
本当は生きているけど。
どうやら、僕のことを『お前』呼ばわりした者はウォールの存在に気づていないらしい。
「一様忠告をしておくけれど、その短剣では、攻撃できないよ。なんなら、壊れるかもね」
「お前ふざけやがって! もういい、お前から始末してやる!」
男は、短剣を構え僕にめがけて突進してくる。
突進って、力任せじゃないか。
そんな単純な攻撃は、いや、単純じゃなかったとしても、どっちにしろ僕には効かないのに。
攻撃を避けることもできたが、ここはあえて攻撃を受けることにした。
「なに!? なぜ、刺さらないんだ!」
何度も何度も、刺してこようとするがその攻撃は一撃も僕には当たらなかった。
「お前は何者だ! 化け物か?」
男は完全に怯えてしまっている。
人は未知なものに触れると、怯えて恐怖をし、神に祈ることしかできなくなる。
それも、敵側ともなればなおさらだ。
だが、何故か後ろで待機していたフードをかぶった者は、笑っているような気がした。
「あなたの魔力は、白色なんですね。観察していてやっとわかりましたよ。ですが、少し惜しいな。きっとそこに倒れている方も白色なんでしょうに」
皆、何を言っているのかわからないといった様子だった。
無理もないだろう。
この場所では、魔力は空想上のものでしかないのだから。
「はぁ、それを知ってどうするつもりだ?」
「簡単な話ですよ。持って帰って実験をするだけですよ。この世界のためにも」
「そんなことができると思うのか?」
「さぁ? 無理だと本能ではわかっていますが、それでもやりたいという衝動が抑えられなくてですね。それに、やってみないとわからないということも、この世界にはたくさんあるのですよ。神様」
「......! そこまでばれてるのかよ。まあいいけどさ。もうじき起きるだろうから」
僕は、彼女の方へ視線を送る。
すると、彼女の指が僅かだが動いた。
そしてゆっくりと目を開ける。
その瞳は、いつもの黒色の瞳ではなく、夢で出てきた少女と同じ瞳の色の桜色だった。
それからゆっくりと起き上がる。
「...! えなちゃん! よかった」
美音は安堵すると力が抜けたようで、眠ってしまった。
「やっと起きたんだね。絵菜」
「おはよう。類」
僕たちが、挨拶をして、微笑みあっていると、動揺したような声が聞こえた。
「なぜ、なぜ生きているんだ!」
フードをかぶった者は、床にしりもちをついた。
その反動で、フードが取れる。
彼は、どうやらエルフだったようだ。
つまりはこの『宇宙』の人間ではないということだ。
そんなことはどうでもいいとして、この場所に戻ってきてくれてよかった。
転生しなくてよかった。
僕も絵菜が戻ってきたことに安堵した。
私は、夢から目を覚ますために、元の場所へ、私の居場所へ戻るために扉を開けてはいった。
次に目を開けた時には、そこは見慣れた教室でさっきまで皆と仲良くしゃべっていた場所だった。
私が体を起こすと、声が私の近くからとんできた。
「...! えなちゃん! よかった。本当に生きていてくれてよかった。」
美音は、私が生きていたことを知ったからなのか、安心したように眠ってしまった。
全く、美音ちゃんたら今の状況理解しているのかな?
まぁでも、安心してくれたならいっか。
それから、起きた時から気になっていた、クラスメイト達に壁をかけた人物に視線を向ける。
彼もまた、私のことを見ていた。
やっぱり、あの少年と類は同一人物だったんだ。
すると、類は穏やかに微笑みながら、口を開く。
「やっと起きたんだね。絵菜」
その呼び方をされたのはいつぶりだろうか。
ここは、前世の名前を呼ぶべきか?
いや、類は類だし別にいっか。
「おはよう。類」
挨拶を交わしていると、教室の扉の方から音がした。
「なぜ、なぜ生きているんだ!」
どうやら、フードをかぶっていた人は、人ではなく『エルフ』の青年だったようだ。
あれ、でもエルフって寿命が長いし、青年に見えても意外と年寄りだったりして。
でもそれを言ってしまったら、きっと私たちの方が長生きか。
なんせ、私と類は創造神と呼ばれた者の子どもなのだから。
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