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第十三話 前世の記憶

 私が目覚めるとそこは、白い世界だった。

 正確には、壁も床も白色の部屋だった。

 私は、いわゆる天国とかかなと思ったが、見覚えがあったのでそれはないと思う。

 その部屋には、今日夢で最後に出てきた、少年と少女の幼少期の姿だった。

 ぱっと見た所、四、五歳ぐらいに見えた。

 少年は、さっき美音に重なった見えた黒髪の少年で、黒い猫のぬいぐるみを抱いている。

 少女は、少年とは逆の色の白銀の髪で、白い狐らしきぬいぐるみで遊んでいる。


 私は、この光景を知っている。

 夢とかでも、妄想とかでもなく、()()()()()()()()だ。

 そう、この夢でありそうな光景は私の、いや、()()()()前世の記憶だ。

 何故、私たちなのかというと、少女は紛れもなく私で、少年が()前世だからだ。

 それが分かった理由は、私自身も分からないが、なんとなく類とそこにいる少年が同じな気がしたからだ。

 私が、少女であると確定している理由は、今の私には前世のときに見えていた魔力のようなものが目で見えるようになっており、前世の魔力と今世の魔力と同じだからだ。

 だから、類の魔力を今見れるものなら、きっと少年が類であると証明できるだろう。


 私が、そんなことを考えていると場面が変わっていた。

 空には、綺麗な青空が広がっている。

 そこは、きれいな草原で、五年ぐらい経った姿の少年と少女がいた。

 またしても、黒い猫と白い狐はいるが、さっきと違うのはぬいぐるみではない、ということだ。

 実際に存在していて、生きている。

 自分の意志で動いている。

 それに、さっきのぬいぐるみよりも大きくなっているというのもある。

 そんな、黒い猫と白い狐は、少年と少女とで一緒に追いかけっこなどをして遊んでいる。

 二人の笑顔は、太陽のようにまぶしくて、何よりも楽しそうだった。


 かと思ったら、追いかけっこをやめて魔法らしきものを放っている。

 きっと、二人と二匹にとっては、遊んでいるだけのつもりなのだが、第三者からしてみるととても恐ろしい力でもあり、逆に味方にいれば、とても、頼もしい力でもあった。

 そんなことを思ったのは、その光景がすごかったからだ。

 さっきまできれいな草原だったのが、魔法一つで大きなクレーターができるほどに。

 さらには、遠くにあった大きな山も魔法を一つ放っただけで、消滅していた。

 結構な距離があったのにもかかわらずだ。

 そんな規格外な力があったら、少年たちが望んでしまえば国一つどころか、大陸一つぐらいは、なくなってしまうのではないかと思った。


 そんな恐ろしくも、すごいと感心するような光景を見たらまた場面が変わっていた。

 今度は、星と月がきれいな夜だった。

 どうやら、さらに五年後の世界らしく、また少年と少女は大きくなっていた。

 ちょうど、今の私たちと同い年ぐらいの年齢だ。

 今回は、天体観測をしているようだった。

 少年は、黒い猫に乗って観察し、少女は白い狐を枕というか、ベット代わりにして寝転がりながら観察していた。

 この時は、望遠鏡なんてものはなかったため肉眼でしか見ることができなかった。

 でも、当時は魔力というものがあったから、肉眼でも魔法を使えば望遠鏡並みかそれ以上はっきりと綺麗に見えていた気がする。


 話は変わって、少年と少女、黒い猫、白い狐にメイドと執事が加わっていた。

 メイドは、黄金色の髪をハーフツインテールにしていた。

 それで、少女と一緒になって狐の上に寝ころび天体観測をしている。

 メイドとしてそれでいいのか? と思うが、彼女はそういう人なので仕方がない。

 それに、彼女は、年が近いということもあり、友達のようなものだった。

 彼女は、幼少期に私の専属メイドとして働き始めたので、幼馴染でもある。


 執事の方は、メイドと違って、立っており、少年たちのことを見守っていた。

 執事は、青みがかった黒髪で、眼鏡をしている青年だ。

 少し、少年たちよりは大人びているので、二十歳かそこらだろう。

 そんな執事は、少年の専属で身の回りのお世話はもちろん、仕草なども洗礼されていて、完璧と言わざるを得ない人だった。


 ほのぼのして光景を見ていると、またもや場面が変わった。

 今度は、辺り一面、灰色で覆いつくされていた。

 そして、声が聞こえた。

 美しく、儚げな声。

 その声の正体を私は知っている。

 前世、私たちにたくさんの愛情をくれたお母さんだ。


「この世界は、もう長く持ちません」


 声が響き渡る。

 どこから聞こえてきているのかもわからないが、でもその声にただただ耳を傾けていた。


「だから、新しい世界を作ってほしいのです。それができるのは、我が子どもたちだけ。だから、」


 一回途切れるとまた話し始めた。


「だから、......この世界を頼みましたよ」

「私の愛しの子どもたち(双子の子)


 そこで、私は初めて理解した。

 見るとその日必ず何かが起こる夢の正体を。

 なぜ、私と類の封筒が白かったのかを。

 それから、『神に近き存在』の意味を。


 私は、このことを類や、美音フードの人につかまってしまった亮に話さなければいけない。

 今、分かったことを、伝えなければいけない。

 だから、戻らないと。

 元の世界、現実世界に。

 そう思ったとたん、私の目の前に白い光が出た。

 かと思ったら、それは扉へと変形した。

 私は、その扉を開き、戸惑いもなく中に入っていった。

 類たちのもとへ、帰るために。

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