第十一話 テロリストの目的
他のクラスからも悲鳴が聞こえてきた。
どうやら、この学校はテロリストに占拠されたらしい。
そのこともあって、皆おびえている。
「おやおや皆さん、怖がってる様子で。少し落ち着いてください」
刃物を持った男をなだめる、フードをかぶった人。
仲間同士のはずなのに、なんでこっちを庇うような発言を?
疑問に思いながらも、私は美音ちゃんを庇うようにして、二人組を睨んでいた。
「なんで落ち着かないといけないんだよ! こういうのはな、怖がらせて、恐怖を受け付けた方がいいんだよ。でも、威勢のいい奴らもいるようだが。俺は、嫌いじゃないぜ。だって、」
話しながらこちらを見てくる男。
その目は、確実に私と類を捉えていた。
「だって、その顔がゆがむ瞬間が、一番最高なんだからなぁ」
「そうですか。まぁ、こちらとしても協力を依頼した身ですし、実験体さえ傷つけずに手に入れば、それで構いません。そうですね、殺すこともいいと思いますよ」
「そりゃ、いいな。ならあの威勢のいい奴の大切なものから奪ってやろうかな」
そんな会話に、より一層、美音を守ろうとする私。
亮は、自分で身を潜め、類に至ってはのんきに教科書を読んでいる。
そんな中、穂乃花先生が口を開いた。
「す、す、すみません。...発言してもよろしいでしょうか?」
「なんだ? その度胸に免じて、特別に許可してやる」
「あ、ありがとうございま、す。あのですね、その、封筒の色が赤い色ってどういうことですか? そ、それと、どうしてこんなことを?」
穂乃花先生は、震えながらもそう聞いた。
「そうですね。赤色の封筒の持ち主が誰かを教えてくださるのでしたら、教えて差し上げてもいいですが」
「そ、それは......」
穂乃花先生は言うのをためらっているように見えた。
それはきっと、亮がこの前言っていたことと一致したからだろう。
状況を理解するが先か、生徒を守るのが先かで悩んでいるに違いない。
美音は、きっと言わないだろう。
なぜなら、先ほどから震えていて言葉も発せそうにないからだ。
でも、亮は声を出してしまった。
「俺が、その封筒を持ってる。これが何よりの証拠だ」
亮は、赤色をした封筒をテロリストに見せた。
「ほう、それは確かに本物のようですね。では、あのお方以外は殺してしまってもいいですよ。さすがに、二人目や、それよりも位の高い人なんていないでしょうから」
「そうか。じゃあ、やっとお楽しみの時間ってわけだ」
男が、刃物をもって構える。
「あ、ですが約束を果たしていませんでしたね。それを果たしてからにしてあげてください」
「約束だぁ? そんなもの無かったことにすれば良いじゃないかと言いたいところだが、お前さんは怒らせたら怖い気がするから、ここは引き下がってやる」
男は、両手話あげながら後ろに下がった。
「それは、ありがとうございます。それでは先ほどの質問に答えましょうか。まずは封筒の正体からでしたっけ。そこの彼が持っている封筒は実際は赤色なんです。この色が見えるのは、赤色の封筒を持っている人か、それ以上。つまり、白色の封筒を持っている人しかわからないんですよね」
「だから私たちのような、茶色の封筒を持っている人には分からなかったと」
穂乃花先生は、フードをかぶった人の口調がやさしかったからなのか落ち着いて話すことができている。
それと、どうやら、先生たちも封筒をもらっていたようだ。
というか、私と類が美音たちの封筒を見分けられたのはそういうことか。
「はい、おっしゃると通りです。ちなみにわたくしが判別できる理由は、まぁはなさなくてもいいですよね。それで、茶色や青色といった方々には見えなかったのでしょう。もちろん、自分の封筒の色ですら。そして、その封筒の色の位が高いほど『神に近き存在』とされています。なので、わたくしたちは、その者たちを実験た、ごほん。保護するために、参ったのです」
咳払いをしてごまかしたつもりなのだろうが、さっきから丸聞こえだってので意味がなかった気がしたが、今それを言うべきじゃないことぐらいはわかっているので、つっこまないでおいた。
「つまりは、俺がお前らに捕まえられれば、大丈夫だと」
「さっきの少年ではないですか。はい、そうですよ。まあ、あくまでもわたくしたちはですけどね」
どうやら皆は、もしかしたら生きられるかもしれないと希望を持つものも出始めた。
でも、そんな意味深な言葉に、私は疑問を抱えたのであった。
『わたしたち』は、そこの二人のテロリストのことをさしているんじゃない気がする。
もっと別の組織とかそういうのをさしている気がしてならない。
それに、さっき『協力を依頼した』とも言っていた。
だから、違う組織と違う組織が手を取り合った形だと思う。
ようは、『私たちの組織は、実験体さえ手に入れば手は出さないつもり』か『私たちの組織は、実験体さえ手に入れば、残りはどうなってもいい』のどっちかってことだと思う。
それに、『私たちに手を出すつもりがなくても、協力依頼を受けた方は、手を出す可能性がある』ってことだとも思う。
だからこそ慎重にならなければ。
私は、なぜかこの感覚が懐かしいと思いながらも、テロリストのことを警戒した。
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追記:この話から、午前六時、投稿になります




