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キングロードクエスト4

「こんちわー、武器くださーい」

操作する勇者を武器屋に入店させた美子が言った。

「何が売ってるのかしら? えー……銅の剣、鉄の剣」

テレビ画面を凝視しながら江奈が言った。

「わりと色々あるんだな。一番強いのどれだ?」

「んー、この一番値段が高いやつじゃない?」

「何々……ほぅ、ドラゴンソードか。いいじゃん、これにしようぜ」

「バカ、横の値段見なさいよ」

「え? 五万ゴールドだけど……五万ゴールド!!」

「すごいベタな驚愕の仕方するわね」

「いやいや、高すぎるって。他のにしようよ、他のに」

「でも変に妥協して弱いの買っても、またゴブリンに命のロウソクを吹き消されるだけよ」

「でも、所持金がよぉ」

「ないカネは、生み出すしかないわ」

「生み出す?」

「……防具、全部売るのよ」


『鉄のヨロイを売った』

『鉄のコテを売った』

『鉄のブーツを売った』


「……おい」

「……何よ」

「勇者、肌着だけになっちまったぞ」

「それが?」

「アホ! これじゃあ、風邪引くだろうが!」

「そこぉ!? こんな装備で戦えるかじゃなくて?」

「ああ、そっちか」

「普通、そっちでしょ。で、売却額は?」


『五十ゴールドを手に入れた』


「……」

「……」

肌着に銅の剣姿の勇者が誕生した。


「うぅ、不本意だが。いざ、フィールドへ!」

美子が肩を回しながら言った。

「防御力皆無だから、一撃でも食らったらアウトよ。マジに気をつけて」

江奈が言った。

「ハードだなぁ。まあ、甘ったカネですばやさを上げる装飾品を買ったから大丈夫だろ」

「え、そうなの? 何て装飾品?」

「はやぶさのネクタイ」

「……もう勇者じゃなくて不審者ね」

「そう言ってくれるなよ。姫を救い出せば、不審者だって勇者の仲間入りだ」

「助け出す前に姫に逃げられそうだけど」

「そこはそのぉ……お?」


『ゴブリン1が現れた』

『ゴブリン2が現れた』


「はぁ!? 二体!?」

美子は驚愕した。

「……そうきたかぁ。不味いわねぇ、現状1ターンで倒せるのは一体が限界よ」

江奈が額に汗を浮かべながらいった言った。

「どうする? また逃げるか?」

「……いえ、戦いましょう」

「江奈……」

「私達は今、このゲームの中の勇者、世界の希望なのよ。その希望である私達が無様に逃げ回る訳にはいかないわ」

「……そうだな」

「頼むわよ、美子!」

「合点承知だ、江奈!」


『勇者の攻撃』

『ゴブリン1を倒した』


「「よし!」」


『ゴブリン2の攻撃』

『勇者は力尽きた』


「「だよね」」

窓の外には綺麗な夕焼けが広がっていた。

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