芸術とは何だろうな
１０月１４日に色々と物議を出したあいちトリエンナーレは無事終了した。私個人としては展示内容に文句は有るが、地元でテロが起こる事を望んでおらず無事に終わってほっとしている。表現の不自由展ばかり話題になっているが、見にいけなかった人の為に他にどんな作品が有ったのか説明しておこう。
面白いと思ったのは中国人が自分の名前を路上にスプレーで書いていたら道の名称になり、調子に乗って道路標識に本物に酷似したプレートを付けたら公式に道の名前として認められ、グーグル検索でもその名前になってしまったと言う物だ。ネット上でネタバラシをして中国当局に撤去されるまでセットだな。香港の暴動の鎮圧とか見ると良く中国当局をおちょくったなと思う。
技術面では路上に落ちているガムやたばこの吸い殻から遺伝子を採取して捨てた人がどんな顔をしているか特定すると言った物だな。世の中の技術はここまで来たかと思うと共にたばこのポイ捨てはやめようと思ったな。この作品のテーマが環境美化なら上手い手法だと思う。
他はドキュメンタリー系の映像作品が多く、難民が迫害を受けているとか、北朝鮮の金日成と韓国の前大統領である朴槿恵の父親（朴正煕）の葬式の画像を左右のモニターで写し、我々は同じ文化や民族なのに何故分断されているのかを訴える物とかかな。その中でも胸にグッと来たのはトランスジェンダーの人が変更した名前を声が枯れるまで叫ぶと言う物かな。
問題の表現の不自由展は残念ながら抽選に落ちてしまった。文化庁が補助金を出さないと言い出したならその補助金を補填するのは愛知県民だ。せめてどんなものに自分が金を出しているのか知る権利は有ると思うんだがな。
世界には色々な社会問題が有るのは分かるがノーストレスが売りのなろう民で有る私としては、仕事で疲れているのに休みの日にまで頭の痛くなる様な問題を考えたくないな。喜怒哀楽で言うと喜と楽を刺激するのが娯楽だろ？
まあさ、俺達が美術品に金をかけるかと言われればノーで有り。金を出す層に寄り添えば社会問題に切り込んで講演会とかで儲けるのが得策なのかな。弁論は原価タダだしな。今時金がかかって置き場にも困るブロンズ像とか作ってる奴は稀な存在なのだろう。アーチストもカスミを喰って生きているわけではないのでそれはしょうがない事だ。俺達だってテンプレだなんだとののしられようが人気のジャンルを書くだろ？ 似た様なもんだな。
カンヌの映画祭とかもそう言った傾向が有るな。ハリウッド映画みたいな悪い奴をやっつけてスッキリしたと言う作品は絶対にノミネートされないもんな。遠い海外の社会問題を見る事で心のモヤモヤを共感したいのかな？ 一労働者である私には理解しずらい世界だが海外（欧州の方）ではこれがトレンドなのかもしれない。
んで、絵画の様な視覚情報を刺激するのも、中世と違って写真やコンピューターグラフィックに押されてそれで食って行けなくなっている。まるで隙間産業の様にまだ誰もやってない事をやるあまりに、より表現が過激になっていくのだろう。確かに日本において皇室や戦争問題は触れてはいけないタブーになっているが、そこに切り込むなら細心の注意が必要なんじゃないだろうか？ 地雷原に飛び込むのに金属探知機無で行く様なもんだぞ。やるのは良いが段階を踏めよな。
今回のあいちトリエンナーレは随分偏っていると言われているのでこれが美術関係の全てでは無いのは理解して欲しい。現在岡山と香川で行われている瀬戸内国際芸術祭は見て楽しい物が多い。同じ環境問題を考える物でも、拾ったゴミを使って魚のオブジェを作りましたとかの芸風だな。あっちは回をかさねる事にオブジェが増えていって羨ましい。
過疎化が進む地域では芸術祭に対する取り組み方が違うのだろう。名古屋はシャッター街とは言え二階部分に人が住んで居るので、使って居ない店舗でも訳の分からない他所者に貸したりしないもんな。今回の騒動を見るに自分の住んで居る場所を貸して問題の作品なんかを展示されたら憤死するかもしれない。
芸術監督の津田大輔氏は昭和天皇は二代前だから過去の人と言っていたが、昭和２０年生まれが７４才位だろ？ この前後の世代は天皇陛下が伊勢神宮に参拝するために名古屋に来た際には沿道に並んで、日の丸の旗を片手に万歳三唱させられていた世代だぞ？ 今後のトリエンナーレ開催を考えると名古屋市民（特に年寄）のヘイトを集めるのは得策では無いと思うんだけどな。ただでさえ非協力的なシャッター街の人の態度が硬化してしまうじゃないか。と言うか次は有るのだろうか？ 次の愛知県知事は退くのも地獄進むのも地獄だな。
一応６０万人位の来場者がいるらしいがこれは会場を分けて水増しした数だと思われる。下手をしたら社会科見学で嫌と言うほど行かされるので、名古屋市民は誰も行かないトヨタ産業記念館の方が来場者数が多いんじゃないか？ 一企業に負けてるぞ大丈夫か愛知県。外人からトヨタ県と呼ばれないように気をつけろよ。
問題の表現の不自由展も大勢の人が訪れたかの様に報道されているが、地元のニュースでの最終日の観覧希望者は３２００人だった。これが評判を聞いて興味本位で来た人では無く、純粋に展示の趣旨に賛同した人が来ていたとしても少なすぎる。話題性は有ったけどかなりリスキーな賭けだったな。公金を使ってるからと無難な内容で行ったら面白く無くなるとは言え、少しはっちゃけ過ぎだろｗｗｗ
擁護する人達は今回のトリエンナーレは際どい所を攻めていると言うが、際どい所を攻めるのは人気の無い作家の専売特許であると私は思う。地方都市の展覧会ならまだ納得できるが、一応国際芸術祭なんだよね。海外から客を呼び寄せ、これが芸術だと発表するとしたら疑問を感じる。
トリエンナーレなどの催し物は日本各地で行われている。来年は横浜だな。名古屋市をトヨタ自動車の産業城下町と呼んでしまうと他の企業から怒られそうだが、他県民の認識なんてそんなもんだろうし産業の町で有るのは間違いない。地元の特色を生かして後世に残る物を作って欲しいものだ。名古屋は観光地と呼べる物が無いのでマジで頼むぞ。
少し話に出た瀬戸内国際芸術祭は11月4日まで開催されている。この地域はベネッセコーポレーションが後世に何かを残すと言うスローガンの下に行われているので、会期が終わっても見る事が出来る物が多い。面白い物も多いので機会が有れば見に行って欲しい。
何で瀬戸芸の宣伝をしているんだろう。私の地元にもこれは面白いからいっぺん来てくれと言える物が欲しい。
