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わいは、豚である  作者: 愛雌 雄
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Why 花楓殿のいない世界②

Why 花楓殿のいない世界②



「では、早速車に乗ってください、奴らのアジトに行きましょう」


「いいや、跳んだほうが早いはずでござる!」


「は?」


「とにかく、奴らの居場所を教えてほしいでござるよ!」


そうしてわいは、高田殿から奴ら――郷田たちの居場所を聞くと、高田殿とその部下一人を乗せたパトカーを片手で持ち上げる。


「な、なんなんですかあんたは!?」


穏やかな口調の高田殿が悲鳴にも似た声を発する。


「拙者? 拙者か?」


そうだな、彼女いない歴=年齢の42のキモオタ。

怠惰に怠惰を重ねた社会不適合者。

百合にその身を預け、能力と引き換えに見た目を失った、そう! まさに堕落した天使!

与えられたものだけで今まで生きてきた、無力な俺を、例えば、例えば一言で形容できたのなら、それはきっと……。


「わいは、豚である。 それだけでござる」



それから約2秒。

海岸沿いのコンテナに着く。

パトカーの中には高田殿の部下を一人残し、わいと高田殿でコンテナの中へ忍び込む。

沢山ある巨大な荷物と闇に身を隠し、中を散策。

すると、小さな音を拾った。


「い、いや、やめてください!」


「はあぁ、もったいねえなあ、目の前にこんなエロイのがいるのに、ケガのせいで触れねえや! まあでも、これも一種のエロプレイ! ほら嬢ちゃん!目ぇあけな!!」


「い、いやです、いやあ!」


い、一体何をやっているんだ!? 他の部屋の音だ、くそ! 位置がよくわからん!


「ほらほら、嬢ちゃん! 俺のけがが治ったらあんたはこの聖剣のえじきになるんだよおお!! 目を開けてみろお! ほらほらほらほら!」


「ぜ、絶対に見ませんそんなの!」


ここらへんで空気の震えから男と行動が分かった。


ここから少し離れた部屋の中。

男が三人に花楓殿が一人だ。

鉄のパイプか何かに花楓殿は腕を縛られている。目もつぶっている。

そして男の一人、花楓殿の前で車いすに座っているのは郷田長龍だろう。

多分これは下半身に何も履いていない。

勃〇した自分のを花楓殿に見せつけて楽しんでいるのだろう。

学校近くにあらわれる性犯罪者とやり口が同じである。

何て破廉恥なんだ。

他にいる、たぶん見張りの大柄の男二人はドン引きしているぞ。空気の流れで分かる。


それと共に、いつもは感じない痛みを感じた。

花楓殿が襲われている、その状況に胸が締め付けられる。

あって数週間しかたたないのに、どうしてもいやだ、隣にいてほしい、またあの笑顔が見たい、他の男に弄ばれていることが許せない。


しかし、空気の流れは別の事おも察知している。


「耕太郎さん、何か気づきましたか?」


怒りに震える俺を見て、高田殿が質問する。


「花楓殿の居場所が分りました。 それと……」


流れる空気を一定間隔で揺らす、人間なら絶対にやめられない動き。

怒りで活性化された俺の耳は空気の波の一つ一つの構成までも見抜き、その人数を図る。

俺と、高田殿の周り、コンテナの上、右に15、左に18、前方に14、後方に20の人間がマシンガンだのピストルだのを構えて待ち構えている。


「俺達、大量の人間に囲まれています、たぶんそのうち……」


そして、前方の男たちのその向こう。

暗闇の中高みの見物をする老人が一人。

それに気づいた瞬間、大きな建物に照明が付く。


「お主、本当に人か?」


「あ、あれは組長、郷田達平!」


高田殿が戦慄に震える。

しかしそれは組長の姿だけにではない。

周りを囲む大量の人間と彼らの持つ重火器にだ。


「耕太郎さん、いったん引きましょう! 殺されます!」


「いや、高木殿、ここから見える後方の10人のほかにさらに10人隠れている。 逃げられない」


「な、ど、どうすれば……」


高田殿が狼狽する。

時は残酷に流れ、男たちは銃を構えた。

警官の息をのむ音。

老人は侵入者に鉄槌を下すべく、発射の合図を送る。


「すみませんでした、私の、私の不注意です、本当に……」


「高田殿……わいは、豚だけど強いですぞ! どうかそこで見ててください!」


きっと、きっと俺が銃を持つ者どもを蹴散らそうと飛び立てば、後方に隠れる何人かで高田殿を殺しにかかるのだろう。

同じ手口だ。


でも、もう負けない。


全方位に神経を集中する。

飛んでくる銃弾、隠れている者。

わいが離れれば高田殿がやられる。

わいが離れなければ、銃弾はやまない。


だから、すべてを止めた。


時間にして約三分。

放たれる銃弾をすべて空中で止め、無力化、後方の十人を倒し、すべての銃は無力化された。


「な、なな」


高木殿はさらなる戦慄に狼狽する。

それは、その場にいたものが全員そうで、

「ばけものだ!」 「殺される!!」

誰もが口々にそういって逃げた。


「あ、貴方は……?」


再び、高木殿が問いを放つ。


だが、答えは一緒だ。


――わいは、豚である。 やはり、それだけでござる。



第8話「Why 花楓殿のいない世界②」


花粉って本来何処かの木に受粉されるものですよね。つまり木は空中に〇子を何万何億とぶちまけているわけで……エッッッッッッ

全身〇子まみれって何だかビデオのお名前みたいで面白いなって思いました。ブヒー。

明日も夜投稿です是非見てください!

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