ドラマ「日本終了のお知らせ」最終話
総理がその日、ゴールデンの時間帯のテレビ会見で決めゼリフを言った。
「日本は終わりました」
記者達は驚いたが、インタビューを続けた。
「どういう事ですか、総理」
「昨年、私は前総理からバトンを引き継ぎまして、就任以来一年近く経ったわけでございます」
総理は続ける。
「困難を承知でお引き受けいたしましたが、先ほどを持って私はこれ以上日本は続けられないと判断いたしました。辞任いたします」
「次の総裁選は誰が出馬すると思われますか?」
マイクを向けられる総理。
「私が答えると思いますか? 日本は終わりました。私は辞任します」
なぜ日本が終わったのか、という記者らの質問にははっきりとしない回答をする総理。一体どのようにしてなぜ日本は終わったのか誰にも分からない。
「総理はなぜ、日本が終わったのだとお考えなのですか?」
「政治資金の問題。年金記録問題。C型肝炎問題。防衛省の不祥事。増え続ける借金。少子高齢化。拉致問題の不進展。食品産地偽装。その他にも色々理由はありますが。
私は今まで誰も手をつけなかった、国民目線での改革に着手いたしました。それでも私の支持率は下がる一方。
日本は終わりました」
総理は淡々と述べた。
「総理、まるで人事のように感じられるのですが」
記者の質問に、総理はメガネを輝かせて、記者に対して人指し指をビシッと指した。
「私はあなたと違って、自分自身を客観的に見る事が出来るんです。総理大臣は思った以上に大変なんです。私は辞任する事が出来るんです。あなたとは違うんです!」
さすが、ラストの決めのセリフ。練習した甲斐があって言葉の切れが違った。総理は思った以上の手ごたえを感じ、自分のセリフに小さく唸りを上げた。
このドラマの見所はここの一点に集約されていたと言っても過言ではない。
このドラマは史上最低な視聴率を記録したドラマでした。
日本ってマジでどうなるんでしょうかネ。あはは。
もうやだこの国……。