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ライ樹はあの子と追いかけっこする
一匹のライオン――ライ樹は砂漠であの子と追いかけっこしていました。
あの子と付き合いだしてから、ライ樹は狩りをしなくなりました。あの子が狩りをしてくれるため、ライ樹はただひたすら帰りを待ち続けるだけでした。
そんな生活を半年間ほど続けていたら、ライ樹はブクブクと太ってしまいました。体が重く歩くのも一苦労で、思うように走ることができません。
あの子はライ樹の身を案じ、追いかけっこしようと提案したのでした。
ライ樹は猛スピードで走るあの子を追いかけますが、突き放される一方です。せっかくあの子が提案してくれたのですから、ダイエットを諦めるわけにはいきません。
息を整えながらも、ライ樹は必死であの子を追いかけます。しかし、足が絡まって何度も転んでしまいました。結局、この日はとうとう追いつくことができませんでした。
落ち込むライ樹をあの子は抱擁し、慰めてくれます。
ライ樹はあの子に必ず痩せると誓い、体を預けるのでした。
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