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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

死にたがりの花と、生きたがりの…

作者: 結音

えーっと…

なんか、書いてしまいました。

まぁ、雰囲気は嫌いじゃないです。

ふと気がつくと私は向日葵が咲き乱れた、向日葵畑の前に立っていた。


そう言えば、花畑には恐ろしい妖怪がいると村の人に聞いた覚えがある。


まぁいいか、私はもう死んでいるようなものだし…。

私は、気にせず花畑の中に入ると話し声が聞こえてきた。


「あっ!人間だ!」

「あはは、死にに来たのかな?」

「可哀想、食べられちゃうね。」



「…妖精、か」


さっさと妖怪が出てきて、私を殺してくれないだろうか…。

そんなことを考え、歩いていると後ろから声をかけられた。


「花と妖精達が騒がしいと思って来てみれば、人間か。

ここに足を踏み入れたと言うことは、食べてもいいのかしら?」


振り向くと、緑髪で整った顔立ちの美しい女性が日傘をさして立っていた。


「貴女は誰?」


私が聞いて、彼女は答える。


「私は、フラワーマスターの風見 幽香。

妖怪よ。」


そう言うと彼女は、一瞬で私の目の前から後ろに回り込み、次の瞬間には手刀が首もとにあてられていた。


「殺さないの?」


「…何故、逃げようとしないのかしら?

それに命乞いも無し?」


「別に、生きる意味が無いし。

…殺すなら、早く殺ってよ。」


暫く沈黙が続いたかと思うと、幽香は私の首もとにあてていた手刀を下げた。

少しだけ、がっかり…


「何故殺さないの?」


「私は、怯える様が見たいだけ。

食事ならいつでも摂れるけど、怯えて命乞いをする様は、なかなか見れないもの。

…それに自分から命を棄てようとする物に、私は興味が無い。

・・は死・・・・ね…。」


いくら死ぬ気でも、生身の人間が強力な妖気を前に意識を保つことは、無理だった。



















「っう…ん」


目を覚ますと、私は誰かの家の中にいた。


…死ねなかったか。


そう思い俯いていると、彼女の声が聞こえた。


「まったく、私の畑を貴女の死で汚さないでちょうだい。

死にたいのなら、迷いの森か、無縁塚に行きなさい。」


そう言い残して、幽香は外に出ていった。


テーブルには、パンと紅茶がのせられていて近くには、紙に貴女の朝食。とだけ書かれていた。


「妖怪なのに優しいのね…。」


一応、準備してくれた朝食を食べ終わると、私も外に出ることにした。



……相変わらず向日葵が、太陽に向かって咲いていた。


「…いいなぁ、ただ此処にいるだけで生きて行けるんだから。」


「何も知らない貴女が、この子達を死にながら生きているようなこと、言わないでくれる?」


「…ごめん。」


「そういえば貴女、名前は?…一体何があったの?

親は?」


暗くなっていると、急に幽香が尋ねてきた。


「…名前は漢字が違うけど、貴女と同じユウカ。

優しい花で優花。

苗字は…夜ノ(ヤノサキ)

親は…死んだよ。」


「…なんか、ごめんなさいね。」


「別にいいよ。」


……


「何故、貴女は死にたいの?」


少しだけ沈黙があった後、幽香は率直な疑問を投げ掛けた。


「…わかんない。

でも生きる意味がわからないから、死んでも大丈夫…だと思う。」


何故だろうか…幽香、彼女は妖怪なのに優しくて、妖怪だからこそ強くて眩しくて美しい。


「幽香が羨ましいな…。」


いつの間にか、私は自分勝手な言葉を呟いていた。


「…羨ましい、か。

貴女はきっと、私を美化しすぎているわ。

それに私は、貴女のように簡単に死は選べないもの。


けれどきっと簡単に死を選べてしまうからこそ、貴女の花は咲かないのね。」


「…幽香も死にたがり?」


「そうね。そうだった。

けど、途中で馬鹿らしくなってやめたわ。

だって目の前に、ただひたすら生きることだけを考えて生きている彼らいるんだもの。」


そう言って幽香は向日葵畑を見回した。

ただひたすら生きている彼ら…あんなにも輝いているのに、どこか寂しい…


…?あぁ、そっか。

この向日葵と、幽香は…きっとすごく似ている。

だから、幽香は美しいのか。


「ふふふっ

今の貴女、少しだけ殺し甲斐のある顔をしているわ。」


「…うん、自分でも少しわかる。

死にたくないなって、思いはじめてる。

けど、幽香に殺されるならちょっと…嬉しいかも。」


あんなにも輝いていて、私の理想的な人間像。

けれど、彼女を知れば知るほどわかる寂しさ…。


まだ会ったばかりだから、きっと彼女は、まだまだ底知れないものを秘めている。


その秘めたものを知りたくて、寂しさを埋めてあげたくて、私は生きたくなった。


「ねぇ、幽香?」


「何かしら、優花?」


「貴女の側に、居させてほしい。」


これが、今の私の精一杯の気持ち。

この気持ちがどんな気持ちなのか、私にはわからないけど…きっと私は、彼女に恋をしている。

だからこそ、彼女になら何をされても構わない。

…そう考えてしまうのかもしれない。


「…貴女、本気なの?」


幽香は、驚きを隠せない顔をしていた。

…嫌われたかな?


当然か。

見つかった生きる意思は、早くも消えかけていた。


「…貴女がそれでいいなら、好きにしなさい。」


「……え?」


「二度も言わせる気?」


「いや、そうじゃないけど…

本当に、いいの?」


「好きにしなさい。

ただし、家事は貴女に任せるわよ?」


「はい!」


やっぱり、彼女は、幽香は優しい。

恐れられた彼女の本質は、きっと慈愛に満ちているのではないか?

そう思えるほど、彼女は温かかった。


「ようやく、生きる意味を見つけたのかしら?」


「はい。

私は、貴女の側で貴女の為だけに生きていたい。」


ただただ嬉しかった。

気づけば、涙が頬をつたっていた。


「あ、れ?

なんで泣いてんだろ…私。

嬉しいのに…

ごめん幽香。嬉しいのに涙が止まらないよ。」


「まさか、泣かれるとは思わなかったわ。

…仕方ないわね。

ほら、可愛い顔が台無しよ?」


そう言って、彼女は私に近づき…


幽香と私の距離は、零になっていた。



これが私にとって初めての始まり。

この原点から私の人生は…


「…どんな花が咲くかと気になっていたけど、まさか季節外れの…しかも長咲きの百合とはね。

…ようこそ、私のお家へ。

夜ノ咲 優花。」


「幽香?」


「何?」


「ありがとう。」


妖怪にお礼を言うなんて変かもしれないけど…

きっと、これが私の素直な気持ち。






























私は、幽香の為なら死ねる。

気がつけば、このゆうかりんドSじゃない…

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― 新着の感想 ―
[一言] ・・・・ドSがない・・だと?
[一言] この幽香…ドS(ド親切)ですなwww
[一言] ドS(ド親切)ですな。
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