に
平凡求む少女は言う。
「変化ばかりの毎日は、それは私にとってそれが『通常』。皆の言う『平凡』な日常をすごしてみたい」
変化求む少年は言う。
「在り来たりな毎日で飽きるということを覚えた。退屈から一変した変化に憧れを抱いているのだ」
二人の言い分を、第三者目線で聞くある少女は言う。
「どちらも『変わりない毎日』の一直線。『変化』というのは、他人と己で違うものがあるからそれは『変化』と呼べる」
息継ぎをするように間を空け、再び語りだす。
「此処に林檎があるとしよう。食べるという能力がない人間から見たら、食べている者がいればそれは素晴らしい変化の一部と言えるだろう。逆に、林檎を浮かすことのできる者がいれば、浮かせない私たちはそれを不思議な物だと捉える」
良い気になって、「つまりだ」と付け加える。
「つまり、それら不思議なことを己ができる様にと願うのが変化というモノだ。平凡を不思議な物と捉えた生き物が、それを目指す。両方できる者は、それを笑うのだけれど」
座っていたブランコからおり、向かいのベンチで話す2人のヒトを見た。
すぐに視線を変え、夕日を背に浴びながら歩いて行った。