表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移したけど森の奥で引きこもってます。スカウト? いやぁ、森から出る気はないので遠慮します  作者: 初音の歌
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/109

第6話・王都までの帰り道

続きを投稿していきます。のんびり書いていきますので。


 森の空気は、相変わらず重く澱んでいた。


 瘴気混じりの風。

 ねっとりとした魔素。

 そして、あちこちから漂う「肉食獣の匂い」。


 けれど――アウローラ一行の進軍は、驚くほど軽やかだった。


「来るぞ、右前方。三、いや四だな」


 先頭を行く護衛の一人が、槍の穂先をわずかに向ける。

 茂みの影から、牙を剥き出しにした獣型の魔物が飛び出した。

 咆哮。飛び散るよだれ。

 たちまち、森の空気が殺気で満ちる――が。

 魔物の爪が、アウローラの肩口めがけて振り下ろされる。

 次の瞬間、透明な何かに弾かれるように、爪が甲高い音を立てて跳ね返った。

 火花とともに、魔物の腕が逆に折れ曲がる。


「……ほらな」


 アウローラは、肩口を軽く払うようにしながら、ため息まじりに呟いた。


守護力場フォースフィールドがあると、緊張感が薄れるな」


 彼女の剣が、一閃。

 護衛の槍が、続けざまに突き込まれる。

 別方向から飛んできた魔物の吐息――鉄を溶かす強酸の霧も、彼らの身体に触れる前に、見えない膜にぶつかって霧散した。

 ぱちぱちと、虚空で火花のような反応だけが走る。

 さらに、木陰で赤く光った魔物の単眼。

 石化の魔眼を放つ上位種だ。

 しかしその視線も、淡く光る膜に遮られて、何の効果も及ぼさない。

 守護魔法の外側の樹皮だけが、石化してひび割れる。


「豆鉄砲、ですわね……」


 後方の侍女がぼそりと呟き、指先から魔法を放った。

 火の矢が、木陰の魔物の眼を正確に撃ち抜く。

 続けざまに風の刃が走り、首を断ち切った。

 アウローラの剣。

 護衛たちの槍と剣。

 侍女たちの魔法。

 その一つ一つが、魔物をあっさりと駆逐していく。


 鎧袖一触――まさに、その言葉通りだった。





◇◇◇





 やがて、視界がふっと開ける。


 何度も通った、少しひらけた場所だ。

 森の入口と有羽の家の、丁度中間地点。

 木々がまばらになり、空が広い。

 夕日が斜めから射し込んで、草むらを金色に照らしていた。


「……ここまで来れば、一息つけるな」


 アウローラは、周囲を一通り見渡し、頷いた。


「よし、各々準備を始めろ」


 きびきびとした声で指示を飛ばす。


「私と、いつもの面子で薪を集めに行く。残りはテント設営と夕飯の準備だ。あと――」


 足元の大地に視線を落とし、小さな石を取り出す。

 手のひらほどの、大して目立たない石。

 だが、その内に込められた魔力は尋常ではない。


「この辺りでいいか」


 アウローラは、地面に小さな穴を掘り、その石を埋める。

 次の瞬間、目には見えない何かが、ふわりと周囲に広がった。

 有羽から預かった、「魔力の籠った石」。

 これを地面に埋めるだけで、約半日の間、彼お手製の結界が周囲を覆う。

 即席の、安全地帯。


「……ホント、これだけで一財産だよな」


 護衛の一人が、誰にも聞こえないような声でぼやく。

 この魔石を大量に王都へ持ち帰り、売り出すだけで――死ぬまで遊んで暮らせるほどの金が動くだろう。

 だが有羽には、そんな考えは欠片もない。

 製法も教えないし、量産もしない。

 行きと帰り――道中で一泊するために必要な「二つ」だけを、アウローラに渡す。


 ……ちゃんと「行きの分」と「帰りの分」を考慮して手渡すあたりが、有羽の人の良さを何よりも物語っていた。


「よし、結界は張られた。薪拾いの者はついてこい」


 アウローラは、いつもの数名の護衛を連れて森の中へ消えていく。

 残った護衛と侍女たちは、それぞれ手分けして動き出した。

 慣れた手つきでテントが立ち上がり、荷物が運び出される。

 鍋の準備、火おこし、食材の仕分け。

 テキパキと野営が形になっていく中、自然と会話も弾み始める。


「やっぱり今回も駄目だったなぁ」


 槍を地面に突き立てながら、護衛の一人が空を仰いだ。


「有羽殿の力が王都に知れ渡るのは、いつの日になることやら」

「あの様子では、な……」


 別の護衛が、肩をすくめる。


「本当に惜しい。栄華が約束された力であろうに」


 侍女たちも、似たような顔をしていた。


「私たちだって、有羽様には是非王都に居を移してもらいたいわ」


 大鍋を洗いながら、一人の侍女が言う。


「……有羽様の作ったお風呂や化粧品を試すと、もう今までの品は使えなくなるもの」

「本当に罪な人よね……良い人なのは解ってるけど」


 隣で野菜を刻んでいた侍女が、包丁を止めてため息をつく。

 この野菜だって、帰る際に有羽が渡してくれたものだ。

 王都までの帰り道に食べる分として。彼は頑なに森から出ないが、こういう優しさを平然と見せる。


「私たち、もう有羽様無しでは生きられないわ。正直、こんなに早く帰りたくないもの。もっと滞在したいわ。料理も絶品だし」

「わかる」


 全員が、深く頷いた。

 会話は弾んでいるが、手の動きは一切止まらない。

 野営設営のスピードは、いつも通りのプロの仕事ぶりだ。


「有羽様の料理は、王都の高級レストランですら足元に及ばないわよ」


 魔道具のランタンに火を入れながら、一人が言う。


「何より種類が豊富。味わい続けてもう一年以上になるけど……まだまだ引き出しがありそうなのよね」

「せめて、うどんだけでも再現してほしいわ」


 別の侍女が、半ば本気で嘆いた。


「王都の料理人はしっかりして欲しいわ。覚えてる? 最初にうどんの製法を教えた時、『こんな単純なものの何が良いのか』とか言って、鼻で笑ってたのよアイツ等!」

「そうそう!」


 他の侍女も、すぐさま食いつく。


「鼻で笑うのはこっちのほうよね! 何なのアイツ等の作るうどんは!? 酷いものだと固いだけで、コシも何もないからね!」


 きゃあきゃあと、侍女たちが盛り上がる。

 護衛の男たちも、それを横で聞きながら笑った。


「知っているか?」


 一人がテントを手際よく立てながら言う。


「意外と、街の安食堂の女将さんとかのほうが、良いうどんを打つぞ?」

「それは流石に大袈裟だろう?」

「いや、マジだ。まあ、それでも有羽殿ほどじゃないがな」


 彼は、樽から水を移しながら続けた。


「有羽殿も言っていたが、力の入れ具合と、生地の練り具合で出来栄えがかなり変わるらしい。町の食堂の女将なんて、毎日が力仕事だ。酔っ払い相手に拳を繰り出す女将さんも居るくらいだしな!」

「ああ、あの人か……納得した」


 護衛たちの笑い声が、弾けるように咲く。

 脳裏には、街の酒場の光景が映っているのだろう。


「しかし、本当に……有羽の言葉通り、『単純だからこそ奥が深い』料理なんだな、うどんってやつは」

「料理人にとっては意地がかかってますものね。『こんな単純なものが一番美味い』と言われると、複雑な料理を作る者ほど、心穏やかではないのでしょう」


 侍女の一人がくすりと笑う。


「でも――現実は、有羽様のうどんが一番美味しいのですから、仕方ありませんわ」


 わいわい。

 きゃあきゃあ。

 野営地には、明るい声が満ちていた。


 しばらくして――。


 ふと、手を止めた侍女が、一つ溜息をつく。


「でも……一番良かったのは、やっぱり殿下よね」


 その一言に、周囲の空気が少しだけ静かになる。


「有羽様の家に行くようになって、随分笑顔が増えましたもの」


 侍女の声は、少しだけ切なかった。


「……正直、二年前までの殿下は、見ていられませんでしたから」


 護衛も、侍女も、言葉を失う。

 二年前。

 夫を亡くし、憎悪と虚無で自分を支えていた頃のアウローラ。

 何に斬りかかっても足りないような、そんな目をしていた。

 あの頃の姿を思い出すだけで、彼らの胸は軋む。


「……願わくば」


 護衛の一人が、焚き火に枝をくべながらぽつりと言う。


「有羽殿には、王都に来てもらい……殿下を支えてもらいたい」

「俺もそう思う」


 別の護衛が頷く。


「身分云々で煩い連中もいるだろうが……有羽殿ほどの知識と実力があれば、いくらでも黙らせることが可能だ。発明品の功績を並べ立てれば、爵位だって賜れるだろう」


 準備の整った食材を見つめながら、侍女たちも口を開く。


「有羽様のことを話す殿下……とても嬉しそうに笑うの。昔の殿下みたいに、本当に屈託なく」

「ええ」


 隣の侍女も、静かに続けた。


「なんとか出来ないかしらね……殿下の為にも、有羽様の為にも」


 皆、思っていることは同じだった。

 何故、有羽がこの危険な大森林で暮らしているのかは知らない。

 けれど、いかなる理由があるにせよ――。

 世捨て人になるには、有羽は若すぎる。

 この森の中で、一人で生きていく。

 それで、本当に幸せな未来が掴めるのかと問われれば……どうしても首を縦には振れなかった。


 忠誠を誓う王女殿下と。

 命と心を救ってくれた恩人、有羽。

 二人の未来が、どうか少しでも明るいものでありますように――。

 護衛も、侍女も、それぞれの胸の中で密やかに祈りながら、黙々と手を動かし続けた。


 やがてアウローラ達が戻り、夕暮れの森に小さな焚き火の灯りがともる。

 その炎は、ただ一夜の野営を照らすだけの小さな火。

 けれど、そこに集う者たちの願いだけは、静かに、熱く燃えていた。





◇◇◇





 鍋が、ぐつぐつと音を立てる。


 夕暮れの森の中、小さな野営地。

 薪を組んだ焚き火の上に据えられた大鍋の中で、水が沸騰し、白い湯気がもうもうと立ち上っている。

 アウローラは、火加減を確かめながら鍋の縁を覗き込んだ。


「いい具合だな」


 沸き立つ湯面を見て、腰のポーチに手を突っ込む。

 指先に触れたのは、硬い感触の小さな立方体。

 何個か取り出し、掌の上に並べた。

 茶色い、小さなサイコロのような物体。

 有羽が、ぶっきらぼうに言って渡してきたものだ。


『試作品。アンタらで食べて感想聞かせてくれ。まあ、俺的に美味かったけど、他の人の意見も聞きたいし』


 あの、面倒くさそうな顔を思い出し、アウローラは思わず口元を緩める。


「さて、どう転ぶか」


 ぽちゃん、ぽちゃん、と鍋の中へ落としていく。

 それは、あっという間だった。

 サイコロが、湯の中でふやける間もなく、じわりと溶け出していく。

 茶色が広がり、透明な湯がみるみるうちに金色に染まった。


 次の瞬間、ふわり、と香りが立ち上る。


「……っ!」


 護衛の一人が、思わず身を乗り出した。

 骨と肉をじっくり煮込んだような、濃厚な出汁の匂い。

 野菜の甘みを思わせる柔らかい香りが、それに溶け合っている。


「な、何だこれは……?」

「ただの湯が……」


 驚きに目を丸くする護衛と侍女たちを前に、アウローラは得意げに顎をしゃくった。


「有羽の新作だ。スープの素とかコンソメキューブとか言ってたな」

「こんそ……?」


 聞き慣れない単語を復唱する侍女に、アウローラは肩をすくめる。


「名前はよく分からんが、効果は見ての通りだ。これ数個で、この香りと味だぞ。鍋の神だな」


 鍋をかき混ぜると、底に沈んでいたサイコロは跡形もない。

 ただの湯だったはずの液体は、もう立派なスープになっていた。


「有羽め……また、こんなもの開発して」


 アウローラは、にやりと笑い、周囲を見渡す。


「なあ、お前達。これを見て、スカウトする私を間違っていると言える者はいるか?」

「いるわけがありません!」


 一番近くにいた侍女が、即座に叫んだ。


「良い匂いです! 反則です! こんな物を作る人を逃がすなんて、国の損失です!」

「まったくだ」


 護衛の一人も、真顔で頷く。


「これは軍用にも使える。行軍中の兵糧、前線の炊き出し、城下での配給にも……。正直、用途が多すぎて、どれほどの効果を生むか見当もつきません」

「災厄の時の避難民支援にも使えますわね」


 別の侍女が、鍋の側で野菜を抱えながら続ける。


「水と火さえあれば、どこでも温かい食事が出せますわ。こんな森の中ですら、この香りですもの」


 アウローラは満足そうに頷いた。


「だろう?」


 彼女は、後ろの籠に準備された野菜を取り出す。

 その中には、鮮やかな色の野菜がぎっしりと詰まっている。

 有羽の畑から分けてもらい、先程侍女達が切り分けたものだ。

 それを、一つ一つ取り出していく。


「殿下、そちらは私が」

「ああ、頼む」


 侍女に籠を渡しながら、アウローラは空を見上げた。

 森の上には、すでに夜の帳が下り始めている。

 だが、結界のおかげで、冷え込みはほとんど感じない。

 森の空気は重い。

 瘴気混じりの風。ねっとりとした魔素。どこからともなく漂う肉食獣の匂い。

 本来なら、心を削るような環境のはずなのに――。

 今、この小さな野営地だけは、別世界のようだった。


 焚き火の温もり。

 鍋から立ち上る香り。

 安全を保証する、目には見えない守りの膜。

 全部が、有羽の魔法と発明の産物だ。


「……ありがたすぎるな、本当に」


 今度はアウローラ自身が、小さく呟いた。

 この森は、もはや普通の森ではない。

 小さな山と谷が内包され、独自の生態系に満ちた、ひとつの「ダンジョン」と言っていい。

 探そうと思えば、川も海もある――と、有羽は言っていた。

 実際、有羽は何度も水辺を見つけ、その周囲に結界を張って遊んだりもしているらしい。

 そんな余裕があるのは、あの男くらいのものだ。

 他の誰かが同じ真似をしようとすれば、川を見つける前に魔物に喰われるだろう。


 鍋の脇に置かれた樽の中。

 そこには、冷たく澄んだ水がたっぷりと入っている。

 有羽の居住区の井戸から汲んできた、信じられないほど美味い水。


『水は、持てるだけ持って行っていいぞ』


 それだけは、驚くほどあっさり許可してくれた。


「殿下、野菜、入れ終わりました」


 侍女の声に、アウローラは思考を戻す。

 鍋の中へ、色とりどりの野菜が次々と投入されていた。

 柔らかく火の通りやすい葉物。

 煮込むほどに甘みを増す根菜。


「こっちも準備できたぞ!」


 護衛が、布に包まれた包みを持って戻ってくる。

 包みを開けば、今日の帰り道で仕留めた鳥型魔物の肉が現れた。

 余分な脂と羽根の付け根は処理済み。

 一口大に切りそろえられた肉からは、野性味ある香りが立ち上る。


「よし、全部放り込め」


 アウローラの合図で、肉も鍋の中へ。

 ぐつり、と音が変わった。

 コンソメキューブの出汁。

 野菜の甘み。

 鳥型魔物の旨味。

 三つが混ざり合い、鍋から立ち上る香りが一段と厚みを増す。


「……っ」


 誰かが、ごくりと喉を鳴らした。

 いや、誰かではない。

 護衛も侍女も、アウローラ自身も、全員が同じように唾を飲み込んでいた。


「殿下、そろそろ……」

「ああ」


 味見用の木杓子を鍋に差し込み、スープをすくう。

 アウローラは、それをそっと唇に運んだ。


「…………」


 しばしの沈黙。

 護衛と侍女たちが、ごくりと息を呑む。

 やがて、アウローラは目を閉じたまま、深く頷いた。


「有羽だな」


 短い、しかし最大級の賛辞だった。


「間違いなく有羽の味だ。……よし、食うぞ!」


 号令と同時に、木の椀と匙が次々と手に取られる。

 鍋からよそわれたスープは、黄金色に輝いていた。

 表面には、ほんの少しだけ脂の輪が浮かび、その下に色鮮やかな野菜と白い肉が沈んでいる。


「いただきます!」


 誰かがそう言ったのを皮切りに、一斉に食事が始まった。


「……っ!」


 一口目を飲み込んだ瞬間、護衛の一人が目を見開く。


「……何だこれ……」

「うわあ……」


 隣の侍女が、子供のような声を漏らす。

 舌に広がる、濃厚な旨味。

 疲れ切った身体に、温かい汁がじんわりと染み込んでいく。

 野菜は柔らかく、それでいて形を保っている。

 鳥型魔物の肉は、驚くほど臭みがなく、噛むほどに肉汁が溢れた。


「野営……だよな、これ……?」


 木椀を抱えたまま、護衛が呆然と呟く。


「なんで、森の真ん中でこんなもんが……」

「うまい……」


 侍女の一人は、言葉を絞り出すようにそう漏らした。


「『美味しい』を通り越して、『申し訳ない』気分になってきますわ……」


 笑いとも泣きともつかない顔でスープをすすり、野菜を頬張る。

 身体の芯から、ぽかぽかと温まっていく感覚。

 夏の季節だというのに、結界が外の暑気を遮り、野営地の空気はちょうどいい涼しさだ。

 冷たすぎず、暑すぎず。

 安全で、安心で、そのうえ腹の底から満たされていく。


 護衛たちは、いつしか無言になっていた。


 戦場で、彼らは散々、粗末な干し肉と固い黒パンを噛み続けてきた。

 それでも、文句ひとつ言わずに食べてきた。

 だが今は――。


「……もう、戻れねえな」


 ふと護衛の一人が呟いた。


「今までの野営飯に」

「戻るつもりなんて、とうの昔に諦めていますわ」


 侍女が、すかさず言い返した。


「だからこそ、有羽様を王都にお連れしたいんですもの」

「それはそうだ」


 笑いがこぼれる。

 やがて鍋の中身が少し減り、具材が底を見せ始めた頃。


「よし」


 アウローラが、手の中の包みを掲げた。


「締めといこう」


 布を解けば、中には白い麺がぎっしりと詰まっている。

 柔らかそうな生地。

 手で打ち、切られたばかりの「うどん」だ。


「殿下、それはまさか……!」


 侍女たちの目が、一斉に輝いた。

 有羽が「今日中に食えよ」と言って渡してきた、貴重な手打ち生麺。

 しかもどうやら、すぐ鍋に入れて食べれるよう、いかなる手法か、粉が落としてある。

 有羽曰く、魔法で粉落とし済みの特別生麺。ただし、日持ちしないから今日中に。


 アウローラ達は、この生麺を知っている。だが、有羽の家にあるのは殆ど乾麺。彼は保存性を第一にしている為、滅多に手製の生麺は出てこない。

 そんな生麺が、野営用の特別仕様で渡された。


 乾麺のうどんですら、すでに王都の料理人では太刀打ちできない美味さ。

 まして、生麺となれば――。


「なあ、殿下」


 護衛の一人が、真剣な顔で手を上げた。


「公平な分配を、何卒……」

「任せろ」


 アウローラは、自分の椀を鍋の横に置き、真顔になった。


「この一件、命がけの任務だ。私情を挟む者は許さん」

「うどんの分配を『任務』って……」


 侍女が苦笑しつつも、やはり目は麺に釘付けだ。

 アウローラは、慎重に麺をほぐし、沸き立つ鍋の中へ投入する。

 太い白い線が、するり、と鍋の中に沈んでいく。

 ぐつぐつ、と再び沸き立つスープ。

 麺が踊る。

 数分後――。


「よし、頃合いだな」


 アウローラが鍋の中を確認し、うなずいた。

 コンソメと野菜と肉の旨味を吸い込んだ麺が、柔らかく、しかししっかりとした弾力を湛えている。


「では――締めだ」


 その一言と同時に、全員の背筋が伸びた。


「まず、殿下からどうぞ!」

「そうだ殿下は別枠だ! 殿下は!」

「お前ら落ち着け!」


 口々に叫びながらも、手にした椀を差し出す速度は誰も落とさない。


「順番にいくぞ! まずは一杯目、全員に行き渡らせる!」


 アウローラが指示を飛ばしながら、手際よく麺をよそっていく。

 白い麺が、黄金色のスープと共に椀に注がれていくたびに、あちこちから小さな歓声が上がった。


「ありがとうございます!」

「感謝します!」

「神に感謝、有羽様に感謝!」


 身分の差も、礼儀も、今だけはぐちゃぐちゃだ。

 王女も侍女も護衛も、ほとんど一列になって鍋の前に集まり、順番を待っている。

 やがて、アウローラ自身の椀にも麺がよそわれた。


「では、いただこうか」


 麺をすする。

 噛む。

 その瞬間、アウローラの喉が、わずかに震えた。


「……ああ」


 小さく漏れた声は、ため息に近かった。


 もちもちとした食感。

 噛むたびにスープの旨味が染み出し、口いっぱいに広がる。

 乾麺とはまるで違う、しなやかな弾力。

 それでいて、芯まで火が通った心地よさ。

 アウローラは、しばらく無言で麺をすすり続けた。

 周囲では、すでにちょっとした争奪戦が始まっている。


「おい、そっちは多くないか?」

「そっちこそ! ほら、見ろよ、麺の量!」

「公平に、とは言ったはずだぞ!」

「み、みなさん! 二杯目からは自重を……あ、殿下! 殿下も速いです!」


 侍女が慌てた声を上げる。

 アウローラは、すでに二口目の麺をすすり終え、三口目に取り掛かっていた。


「……黙って食えお前達」


 笑いながら短く告げて、また麺を啜る。

 その顔には、普段の王女の仮面も、未亡人の影もなかった。

 ただ、心から美味い物を食べている人間の、無邪気な幸福だけがあった。

 麺は、恐ろしい速度で減っていった。

 王女とか侍女とか護衛とか――ふだんなら絶対に崩れない序列は、この瞬間だけ完全に意味を失う。

 より多くの麺をすくおうとする匙。

 それを牽制し合う視線。

 それでも誰一人として、本気で取り合うことはないギリギリの線。

 笑い声とすすり音が、野営地に満ちる。


 そして――。


「……終わった」


 鍋の底を見つめながら、誰かが呟いた。

 一同の視線が、空になった鍋に注がれる。

 ほんの少しだけ残ったスープを、最後の一滴まで分け合い、飲み干す。

 腹の底から、満たされていた。

 護衛も侍女も、背中から力が抜けたように、地面にどさりと座り込む。


「生きてて良かった……」


 侍女の一人が、心底疲れた声で言った。


「何度でも言いますけど……殿下、有羽様のスカウト、絶対に諦めないでくださいましね」

「もちろんだ」


 アウローラは、空になった椀を見つめながら答えた。


「この味を、王都でいつでも食べられる未来を……私が諦めると思うか?」

「食のためなんですか殿下!?」


 護衛と侍女たちの突っ込みが、一斉に飛ぶ。

 アウローラは少しだけ笑った。


「半分はな」


 そして、焚き火の向こう――森の奥、見えない場所にあるログハウスの方向へ、ちらりと視線を向ける。


「もう半分は……まあ、秘密だ」


 夜の森に、笑い声が溶けていく。

 毒と瘴気に満ちた魔境の中で。

 焚き火の小さな炎と、満腹の幸福感だけが、静かに温かく燃えている。





◇◇◇





 食事が終わると、野営地にようやく静けさが戻ってきた。


 空はすっかり夜の色だ。

 結界に守られた一角だけが、焚き火の橙に照らされている。

 鍋や椀を洗い終えた護衛と侍女たちは、それぞれのテントに入り始めていた。

 見張りの順番を確認し、最初の当番が焚き火のそばに腰を下ろす。

 森は、結界の外でも不自然なほど静かだった。

 それは結界の効力で、近くの魔物が大きく迂回しているからだ。

 だが、それでも――。


(絶対じゃない)


 見張りの護衛は、脳裏に浮かんだ有羽の声を思い出す。


『いいか、俺の結界はそうそう破られねぇけどな。ゼロじゃないからな、ゼロじゃ』


 以前、有羽が珍しく真面目な顔で言った時のことだ。


『森の西側な。あそこに居る奴は会話が成り立つ。こっちから攻撃しなきゃ襲ってこない。あれは、まだマシなほう』


 護衛たちは、目を丸くした。


『会話……?』

『ああ。一応、言葉は通じる。話は長いけどな。面倒くせぇから、あんま近寄るな』


 有羽は、心底うんざりしたような顔でそう言った。


『東に居る奴は……まあ、ちょっかいさえ出さなきゃ安全。でも、なるべく近づくな。あいつの縄張り、かなり広いからな』

『では、問題は北側……ですか?』


 誰かがそう尋ねると、有羽は短く息を吐いた。


『森の北側には――「厄介」なのが居る。俺でも戦うのが億劫な奴がな。北には絶対に行くな』


 その時の有羽の声音は、冗談でも誇張でもなかった。


 森の西。

 森の東。

 森の北。


 有羽が「手強い」と認める存在が、それぞれひとつずつ。


 そして南側――すなわち、アウローラの国に近い樹海の南部は、有羽の縄張りだ。


 基本的に、有羽に勝てる魔物はいない。

 有羽の結界を破れる魔物など、ほとんど存在しない。


 だが、有羽自身が「ゼロじゃない」と断言した。


 長年この森に住み続けている本人ですら、森の魔物の種類を完全には把握しきれていないのだ。

 つまり――この結界を破れる何かが、どこかに潜んでいる「かもしれない」。


 だから見張りは必要だった。

 順番を決めて、交代で夜を見守る。

 それだけは、いつも通りの野営と同じように続ける。

 一番楽なのは、最初の番と最後の番だ。

 最初の番の者は、まだ身体が起きている。

 最後の番の者は、夜明け前の澄んだ空気を味わった後、そのまま朝食の準備に入れる。


 一番可哀想なのは、ちょうどど真ん中の時間帯だ。


 眠りが深くなってきた頃に起こされ、起き切らない頭と身体を叩き起こし、静かな闇と向き合わなければならない。

 再びテントに戻る頃には、夜明けまで残りわずかで、中途半端な睡眠しか取れない。


(……まあ、その分、給金はちょっとだけ良いけどな)


 焚き火を見つめながら、護衛の一人が苦笑する。

 王都に帰還すると、中間の番に入った者にはごくわずかな手当てが出る。

 一晩、酒場で腹いっぱい飲み食いできる程度の金額だが、それでも全く違う。

 そんなささやかな調整をしているあたりが、アウローラらしいところでもあった。





◇◇◇





 その頃、アウローラは自分のテントの中で寝袋にくるまっていた。


 三人用の小さなテント。

 床には簡易の敷き布。

 その上に並んだ、三つの寝袋。

 アウローラ。

 侍女のアニー。赤毛の働き者。

 侍女のベラ。茶髪の知恵者。

 三人とも、ミノムシのような格好で横一列になっている。


「……ぬくいなぁ」


 アウローラは、寝袋の中で身じろぎしながら、満足げに呟いた。

 ふかふか、とまではいかない。

 だが、内側の布は柔らかく、体温を逃がさないよう工夫されている。


 これは有羽の手作りではない。

 王国が、有羽から「寝袋とはどういうものか」「どう作ればいいか」を聞き出し、試行錯誤の末にようやく形にした、王国製の寝袋だ。


 それでも、アウローラたちにとっては革命的だった。

 かつての野営は、薄い毛布や粗末な敷物でやり過ごすのが当たり前だった。

 冷え込む夜には、鎧の上から毛布を被り、震えながら夜明けを待ったこともある。

 それに比べれば、この寝袋は天国だ。

 身体の周りを布が包み込み、外気の冷たさを遮断してくれる。

 結界のおかげで、そもそも今が夏なのもあり、テントの中はそこまで寒くはない。

 だが、「寒くない」と「暖かい」には、越えられない壁がある。

 有羽の家のベッドには及ばない。

 あのふかふかの布団と、やわらかな枕を知ってしまった今では、どうしても比べてしまう。


 それでも――有羽と出会う前と比べたら、雲泥の差だった。


「……ふわぁ」


 アウローラは、寝袋の口から顔だけ出して、大きなあくびをした。

 侍女アニーと侍女ベラも、それぞれ背中を丸めながら、眠そうに目を擦っている。


 だが、そのまま眠るには惜しい。


 お腹はいっぱい。

 身体はあたたかい。

 外には信頼できる護衛が見張りに立っている。

 そんな時には、少しだけ「女同士の時間」が生まれた。


「鍋……美味しかったなぁ……」


 アウローラがぽつりと呟いた。

 アニーとベラが、すぐに首を縦に振る。


「はい、とても……」

「本当に……」


 アウローラは、寝袋の中で仰向けになり、天幕を見上げた。


「なあ、お前達。あれ、どういう製法だと思う?」

「……あれ、ですか?」

「有羽の『スープの素』だ」


 先ほど鍋に放り込んだ、茶色いサイコロ。

 お湯を一瞬で黄金色のスープに変えた、謎の立方体。


「多分乾麺とかと同じ要領だと思うけどな……。スープは麺みたいに乾燥させられないよなぁ?」


 アウローラの素朴な疑問に、アニーが唸る。


「乾燥……というよりは、濃縮、でしょうか……? スープを固まらせている、と単純に考えればそうなのですけれど」

「でも、言ってて意味が分かりませんわ」


 アニーは、自分で言いながら苦笑する。


「それ以前にですね、我が国は乾麺ですら、まだ完全に再現できていませんし」

「うっ」


 アウローラは、寝袋の中で肩をすくめた。

 ベラが、くすりと笑う。


「錬金術師たちも頑張ってはいるみたいですけどね……」


 横向きになり、寝袋の口から顔を出して続ける。


「有羽様のうどんを食べた身から言わせてもらえば、精々四十点です。半分にも届きません」

「辛口だな」

「事実ですもの」


 ベラは、少しだけ意地悪そうに笑った。


「まあ、最高峰を知らない方々は『美味しい美味しい』と絶賛してますけどね。知らないって、ある意味幸せですわ」

「それはそうかもしれないなぁ……」


 アウローラは、もう一度あくびを噛み殺しながら言った。


「難しいものだなぁ……。正直、有羽の話を聞いても、全部は理解できない」


 小麦の質。

 水分量。

 練り方。

 寝かせる時間。

 打ち方。

 有羽は、こと細かに説明してくれた。

 だが、正直、半分も頭に入っていない。


「食に関してのこだわりが凄すぎる。魔法の腕だけの問題じゃないぞ、あれは」

「本当に、繊細の極致ですわ」


 アニーが、うっとりとした声で言った。


「食事だけでなく、化粧水や乳液を使えば、すぐに分かります……」


 そこまで言うと、アニーは寝袋の中でごろりと転がり、むくれたように続けた。


「ああ、本当に持って帰りたい。帰ったら、また低品質な石鹸と香油生活なんて……」


 ため息が、テントの中に長く伸びる。


「何で昔は、香油つけるだけで喜んでいたのか。もう忘れてしまいました」

「分かりますわ……」


 ベラも、同じようにため息をついた。

 そこで、ふと思い出したように、アウローラに顔を向ける。


「ねぇ殿下」

「うん?」

「有羽様は、やっぱり化粧品の持ち帰りは許可してくれないのですか?」

「あー……」


 アウローラは、枕代わりにしている小さな荷物袋に頬を押しつけたまま、目を細めた。


「ああ。駄目だとさ」

「やっぱり……」


 侍女二人が、同時にしょんぼりした声を漏らす。


「言ってたぞ。有羽」


 アウローラは、先ほどの会話を思い出しながら、ゆっくりと口を開いた。


「『自分たちの技術で再現できるなら構わない。けど、俺のところから持ち出して使うのは駄目』……だそうだ」

「やっぱり……」


 アニーが、もう一度繰り返す。


「『絶対に盗もうとする輩出てくるし、それが市場にでも乗ったら、国の経済壊れるよ? 王族、貴族側で起きる可能性がある。それはホント駄目』……とも言ってたな」


 アウローラが続けると、テントの中に、今度は深い沈黙が落ちた。

 ベラが、ぽつりと呟く。


「……正しいんですよね」

「そうなのだろうな」

「有羽様は、権力も名声も富も地位も、一切興味を示しませんが……」


 アニーが、寝袋の中で指を折るような仕草をする。


「それらの『扱い方』は、しっかり理解していらっしゃる……」

「そうだな」


 アウローラも、小さく頷いた。


「それだけじゃない。有羽は貴族制度を嫌っているが、無下にはしていない」


 王都の論争好きな貴族たちの顔が、脳裏に浮かぶ。

 裕福さと腐敗と責任と。

 その全部が、貴族という階層に詰め込まれている。


 有羽の家での何気ない会話を思い出す。

 土地。

 税。

 軍。

 それらの話になると、有羽の口は自然と動いた。


「特権階級が政治的・経済的・社会的な優位性を何故持つのか。貴族制度の上で運営している国家の成り立ちを……あいつは、正しく理解している」


 有羽は、貴族になりたいとは欠片も思っていない。

 けれど、貴族の「大事さ」は理解しているのだ。

 何の為にあるのか。

 何の為に権力は振るわれるのか。

 土地所有権、税の管理、軍事指揮権――それらを扱うのが貴族。

 同時に、有羽はこうも言っていた。


『貴族だから偉いんじゃない。優秀だからこそ貴族として称されて、偉くなる……って形じゃないと、持たないでしょ、国って』


 理解した上で、拒否する。

 特権なんて、いらない――と。だから、森にいるのだと。

 どこの領地でもない、森の奥深くに。


「……ただの平民に、そんな選択はできませんわね」


 アニーが、小さく笑う。


「だからこそ思うのです。有羽様は、何処か遠くの国の貴人なのではないかと」

「そういう噂、出てるのか?」

「ええ。王宮の一部では」


 ベラがやや楽しそうに言った。


「『出奔した他国の王子では』『実は亡国の魔法貴族の末裔では』とか、色々と」

「好き勝手言うなぁ、あいつらも」


 アウローラは、苦笑混じりに呟く。

 自分も、ただの隠者だとは思っていなかった。

 魔法の腕は、国随一と名高い自分を易々と凌駕し。

 知識は底が知れない。

 そして、物事の判断や考え方が、「ただの民草」ではありえない形をしている。

 優れた教育を受けなければ、ああはならない――それは、アウローラにも分かった。

 だが。


「……まあ、過去はどうでもいい」


 ぽつり、とアウローラは言う。

 侍女たちが、少し驚いたように目を瞬かせた気配がした。


「私はただ――」


 言葉が、少しだけ途切れる。

 瞼が重い。

 温い寝袋。

 満腹の幸福感。

 焚き火の熱が、テント越しに柔らかく伝わってくる。

 意識が、すこしずつ沈んでいく中で。


「どうすれば……有羽が……」


 微睡の底から、言葉が浮かび上がる。


「私の傍に、居てくれるのか……それだけ、考えている」


 侍女たちは、寝袋の中で、息を呑んだ。

 アウローラは、自分で自分の言葉に気づいているのかいないのか。


「難儀なものだ……」


 うつらうつらとした声。


「あれだけの力があれば……爵位だって渡せる……」


 王女としての打算がないわけではない。

 爵位を与えれば、宮廷に縛り付けることもできる。

 法的な庇護も、政治的な地位も与えられる。


 そうすれば――


「そうすれば……すぐにでも……私の近くで……」


 そこまで言って。

 アウローラの言葉は、すっと途絶えた。

 寝息が。

 規則正しい呼吸の音が、暗闇に溶けていく。


 アニーとベラは、しばらく黙っていた。

 さっき聞いた本音を、どう扱うべきか。

 忠誠を誓う王女の弱さと願いを、どう胸に仕舞うべきか。

 やがて、アニーが、小さく囁いた。


「……聞かなかったことに、しておきましょうか」

「そうですわね」


 ベラも、同じように囁き返す。


「殿下が、自分で自覚なさるまでは」

「ええ」


 そのやり取りも、すぐに静寂に飲み込まれた。

 テントの外では、見張り番の小さな焚き火が揺れている。

 遠くで、夜鳥の声。

 森の奥の、得体の知れない気配。

 それらすべては、結界の外側の出来事だ。

 テントの中は、暖かい。

 満腹と寝袋の温もりに包まれながら、侍女たちの意識も、やがてすとん、と落ちていった。

 アウローラ達の番は最後。早朝の見張り番だ。

 それまではぐっすりと眠れる。




 だから、早朝の見張り番の時間まで――三人は穏やかな眠りについた。




もし面白いなと思っていただけたら、ブクマや評価、いいねで応援していただけたら幸いです。よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ