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閉話⑤

実に大翔君とのデートから一週間が経過した。

その後綺麗に忘れられるはずもなく、毎日ふとした瞬間でさえ、

あのデートのことを思い出してしまう。

それでも時間は勝手に流れるわけで、今日も今日とて仕事に行く、


「おはようございまーす」


更衣室の中にいる仕事仲間たちに挨拶をする


「「「おはようございまーす」」」


荷物を置き、スクラブへと着替える。


「昨日大丈夫だったん?」


仲の良い同僚が私に話しかける


「少し体調悪くて」


嘘だ。大翔君の件でとても行けそうになかったからだ。


「あんま無理せんといてな。ただでさえ祐奈頑張りすぎなんだから。」


「ありがとう」


他の人からの心配も華麗にかわし、朝の業務へと移る。

泣きすぎて顔色が悪いのも影響し、だれも体調不良を疑うことがなかった。


その後、患者さんに声かけをしに行こうとすると同僚から呼び止められる。


「ちょっと祐奈!!!!若い男の人が祐奈を呼んでほしいだって!!

いったいどんな関係なの!!!あとで説明してもらうからね!!」


これを聞いたとき私は一番最初に期待という気持ちが来てしまう。

もしかしたら大翔君が、、、、そんなはずはないと急いで否定をする。

だって、あんなに強く突き放したんだもの。


急いで電話を取る。


「お電話変わりました。鷹司祐奈です。ご用件は何でしょうか」

「もしもし、山田大翔です。」

「は、はるとくん!?」

「あんな別れ方なんてひどいです!連絡も全部無視して!ちゃんと事情を説明してください」


一瞬時が止まる。


あんなに強く突き放したのにまだあたしのことを、、、、

だめだ、だめこれで喜んでしまったら、あの時突き放した意味がない。

覚悟を決めろ。


時間にして約10秒ほど。祐奈の覚悟が決まる。


「今日の17時病院に来て」


どんなに嫌われようが、絶対に突き放すと。


あの後、同僚からの問い詰めを何とかかわし、いつもより仕事に身が入らないながらも

無事17時までに仕事を終わらし、病院の外で待つ。


「お待たせしました。待ちましたか?」

「待ってないよ、それじゃあここで話すのもなんだし、向かいのカフェにでも行こうか。」


チリンチリンチリン


「何名様でしょうか?」

「二名で」


店員さんは俺の方をちらちらみながら確認して来る


「お連れ様は男性の方でよろしいですか?」

「はい」

「それじゃあ奥の個室へどうぞ」


店の奥へと案内される。


「注文したいときはそちらのQRからスマホで注文が可能ですので、それではごゆっくり」


さすが男性専門病院の前といったところか、ちゃんと男性に配慮されている。


「大翔君はなに飲む?」

「メロンソーダで」


ちゃんと冷たく接せられているかわからないが、大翔君も緊張しているようだ。

さっきから水を飲みながらちらちらこちらを見ている。

きっと大翔君も覚悟を決めてきたんだろう。








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