カチコミ②
「はじめまして祐奈さんの彼・氏・の山田大翔と申します。以後お見知りおきを」
覚悟を決めて言ったが、お母さん?の表情が変わることは無かった。
「とりあえず入りなさい」
怒ってるかな?怒ってるよね、
なーがい廊下を歩き、客間と書かれている部屋に入る。
「それじゃあどういうことか説明してもらいましょうか」
お母さん?が笑顔でこちらを睨む
「僕は祐奈さんの婚約について話をしに来ました。」
お母さん?の表情が「だろうな」というものに変わる
「これは鷹司家の問題ですあなたには関係ないないのでは?」
「僕は祐奈さんの彼氏なので関係しかありません」
「婚約者がいるのに彼氏なんているわけないでしょ。だいたい自分のことなのにさっきからずっと黙ってるけど何とか言ったらどうなの祐奈。」
祐奈さんが黙る
「ほら何も言えない。本来守るべき男の背中に隠れて恥ずかしくないの」
沈黙が流れる
祐奈さんは下を向いたまま小刻みに震えている。
祐奈さんの手をぎゅっと握る。
祐奈さんは顔を上げ、こちらの方をみる。
目で「祐奈さんならできる」と訴えかける。
意図が伝わったのか祐奈さんはお母さんの方をしっかり見つめ、口を開く。
「い、いやです」
お母さんは一瞬驚いたような顔を見せる。
「私は今までお母さんの言うことは全部正しいと思ってたし、現状結婚なんてできない女の人のほうが多いし婚約者を勝手に決められても別にいいと思ってた!」
でもと強い口調で続ける
「私は大翔君のことが好きだから!!」
お母さんの表情はどこかこのことを望んでいたような顔だった。
「いいわよ」
「「へ」」
二人の声が重なる
「あの、お母さんいまなんて」
「だから別に破棄してもいいわよって言ったの」
二人は顔をあわせる
「そ、それはどういうことでしょうか」
困惑したような声で大翔が聞く
「元々祐奈が好きな相手を見つけたらこの婚約はなしにするつもりだったの」
「じゃあなんで大翔君と連絡取ってるの見つけたとき関係を断てなんていったのさ」
祐奈さんが大声を上げる
「私が関係を断てって言ったぐらいで関係を断つようじゃ本気じゃないってことでしょう。さっき言ったことに補足する祐奈が本気で好きになった相手なら認めようと思ってたってことよ。それこそ私に祐奈自身が逆らう覚悟があるくらいのね。」
なるほど。なるほど。つまり俺達は認められたってことか。
「ってことは大翔君と一緒にいてもいいってこと!?」
「何度もそう言ってるでしょう」
お母さんは呆れたような嬉しそうなそんな口調で言った。
「そういえば自己紹介がまだだったわね。私は鷹司紫突然だけど私とも付き合わない?」
「はい?」




