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第8章:白タンクトップの終焉

白タンクトップPR放送が校内で大きな話題となったが、その代償は大きかった。ついに校長先生の怒りが爆発し、校長室に呼び出された恵斗。しかし、彼の心はまだ折れていない。果たして、この戦いの行方は――。

校長室のドアをノックすると、すぐに低い声が返ってきた。

「入れ。」


恵斗先輩が胸を張って入ると、校長が厳しい表情で待ち構えていた。

「恵斗くん、生徒会長としての自覚が足りないのではないか?」

「校長先生、俺はただ、生徒たちに白タンクトップの素晴らしさを伝えたかっただけで…」

「ならば聞くが、あの放送は一体なんだ? 学校を混乱させるような内容を、公共の場で流す理由があるのか?」

校長の問いかけに、恵斗先輩は一瞬ためらったが、すぐに真っ直ぐ目を合わせた。


「確かに、方法は強引だったかもしれません。でも、白タンクトップが生徒たちの心を揺さぶったのは事実です!」

「揺さぶった…? 校内を騒然とさせただけではないか。」

「いや、俺はタンクトップが生徒たちの新しい価値観になると思ったんです!」

「生徒会長が、自分の好みを押し付けてどうする? 学校全体のことを考えて行動するのが、君の役目ではないのか?」

「…ですが、校長先生。笑顔になった生徒もいたんです。少なくとも、退屈な日常を少しだけ変えられたと思います!」

「それを個人的な情熱で押し通していいわけがない。」


校長の冷静な指摘に、恵斗先輩の表情が少し曇った。

「もし、これ以上問題を起こすようなら、生徒会長としての職務を見直させてもらう。理解できるな?」

「…はい。」

恵斗先輩は力なく答えたが、心の中ではまだ負けを認めていないようだった。


校長室を出ると、俊介が待っていた。

「どうでしたか?」

「…まあ、叱られた。でも、白タンクの可能性はまだ終わってない!」

「いや、普通反省するところじゃないですか?」

「俺が信じた道だしな。曲げたくないんだよ。」

「はぁ…やっぱり先輩ですね。」



---


それから数日が過ぎ、仁田が「タンクトップはむやみに着ない」と宣言してからというもの、筋肉ブームもすっかり収まっていた。

最初は「筋肉がかっこいい!」と騒いでいた女子たちも、徐々に話題にもしなくなり、あれほど熱狂していたタンクトップの話題も消えてしまった。


休み時間、校庭のベンチに腰掛けた恵斗先輩は、ぼんやりと空を見上げていた。

「…俊介、やっぱりタンクトップは最高だよな。」

「まだ言ってるんですか? ブーム終わったじゃないですか。」

「いや、ブームが終わっても俺の心の中でタンクトップは輝き続けてるんだ。」

「それ、恵斗先輩だけですよ。」

「それでもいい! 俺は白タンクトップを愛し続ける。それが俺の信念だ!」

「…先輩、筋肉ブームが終わった今、それただの変人ですよ。」

「変人で構わない! 俺は信じた道を突き進むだけだ!」

その情熱に、俺はもう呆れるしかなかった。


だが、そんな恵斗先輩の姿を遠巻きに見ていた一部の男子たちが、小声で話しているのが聞こえた。

「恵斗先輩、まだタンクトップ諦めてないのかよ…」

「でも、あのブレない姿勢、ちょっとかっこいいかも…」

「いやいや、あれはただの情熱暴走だって。」

少しずつだが、恵斗先輩の「諦めない姿勢」に感心する声もちらほら聞こえ始めていた。

筋肉ブームが去っても、恵斗はまだ白タンクトップへの情熱を捨てていない。校長先生に叱られても、その信念は揺るがない。

次回、恵斗と俊介の間で、ちょっとしたハプニングが起こる予感……? お楽しみに!

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