第7章 筋肉ブームの終焉
白タンクトップ放送が校長先生の逆鱗に触れたことで、生徒会に存続の危機が訪れる。一方、仁田は騒ぎに巻き込まれたことに複雑な思いを抱き、ついにある決断をする。
「おい、恵斗!」 仁田が生徒会室に入ってくるなり、険しい顔で恵斗を見た。 「どうした、仁田。放送、盛り上がっただろ?」 「いや、あれはないだろ。俺、筋肉見せびらかしたいわけじゃないんだ」 恵斗はキョトンとしている。 「筋肉は俺の努力の結果だ。柔道のために鍛えてきたんだよ。女子にキャーキャー言われるためじゃない」 「でも、タンクトップが筋肉を引き立てるってのは事実じゃん?」 「それはそうだけど……。恵斗、俺は別にチヤホヤされたいわけじゃないんだ」
俊介が溜息をつきながら口を挟む。 「だから、最初から言ったじゃないですか。タンクトップじゃなくて筋肉が注目されてるだけですよって」 恵斗は少し黙り込んだが、すぐに明るく言った。 「でも、あれだけ盛り上がったのは事実だし、校内の雰囲気も変わったよな?」 「それが問題なんだよ!」 仁田は拳を握りしめた。 「柔道に集中できないし、周りの視線が気になって練習に支障が出る。俺は自分のため、柔道で強くなるために筋肉を鍛えてるだけだ。だから、これ以上騒がれたくない」
恵斗はしばらく考え込んでから、うなずいた。 「わかった。俺がやりすぎたな。でも、タンクトップの良さを広めること自体は間違ってないと思うんだ」 「もういいよ。俺、これからは学校ではタンクトップ着ないから」 仁田がそう言うと、恵斗は少し寂しそうに笑った。
その時、校内放送が流れた。 『生徒会長の恵斗くん、至急校長室まで来るように』 俊介が目を丸くする。 「……本当に校長の逆襲が始まるんですね」
筋肉の在り方について悩む仁田と、タンクトップ普及に執念を燃やす恵斗。それぞれの信念がぶつかる中、校長先生の怒りが本格的に動き出す。果たして、生徒会の命運やいかに?