第3章:白タンク普及ミッション、始動
校長先生に「支持を得てから話をしなさい」と言われた恵斗先輩は、その言葉を信じて署名活動を始めることに。しかし、巻き込まれた俊介としては到底賛同できないし、そもそも誰が協力するのか疑問しかない。そんな中、先輩の無茶な行動は加速していき――。
「よし、まずは署名用紙を作ったぞ!」
そう言って、恵斗先輩がドンと机に置いたのは「白タンクトップ義務化署名」の用紙。手書きで「白タンクトップの7つのメリット」とか書き込まれているが、内容が突飛すぎて目を疑った。
「先輩、これ本気で配るんすか?」
「当たり前だろ! 校長先生が『生徒の支持を得てから』って言ったんだからな!」
「……あれは絶対建前ですよね。普通に考えて誰も署名しませんって。」
「そんな弱気でどうする! 俺は革命を起こすんだぞ!」
「俺は革命に参加する気ないんですけど。」
恵斗先輩は気にせず、校内放送で署名活動の告知を始めようとする。
「ちょ、ちょっと待ってください! 校内放送でやるとか迷惑すぎますって!」
「いや、こういうのは勢いが大事なんだよ!」
結局、先輩は校内放送を使わず、昼休みに直接クラスを回ることに。
「ほら俊介、行くぞ!」
「だから、なんで俺まで……」
1年A組
「えーっと、白タンクトップを校則として義務化しようという署名活動です!」
クラスの空気が凍りついた。
「え、なにそれ……」
「宗教?」
「ちょ、恵斗先輩、無理無理!」
一斉に拒否の声が上がる中、俊介は苦笑いするしかなかった。
「だから言ったじゃないですか、無理だって。」
「まだだ! まだ終わらない! 次だ!」
2年C組
「どうだ、お前らも白タンクトップを義務化したくないか?」
「いや、別に……」
「むしろ恥ずかしいんだけど。」
「透けるの無理だわ。」
これまた撃沈。
「先輩、これ無理っすよ。もう諦めましょうよ。」
「いや、最後の砦がある。」
「最後?」
体育館
放課後、なぜか数人の男子が白タンクトップを着て集合していた。
「恵斗先輩、集めました!」
「よし、同志たちよ!」
まさかの展開。どうやら一部の筋肉自慢の男子が「白タンク同盟」を結成し、集まっていたらしい。
「俺、これ着てみたけど、意外と快適でいいっすね!」
「筋肉が映えるわ。」
「何やってんだあいつら……」
俊介は呆然と立ち尽くす。
恵斗先輩は満足げにうなずいた。
「見たか、俊介! やっぱり白タンクの魅力は絶大だ!」
「いや、絶大なのは筋肉のインパクトでしょ。てか、これじゃ“白タンク”じゃなくて“筋肉推し”じゃないですか。」
「違う! 白タンクが筋肉を引き立てているんだ!」
「先輩、それ本気で言ってます?」
「本気だとも! これで署名も集まるぞ!」
「集まるのは“白タンク同盟”だけっすよ……」
校則変更のための署名活動を始めた恵斗先輩。しかし、普通の生徒には全く受け入れられず、賛同者は筋肉自慢の「白タンク同盟」のみ。俊介の不安は募るばかりだが、恵斗先輩の情熱は止まらない――。
あなたなら、この状況でどうする?