第10章 - 失われた情熱、再び
恵斗は、大切なタンクトップを失ってから心を乱し、周囲の期待に応えることすら難しくなっていた。再生する方法を悩んでいる中で、彼は一度は諦めかけるが、心の奥底にある秘めた思いは決して簡単に諦められるものではなかった。
生徒会室の空気は、どこか張り詰めていた。恵斗は椅子に座りながら、手元の書類に目を通しているふりをしているが、心は完全にあのタンクトップに支配されていた。
「恵斗先輩、大丈夫ですか?」
衆哉の心配そうな声が、静寂を破る。恵斗は一瞬目をあげ、そして無言でまた書類を見つめる。彼の頭の中では、タンクトップのことばかりが占めていて、どうしてもそのことから目を背けられなかった。
数日が経過し、周りのメンバーたちも次第にその話題を避けるようになった。誰もが恵斗の沈んだ様子を見て、そっとしておこうという空気が漂う。だが、恵斗は自分の中で納得できなかった。どうしても、タンクトップを取り戻したかった。
「もう無理かもしれない…」
ある日、恵斗は机に顔を伏せてつぶやいた。その言葉に、周囲は一瞬息を呑んだ。心配していた通り、恵斗はすっかり落ち込んでいた。しかし、その言葉に続いて、仁田が口を開く。
「再生できないからって諦めるんだ? 恵斗、お前ってタンクトップ愛、そんなもんなんだな。」
その言葉が胸に刺さった。恵斗は顔を上げ、仁田に視線を向けるが、すぐにまた視線を落としてしまう。
「そんなつもりじゃ…でも、どうしてももう…」
恵斗は一度、完全に諦めかけた自分を感じていた。けれど、心の奥底に秘めた思いは、簡単に消せるものではなかった。あのタンクトップがどれほど大切なものだったのか、改めて実感することとなったのだ。
そのとき、俊介が少し戸惑いながらも声をかける。
「恵斗先輩、僕が言えることじゃないですけど…タンクトップ、恵斗先輩ならまた育てられるって信じてます。だって、恵斗先輩の情熱なら絶対に…」
その言葉に恵斗はふと顔を上げた。もしかしたら、もう一度やり直せるかもしれない…と、心のどこかで希望の灯がともった。それでも、すぐにその希望を疑った。
「でも…どうやって?」
恵斗は声を絞り出すように呟いた。俊介は頷き、少し微笑みながら言った。
「分からないですけど、恵斗先輩ならきっとできると思います。」
その言葉に、恵斗は再び心を決める。まだ完全に諦めてはいない。タンクトップを失ったことは痛かったが、それでも再生できる可能性を信じるしかない。
数日後、恵斗は生徒会の仕事をしばらく休むと言い出した。周りのメンバーは驚き、少し戸惑ったようだったが、恵斗はただ静かに言った。
「少し休む。」
その言葉には理由を説明することなく、ただひたすらに穏やかな口調で伝える。メンバーたちは顔を見合わせるが、何も言わずに恵斗の決断を受け入れるしかなかった。
恵斗は部屋を出ると、すぐにどこかへ向かって歩き出した。周りのメンバーたちは、まだ落ち込んでいるのだろうかと思いながらも、ひとまずその姿を見守るしかなかった。
恵斗は、無言で歩きながら新しいタンクトップを探すための旅に出るのだった。
恵斗は一度諦めかけたものの、心の奥底に秘めた思いに突き動かされ、再び立ち上がる決意をしました。彼の情熱は簡単に消え去るものではないと、改めて感じさせてくれます。
しかし、そんな中、校長が何やら動き出しそうな気配が……。
恵斗と校長、それぞれの思惑が交差する次回、どうなるのでしょうか?お楽しみに。




