第1話:生徒会長、白タンクを語る
はじめまして、白タンクの物語が始まります。
タンクトップに何の感情も持たない男子高校生・俊介と、
白タンクに全力の愛を注ぐ生徒会長・恵斗の、
ちょっとズレた青春が幕を開けます。
「タンクトップ、育ててる?」
その日、俺の人生が少しだけ変な方向に進み始めた。
教室に入った瞬間、目が合ったのは生徒会長の恵斗先輩。
成績優秀で、容姿端麗、誰にでも優しい完璧超人──のはずだった。
「は?」
返事になっていない声が漏れる。
何を言われたのか、一瞬で理解できなかった。
「白タンク。白いタンクトップのこと。今、ちょうど23日目なんだ。完成されてきた」
「……完成って何が?」
「柔らかさ。フィット感。生地の表情。あとね、匂いが……」
「やめてください」
俺は思わず止めた。クラスメイトも何人か、遠巻きに引いている。
だが先輩は涼しい顔で言った。
「君、タンクトップには愛があるって知らないだろ?」
「知らなくていいです」
先輩の手には、たしかに白いタンクトップが。制服の下から、白がチラついている。
──あ、これ、生徒会長って立場で許される行動じゃないな。
それが俺、俊介と、タンクトップに人生を捧げる生徒会長・恵斗先輩との、
奇妙な日々の始まりだった。
ここまで読んでくださってありがとうございます!
まじめで優しいはずの生徒会長が、白タンクになると人格変貌!?
これから少しずつ、彼の“布愛”の深さと、俊介の受難(?)の日々が描かれていきます。
「白タンク、育ててる?」の意味も、じわじわ分かってくる……かも?
次回もお楽しみに!