スマイル
今日は、休日なんだけど…琴音から連絡もないし、なにも言ってこない。
うちにも来ないし、用事でもあるんだろうか…?なんて考えていたら、
「おっじゃましまーす」
と、元気よく琴音がやってきた。
あ、なんだ。
いるんじゃん。
絡まったヒモが解けたくらいのスッキリ感が全身に流れた。
「今日は、傷の手当て編をおおくりいたしたす」
「あー、はい。」
「じゃあ、早速ですが血だらけになってください。」
「はい?そんなこという人がいるんだねー…。とりあえず座っくださいのノリでさ…」
「うん、いるでしょう。で、早速ですが血だらけよろしくね」
…
「や…まて、血だらけとは?」
「今から血だらけグッズだすから待っててね〜」
と、なにやらバッグからグッズをゴソゴソしていた。
…
な、なにが出てくるんだよ…。
「あんまり物騒なもんだすなよ…?」
「当たり前だよー。安心なさい、ほら」
バッグから出てきたのは、血のりでした。
ホッ
安心したのも束の間…
「じゃあ、この血のりの他に傷を深く入れていきますねー」
って言ったんよ⁉︎
「やだよ…なにしてくれんだよ…」
「だからー、わたしに身を任せなさいって」
「無理」
「もう、怖がりさんだな。」
「そりゃコエーよ…。」
「ふふん、これさ」
得意げに琴音が、フェイクシールを出してきた。
「これ、貼れば完成〜」
「あー、なるほどな。」
よかった…です。
血のり塗り塗り、シールペタペタ。
なんか…グロいですね。
本格的に大怪我したみたいにみえる…。
…
「それじゃあ、消毒していきますねー。痛かったら泣いちゃってください」
⁉︎
そんなこというわけなくない⁉︎
「どんなんだよ…こえーよ」
「もう、ミヤトは怖がりさんだなぁ。大丈夫ですよ。丁寧に治療しますから」
にこっ
ドキッ‼︎
琴音の最後のにこっ…ってやつに完全にやられました。
か、かわいすぎる‼︎
スマイルが天使すぎるんよ…‼︎
琴音は、宣言どうりに丁寧に治療をはじめた。
ペタペタペタペタと、消毒液という名の濡れティッシュで、傷を外側からせめていった。
「ねぇ、琴音…」
「ん?なに?」
「なんで、怪我した一番真ん中のところからやらないの?」
「あー、いきなり一番痛いところから治療すると、いったーい‼︎ってなるでしょ?大人ならまだしも、小さい子とかは、暴れちゃうし…次回も消毒しないといけない子とかが、痛いからやらないってなるでしょ。だから、いきなり痛いのをやるんじゃなくて、痛くないところもあるよー。大丈夫だからねー、治ってきたら痛くなくなるよーって、頭に教えてあげてるの。」
とオレに丁寧に教えた後、またにこっってした。
ナーススマイルってやつも身につけていやがるっぽい。
オレも毎日このナース琴音にガチで治療してもらいたい…。
指名とかできるんかな…。
「琴音さんって…意外とそういうこともお勉強なさっておられるのですね。頭が下がります」
「ふふ、そうでしょうとも」
「はい。それで…そのナーススマイルもお勉強なさったのですか?」
「あー…うん、まぁね」
「ふーん、いいと思うよ。で、そのナーススマイルってやつさ、オレの待ち受けにしていい?」
「はぁ?そ、そんなの…恥ずかしいから無理です‼︎」
お断りされました。
ですよねー…。
仕方ありませんね。
琴音のナーススマイルは、オレの脳内でそっと大切にしておくことといたしましょうかね。
続く。




