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02:最初のお客さん。

 簡単にヤらせてくれるギャルいねぇかなぁと思ったのち、ネットサーフィンを終えて動画共有サイトをアプリで開いて日課になっているチャンネルを開けば新たな動画が投稿されていた。


 冒険者の集まりである冒険者ギルドの中で人気が高いのはどこか。間違いなく断言できるのが綺麗所が集まって強いという冒険者ギルド「虹の(ファンタスティック・)王冠(クラウン)」だ。


 そして俺はその虹の王冠のチャンネルを登録して動画や配信を楽しく見ているファンということになる。


 今日投稿されている動画は虹の王冠が冒険者としての力を存分に見せつける独自の企画である「超次元鬼ごっこ」だった。


 メンバーはスキルを持つことが当たり前でそのスキルを駆使して鬼ごっこをしているわけだ。


 すげぇって見ているわけではない。まあ戦いの初心者である俺からすれば動きはすごいなとは思うけどそんなものよりも見るものがある。


「ぐへへへへへ……」


 虹の王冠のメンバーは女性率が高いわけだからその女性が動きを激しくしているわけだからそれはものすごいことになっている。


 揺れるおっぱい! ムッチリとした素足! プルンとしたデカ尻! 何もかも最高だ! さっき抜いたのに溜まっていくのを感じるなぁ!


 ハァ……虹の王冠に入れたらバラ色だろうなぁ……俺スキルをかなり出せるしスキルも進化したスキルを持っている。だから強さの面では合格だとは思う! それ以外はダメだけどね。


 面はいいわけではないし何よりこの中に入って上手くできるかなんて聞かれてできるわけがないんだよ。できてたらこんなことで悩まないだろ。


 そもそもスキルボールはあまり出ないのにこの人たちはどうやってこんなにもスキルを充実させているのだろうか。個人だろ。


 もしかしたら俺みたいなスキルボールを出せる人がいるのかもしれない。


 ハァ、俺は全くつながりがないからこうしてネットで待つことしかできない。買ってくれる人出て来てくれぇ……。


 虹の王冠の動画を超次元鬼ごっこを見終わってからSNSで何度も何度も更新している時にダイレクトメッセージが届いた。


「うおっ!?」


 まさかと思ってすぐにダイレクトメッセージを見ればそのまさかであった。


『スキルボールの「超打撃」を買いたいです。三百万円でいいんですよね?』

「おっ……おぉ……っ!」


 ついに来たことに俺はドキドキが止まらず顔がにやけてしまう。


 どんな人が言ってきたのか気になってアカウントを見れば「月光」という名前だけ登録されていて自己紹介の文も一切ない。捨て垢なのか。


 一瞬だけ大丈夫かと思ったが、詐欺のような販売価格を騙そうとするわけないよな……? てかお金がほしいから少しでも可能性があるのなら行くしかない。


 ☆


 落札者さんが指定してきた日時は落札した次の日、今日の十七時だった。


 俺も学校があったからそちらの方が都合が良かった。さらに指定してきた場所も近くのカラオケボックスで意外にも近所の人なのかもしれない。


「ふぅ……」


 メッセージが来た時からドキドキが止まらない。だがここで臆するわけにもいかず落札者さんが送ってきてくれた号室に向かう。


 さすがに惨状にならないよな……?


「よし」


 意を決して指定された号室に入る。


「どーも」


 室内に入ればスマホをいじっている見覚えのある人がいた。


「キミがハルマさん?」

「あっ、うん……」


 スカートで足をくみながら座っているためギリギリまできれいな太ももに目をひかれるが、着崩した制服から見える谷間やらお腹が眩しい若干金髪に染めている黒髪をポニーテールにしているギャルな女の子。


 俺はこの女の子を知っている。何せ勘違いしたことは数知れず、何度もおかずにさせてもらっているクラスメイトなのだから。


 月下みこ。トップカーストのギャルだ。


「年上かと思ったら同い年なんだねー」


 あっ、これは同じクラスなのに気づかれてないパターンだ。スンッてなったけどまあこれはこれでいいか。


 制服から着替えておいてよかったぁ……べ、べつに話しかけられることが増えるから安心しているわけじゃないからね!


「まあそうですね……」

「なんで敬語? ため口でいいよー」

「なんでですかねー……」


 あぁ……相手がギャルだと思っていなかったから心構えができていない……いや、こうしてつながりができてチャンスが来るかもしれない。頑張らねば。


「それよりさ、スキルボール持ってるんだよね?」

「もちろん持ってますよ」


 とにもかくにもここは売買の場だ。バックから取り出すフリをして「超打撃」のスキルボールをアイテムボックスから取り出して月下さんに分かるように手のひらに置いて見せる。


「ほ、本当だ……!」

「鑑定もしてますので」

「鑑定のスキルを持ってんの!? すごっ!」

「そ、そうですか……」


 テレテレ。


「あの、そっちもお金は……」

「もちろん持ってきてる! って言いたいんだけどさー……相談なんだけど、支払い方法を変えてくれない?」

「どういうことですか?」

「嫌ならもちろん今回のこれはなかったことにしてもらっていいんだけどね……その、分割払いにしてくれないかなーって」

「いいですよ」

「即答!? でもうれしー! ありがとね!」


 俺からすればここで断るという選択肢はない。


 ダンジョンに行くためにはお金が必要だし少しでもお金が欲しい。そして俺のスキルボールは売れていないから少しでも売っておきたい。何より俺にとってはゴミスキルだから三百万円すべて払ってくれなくてもまあいいかなという認識だ。


 何より月下さんと関係が続くのならいいかなぁって。


「あたし的にはまず月三万円で払っていけたらいいなと思ってる」

「何年払いのつもりですか」


 三年くらい払い続けるのか? それはそれで俺はいいんだが……。


「まずはだよ。その超打撃を使ってダンジョンに行けば目途が立つと思う!」


 それまた随分と希望的観測だ。


「お金を貯めてから買おうとは思わなかったんですか?」


 分割払いができるのならスキルボールを貰ってからダンジョンに行った方がまあ稼げるだろう。でも出品者がそれをしてくれるとは限らない。


「まあそうだよねー……でも、あたしの家って貧乏でね。お父さんがいい意味でも悪い意味でもいい人で連帯保証人になってかなりの借金もある。それに妹と弟も四人いる。そんな状況だからお金を貯める余裕がないんだよねー。だからスキルボールを買って早くお金を貯めたいってわけ」

「それは……」


 ……何だか申し訳なくなってきた。今までは陰キャに優しいギャルだけど心のどこかでは色々と経験しているギャルなんだろうなと思っていた。


 でも今の話を聞く限りはかなり苦労しているように聞こえる。そう言えばそういう節がちょくちょく見えていた気がする。


 例えば休日に見かけた時でも一緒にいる女の子は可愛い私服なのに制服だったり、昼食も友達に分けてもらっていたりとしていたな。


「あっ、同情してほしいとかではないからね。しっかりと三百万円は払うから!」


 うーん……頑張りすぎて倒れてもらっても困るしダンジョンでへまをしないとも限らない。


 もし月下さんが死んだとしたら……それは困るな。お金の問題とかではない。ゴミスキルだから一つや二つなくなっても何も気にならない。


 だけど……女の子がいなくなる……? 非モテ男にとっては死活問題だろ!?


「まず前払いで十万円渡して。それからあたしの学生証と保険証。写真撮っていいよ」

「あ、あぁ」


 同い年だというのにこうしてテキパキとやっているのが大人に見える。


 俺は言われるがままに十万円を受け取って学生証と保険証の写真を撮った。


「じゃあ……どうぞ」

「うん、貰うね」


 俺からスキルボールを受け取った月下さんはすぐに超打撃を習得した。


「……ホントに超打撃だ!」

「そうですよ」

「疑っていたわけじゃないけどホントに鑑定を持ってるんだーって!」


 鑑定もレアスキルみたいだしな。腐るほどあるけど。


「月下さん。これもサービスしておきますよ」


 バックから取り出したのは「硬化」と「超再生」のスキルボール。その二つを月下さんに差し出す。


「えっ……そ、そんなにお金持ってないよ……?」

「タダでいいですよ。硬化と超再生のスキルボールですから超打撃と相性がいいはずです」


 俺がそうだからな。まあもうすでにこのスキルたちは昇華してしまっているけど。


「た、タダより高いものなんてないんだからいらない!」

「いやいや。それでお金が回収できなかったらこっちが損するだけですよ!」

「ならお金払うから!」

「三百万円でキツキツなんですから無理に決まってるでしょ!」

「絶対に払うから!」

「じゃあ硬化と超再生は一万円でいいですから!」

「そんなのダメに決まってるじゃん! スキルボールがそんな安くなっていいわけがないんだから!」


 くそっ、変なところで頑固だなこのギャルは。いや、三百万円×3になったとしても俺に何も影響は出ない。


 でも月下さんの家計がいつまで経っても裕福にならないのなら俺の良心が痛むわけだ。それに月下さんが無事なら俺にもワンチャンあるかもしれないんだ!


「絶対に九百万円は払う。ここは譲れないから」

「まあ……分かりました」


 もうどうしようもないから月下さんの言うことに従うことにした。


「でも九百万円かー……払える気がしないなぁ」

「ですよね」

「うーん……お金以外に困っていることない? あたしが何かして少しでも返せるようにしたいけど……」


 ナニカして!? そ、それはエッチなことでもいいんですか!?


「ねぇ、さっきから見過ぎなんだけど」

「失礼しましたぁ!」


 こんな正面から女性に見られることがなかったから舐め回すかのような視線がバレてしまった。


「言っとくけど、そういうことはしないからね」

「い、いや……頼むつもりもなかったですから……」


 ウソだけどね。正直に話したら死んでしまうぞ。


「ま、まぁ」


 上ずった声で口を開く。


「俺も特に思いつかないのでまた後日と言うことで……」

「そうしよっか。連絡先を交換しないと」


 月下さんと連絡交換してその日はお開きとなった。お金が用意できたらまた連絡すると言われた。


 ハァ……月下さんって簡単にやらせてくれるギャルじゃなかったんだ……チャンスだと思ったのになぁ。

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