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FPSゲーマーの転生先なんて決まってる!~ストーリーモードなんて覚えてる訳ない~  作者: 栗飯


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98.詐欺

壁から顔出した兵士が額を撃ち抜かれ、倒れる。


この世界のシールドは兵士の任意発動だ。シールドを張っていないと、頭部を撃たれれば終わりである。しかし、シールドを張っていると、魔力を消費し続ける。一般的な兵士達は危険だと感じた時にシールドを使うのが常であった。


先程、撃ち抜かれた兵士も、顔を出した際は基本通りにシールドを張っている。では、なぜ撃ち抜かれたか。

……単純に強度が足りなかったた。一口にシールドと言っても魔力量やガーディアンのような特殊な者まで個人差がある。ゲームで言うシールドやアーマーのゲージ量と同じだ。


「敵観測手、キル」

狙撃を行ったシアが報告する。

「こちらも確認した。装甲車前進!残り1つだ、より一層抵抗が激しくなる!注意しろ!」

「はいっ!」


レーダーを詰んだ装甲車の護衛をしながら進むのはシアやイーノスと言った後方支援の適正が高い者たちである。そのシア達に置いても、中央戦線はノードの街を目前に迫っていた。それに対してルンドバード軍は、中央の進撃により左右の戦線も後退せざる負えず、そちらも残り2層まで攻め込んでいた。

ネームドの欠けたルンドバード軍は後手にまわり続け、戦局を変えることができないでいる。


その原因となっているのはレッド部隊。特務機関においてエース部隊に付けられる名称だ。その名に恥じず、アルステリア軍で最も攻め込んでおり、既にノード内部にいた。


「それで、作戦本部は?指揮官はどこにいる?」

「……知らねぇ」

アランの質問に、捕縛されたルンドバード軍の兵士は質問したアランを睨みつけている。

リリーナ達はノードの街に入ったはいいが、アルステリアの領地であった頃と5年で様変わりしていたことに驚く。簡単に言えば活気がなく、どことなく空気が重い。住民達は戦闘が行われているため室内に入っていると思われ、閑散としていた。

そんな折、とりあえず近くで見つけた兵士を背後から襲い、捕まえたため、近くの民家の車庫に連れ込み尋問している。


「お前の口を割らせる方法は色々とあるんだぞ?」

アランはバンドガンのチラつかせ脅している。だが、覚悟が決まっている、敵兵士は屈しない。


「……ふん。俺が死んでも今にお前たちは、殺される。今に見てイ゛っ!?」

リリーナはいきなり敵兵の後頭部を、ハンドガンのグリップでぶん殴った。

「「えっ?」」

打ち合わせした訳でもないのでアランもショーンもびっくりしている。


「今のうちに隠れましょう。コイツが起きたら多分情報を持ち帰るために軍関係のどこか行くんじゃないですかね?」

「…なる、ほど。泳がせる作戦か」

「そうです」

そう言うリリーナはニヤリと笑う。

「それなら了解だ。じゃあ、移動するか」


リリーナ達は少し離れた住宅に隠れて様子を伺っていた。リリーナのレッドアイにかかれば、監視は簡単だ。特に周辺に生きている敵が()()()()()状況なら、捉えた敵兵は簡単に追えるのだ。だが誤算がひとつ……


「あっれー、まだ起きないですね……」

「殺したんじゃないだろうな?」

「そんなに強くやってないですよ。よく見てくださいよ、こんなにか弱い女の子なんですよ?この中で1番小さいんですよ?」


リリーナに言われ、ショーンは周囲を見渡す。

アランとショーンは鍛え抜かれた兵士、上には上がいるとはいえ、ここにいるメンバーでは確実にガタイがいい。シンディとクレアは身長があり、スタイルがいい。リンゼに至っては身長だけでなく、アランやショーンに引けを取らない筋肉質な身体をしている。

残すはマリアとローズ。彼女たちも鍛えているが身長はそこまで高くはない。160cm前後である。アランやショーンに比べれば非力に見える。

さて、問題のリリーナだが、本人は150cmあると言っているが、実際はギリギリ届いていない。150cmあったとしてもマリアとローズに比べれば低いことには変わりはなかった。そして、見た目も筋骨隆々ではない。どう見ても見た目は少女のそれである。


全員を見渡したショーンは言い返せないことを悟り、やれやれと頭を抱える。

「お前のそれは詐欺だぞ?」

「え!?なんでですか!明るく元気な女の子!みんな好きでしょうが!」

「笑いながら敵陣に突っ込むのは、明るく元気と表現しないんだよ!」

「くっ……やりますね。それはちょっと私も自覚はありますよ」

「それは良かった。リリーナにも普通の感性が備わっているようで」

「あっ!?アイツまだ起きてないのにっ!」

「どうした!?」

「敵の部隊が多分私達探しに来たようです」

「多いの?」

クレアが戦闘かと確認する。

「まぁ、あのくらいなら潰しましょうか。あ、第4師団の皆さんはここで援護してください」


「「「はいッ」」」

疲労を考慮して第4師団の3人にはここにいてもらう。3人もそれが分かっており、素直に従う。

「じゃ、私達は行きましょう」

「「「了解」」」「あいよっ」



レッド部隊の面々を見送る彼女たち。見えなくなると、自然とため息がでる。

「…ふぅ。……ショーンさんの言う通りだ。あれは詐欺だよ」

リンゼが呟く。

「……隻眼の死神とは上手く言ったものです。敵から見たらどう見ても死神ですよ。アレは……」

彼女たちたちは、本人がいなくなり、ずっと喉まででかかっていた言葉を発露する。


「……戦闘中のリリーちゃんは、怖いです」

「私もだよ。クレアさんがああ言う訳だ。ギャップの時に見たはずなんだがな……

ふふっ、疑ってた訳じゃないが、ローズに聞いた話は全部本当のようだ」

リンゼの常識が崩れ去り、もはや笑いが込み上げている。

その時、窓から外を確認していたマリアが通っていく敵兵を目視で発見する。

「っと。……私はあの人数を、あんな簡単に潰しときましょうとか、言えないですね」

マリアが息を飲む。見えただけで20人規模の敵兵であったのだった。


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