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FPSゲーマーの転生先なんて決まってる!  作者: 栗飯


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94.それは心配?

奪還のため攻め込んでいた、アルステリア軍はギャップによる戦線崩壊を契機に築いた塹壕の最終ラインまで押し戻されてしまっていた。しかし、押し返した側のルンドバード軍の雰囲気は決して良いものとは言えなかった。


「まだ、連絡は付かないのか!?」

「はい、何度もやってはいますが、未だ反応ありません!」

「クソッ、強いだけが取り柄の癖に何をやってるんだ!あの女ッ!」


ルンドバード軍、ノード指揮官であるエドマンドが叫ぶ。昨日からギャップとの連絡が取れないためだ。

「ガーディアンは馬鹿だが、命令には素直で使いやすかったんだがな……

ギャップ付きの兵士とも連絡が取れないんだったな?」

「はい、そうです」

(いや、まさか…な……、それだけは有り得ない。あの女は幼少から殺しのために訓練を積まれたバケモンだ。同じネームドでもガーディアンと格が違う……何が起きてる?)


確かに昨日はアルステリア軍を攻め返す程の進軍をしたが、それはネームドの活躍があったからこそである。

それ以前の戦闘は拮抗していたが、昨日のギャップによる敵の被害と敵の増援。エドマンドは試算する。

「昨日の北への増援、おそらくアルステリアの特務機関とか言うエリート部隊だ」

「敵増援部隊は昨日、南に合流したようですね」

「それさえなければ昨日で南は突破できたんだがな。我々の人的被害に比べれば向こうはかなり痛手を負ったはず。ネームドをかいた状態でエリート部隊にどこまで出来るかだな」


「ノウレアの味方が来ればこんな事には……」

副官が嘆く。

「悔やんでもしょうがない。今、出来ることを考えろ!」

「す、すみません!」

(とは言っても俺もそれは思う。ノウレアにはかなりの規模の軍がいたはず。戦力差は明らかだったはずだ。それを押し返したっていう新兵器はノウレアに健在なのが救いだ。ノウレアがより強固になった以上、ルンドバード軍全体としては兵站を分断してじわじわ攻略するのがベスト。となるとノードは重要拠点だ)

「ガーディアンをやったのは、ノウレアにいたっていう隻眼の死神ではないんだな?」

「はい、特徴が一致しません。状況を鑑みるにエリート部隊にやられたと思われます」

「面倒なのがいるな……防衛線を広げ過ぎるな。第5塹壕群にはトラップを仕掛けて、第4まで兵を下げろ。敵の入る隙間を作るな」

「はっ!!」

「守りきるぞ!!」


______________


ノードに駐在している、ルンドバード軍約3000に対し、奪還したいアルステリア軍は約2000人であった。基本的にノードにおける防衛戦は防衛側が有利である。ノードにはノウレア程の強固な防壁はないが、ノウレアが若干周囲よりも高い丘の上であるため、周囲の塹壕がしっかりと機能しているのだ。


対するアルステリア軍は中央、左翼、右翼と大きく3つに隊を分けた。左翼と右翼は約800人ずつのトニー率いる第3師団、中央は特務機関50人とリンゼ率いる第4師団約400人での交戦になる。


「ムリですよ!私この規模の軍略はやったことないですから。直接出ますから」

「そ、そうか!?リリーならやれそうだと思うのだが……」

フリードは晴れて特務機関へと入隊したリリーナに総指揮をやってもらおうとしていた。


「そうゆうのは、フリードさんの仕事です。あ、参謀本部ですかね?」

「そうですね。我々と指揮官で相互に連携して行うのが通常の状態です」

「ほらー!私は現場分隊長くらいの感じですよ(ゲームでもそうだったし)」


リリーナはそこでニヤリと笑う。前世のゲーム、みんなで騒ぎながらやった記憶を思い出していた。

「……その代わり、私のいる戦場は勝たせてあげますよ」

何度も(ゲームで)戦った経験からくるその言葉は妙に説得力を帯びていた。しかし、その顔は周囲には少し違う方向で捉えられる。現場で暴れたいのだと……


「私も同行させて貰えないか?」

リンゼ師団長が申し出る。

「私とマリアとローズ、3名なら君たちに迷惑は掛けない」

「リンゼ、今回リリーナの分隊はシンディさん、クレアさん、ショーンさんに俺を入れて、レッド部隊となる。意味は分かるな?」

アランはリンゼに釘を刺す。エリート部隊である特務機関でも上位メンバーで固めた分隊。


特務機関の若きエースであるアラン。

近接戦闘の天才シンディ。

ネームド【絶命】であるショーン。

もはや伝説となっている初代レッド部隊、最強の土魔導師のクレア。


それはアルステリア軍全体で見ても、最上級の部隊であった。


「……分かっている。だからこそなんだ」

「何を揉めているんです?」

リリーナも2人の会話に興味を持つ。

「リリーナ、俺たちはこれから最も危険な所に行くわけだ」

「はい、そうですね」


ショーンがリリーナに説明を入れ始めるが、コソコソしているようで、別に声は小さくなかった。


「アランとリンゼは同期だ。アランはリンゼが心配なんだよ。クククッ」

最後には笑いを堪えきれずに笑っていた。リリーナもあぁと何かに気が付いたようにニヤリとアランを見つめる。その目はやたら優しかった。


「ちょっと!ショーンさん!余計な事考えてますね!?」

「ククッ、まぁまぁ。だがな、アラン。リンゼは自分達に必要だと判断したんだろ?なら俺たちがなにか言ったって無駄だ。覚悟だけ確認すれば十分だ」

「はい…今回、ネームドと戦って思い知りました。私は……、私達は現状で満足してはいけません。そのために、皆さんの戦い方を見ておきたいのです!」


「分かりましたよ。でも、決めるのは分隊長のリリーナですからね?」

アランは降参とばかりに、手をあげ、最終決定をリリーナに振る。

「一緒に行動したいってことですよね?」

「そうだ」

「分かりました。ただ、遅れてもフォロー出来るか分からないので、一緒に来るのであればそのつもりでついて来てください」

「ッ!?」

その言い分に何か言いたげなマリアだったが、リンゼに制されて踏みとどまる。


「分かった。もしもの時は置いていってくれて構わない。作戦を優先してくれ」

リンゼ達第3師団3名の同行が決まった。

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