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FPSゲーマーの転生先なんて決まってる!  作者: 栗飯


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90.九死に一生

アランが空中に放り出される。

「チッ…」

リリーナはギャップ(カーラ)に限界まで銃弾を叩き込みながら、身体は既にアランの方を向いていた。カーラ自身は窓へ逃げる。()()()張ったシールドが砕かれ、数発の弾丸を貰いながらだが、カーラは窓に落ちていく。


「アランさん!!」

リリーナはカーラから視線を切り、ダッシュでアランの落下地点に走る。

「私の影に!!」

「ッ!!」

アランの能力は影から影へ移動する。その際、影に潜り、別の影から出てくるものだ。また、距離が近い事が功を奏した。アランが地面に叩き付けられる寸前、走ったリリーナの影がアランの落下地点へ重なり、アランはリリーナの影にダイブする。そのまま、最初にここに到着した時に使った木の影から出現することに成功した。


「ッー!!し、死ぬかと思った……」

アランの心臓は緊張で鼓動が早くなっていた。

「危なかったですね」

「ありがとう!」

アランはテンションのままに、リリーナへハグする。アランのこういった所が女性受けが良かったりするのだが、リリーナは中身がアレなので全く動じない。イケメンだろうと、実にフラットである。


「よしよし、もう大丈夫ですよ」

冗談も言えるのだ。

しかし、傍から見ると、長身イケメンが少女によしよしされている、なかなかヤバめな光景であった。




________________



リリーナから逃げ出したカーラは全力で移動していた。窓を連立し、次々と移動する。初めて敵から逃げ出すという事態に、カーラは痛みと悔しさと怖さがごちゃ混ぜとなり、泣いていた。

「はァ、はァ……なんだよアイツぅ!?はァ、はァ、……グズッ……痛ぃ……」


カーラが逃げる方向はノードではなく、本国ルンドバードの方向である。さすがのリリーナもカーラに逃げの一手を決め込まれると追いつくことは出来ない。

それでもカーラは得体の知れない恐怖心から足を止めない。撃たれた腹部を抑えながら、逃げ続けた。


「絶対許さない……」



______________




時刻は19時を過ぎ、あたりはちょうど暗くなった頃。アルステリア軍第3、4師団の被害が大きく、特務機関はガーディアン討伐後に南の戦場へノードを迂回して南下。ノード奪還作戦本部に到着した。

代表としてフリードさんとクレアさんを第3師団の副官であるトムさんが連れてくる。私とアランさんもちょうどこちらの撤退と最終防衛ラインを確認して戻ってきた所だった。


「お、クレアさん問題なかったですか?」

「ええ、みんな無事よ」

「それは良かった」

「アラン、リリーと一緒はどうだった?」

「はは……リリーナはもう命の恩人にランクアップしました」

アランさんは乾いた笑いを浮かべている。さっきの落下の話だろう。

「ふっ……そうだろう。うちのリリーは凄いんだ」


フリードさんが古参みたいなムーブをカマしている。アンタまだ会ってから1週間も経ってないからな。


「フリードさん来るの遅いですよ」

何となくイラッとしたのでちょっかいを出してみる。

「ッ!?すまない。道が分断されていて、手間取ってしまったんだ」

なにやら丁重にそんなことを言われたら何も言い返せない。

「まぁ、それならしょうがないですか……」

とりあえず、同意しておく。トムさんがなにやらギョッとしている。すいません、大丈夫です。ちょっと弄ってやろうとして失敗しただけです。

あ、今、クレアさんが後ろでニヤついていたのは見えた。クレアさんにはバレたようだ。


「トムさん師団長の所に……」

「あッ!こちらです!」

アランさんが話を戻してくれる。できる人だ。そのまま頑張って欲しい。

作戦本部内のここは医療テント、区画分けされたここはベッドが4つ並んでいた。

手前から右腕欠損、両足損傷、両足損傷、両足損傷……パッと見ただけで酷い状態だ。これ全部ギャップの仕業か。


「フリード!すまんな、良く来てくれた!」

「トニーさんお久しぶりです。元気…とは言い難いですね、腹部も撃たれたんですか?」

このおっちゃんはトニーさんと言うらしい。治療のため軍服を着ていないので、階級が分からん。フリードさんの感じ、多分、偉いんだろう。


「なぁに、戦場じゃよくある事だ。俺よりも、リンゼ達の方が酷い。彼女達はまだまだこれからだと言うのに……」

トニーさんの言葉に釣られ隣のベッドを見る。

「お初にお目にかかります。第4師団長のリンゼ・と申します。この度は援軍感謝致します」

頭を下げ、丁寧に紡がれた言葉の裏に、相当の痛みが走っているはずだ。それだけの傷、鎮痛剤をしていても、痛むだろう。

「もういい、動くな、そのままで!」

隣のベッドの女性も動こうとしていたのでフリードさんが静止する。どう考えて痛いだろう。フリードさんへの挨拶なんて適当でいいんだよ。


「特務機関、現場総指揮官のフリード・マーカムだ。リンゼ殿達は横になったままでいいから、このまま今後打ち合わせを行いたいが宜しいか?」

「お気遣い感謝します。お話は出来ますので、問題ありません」

「では、まず状況を確認したい。ノード南の戦況はどうなっているか分かりますか?」


私も見たから分かる。状況は芳しくない。

少しでも面白いと思って頂けれれば、

ブックマークやいいね評価等して頂けると、モチベーションも上がって非常に嬉しいです!

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