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8.ネームド

「なに!このイーノス・ストゥーキーを知らないだと!

ならば覚えておけ!我がこれから最強となる男!ストゥーキー家の長男、イーノスだ!」



随分濃いやつが入ってきた。

名乗りで分かったことがほとんど名前しかない。ストゥーキー家って有名なのか?


「あ、皆さん、私はロブ・フリップです。イーノスさんは自信過剰で見栄っ張りなだけなので、あんまり気にしなくて大丈夫です」


ロブとか言う、ショートヘアがイーノスの後ろから出てきて話す。

最初は取り巻きなのかと思ったらそうでも無さそうだ。扱いがなんというか…雑だ。

まぁ、よく言えば仲がいいってことなんだろうが。


「うむうむ、おっと、席は……、決まっているのか」


イーノス達に気を取られていたが、黒板には誰がどの席か記載されたプリントが掲示されていた。


私は…、窓際の1番前か……

そして私の隣がシアか。あいうえお順とかでは無さそうだ。


うわっ、イーノスが私の後ろの席だ。めんどくさそう。


それにしてもこの国、アルステリア帝国は王以外には貴族というものはなかったはずだ。王の絶対君主、そして、次に議会が物事を決める事になっている。

王家以外は家督を継ぐなどといった制度ではないが、イーノスはほんとに何者なのだろう…



程なくして時間となり、担任と思われる先生がやってくる。

担任は正規軍の軍服を着ている女性だ。

ショートカットで、背はそんなに高くないが、キリッとした表情をしており、なんというか…圧がある。


「さて諸君、私が諸君らの担任となる、シンディ・レイン中佐だ。軍部ではあるが、学校内では先生で構わない。

君たちはこれからのアルテリア帝国を守っていく人材だ。それぞれ想いがあるだろうが、是非とも励んでほしい。


さっそくだが、この後入学式を行うため、直ぐに移動する。2列で私に続いてくるように」



真面目な先生といった印象だな。

さすがに狭き門である軍学校だけあって、歳の割に私語や騒ぐ子はいない。

血統スキルを持つ家系は往々にして、軍部に準ずる家系が多い。みんな規律を教えられているのだろう。

魔術師適正はそうでもないはずだが、空気に飲まれてるって感じか?




滞りなく入学式が始まった。

凄いな。軍事学校なだけあって、上級生は筋肉質な体つきをしている。

全員が引き締まり、運動能力が高そうだ。

私もあんな感じになるのかな。


「…ノーステリア軍学校統括、テレーズアルノー様よりご挨拶を頂戴致します」


そんな事を考えているうち、統括挨拶となった。

校長と同じ感じのようだ。挨拶も校長と同じで長いんだろうか。



「諸君、まずは入学おめでとう。私は特務機関長官であり、このノーステリア軍学校の統括も行っているのテレーズ・アルノーだ。


この学校は諸君らを立派な兵士に、即戦力にする為の学校だ。後に〖二つ名持ち(ネームド)〗と呼ばれるエース級は軍学校出身のもの達がほとんどだ。


彼らは自在に自身の能力を駆使して、戦況をひっくり返すほどの戦果をあげる。まさしくエースと呼ばれるに相応しいもの達だ。


諸君もここで自身を見つめ、模索し、あらゆる状況にも対応出来るように頑張って欲しい。

全ては自身の…、ひいては国のために、自身の護りたい者のためになるだろう。


諸君らの活躍に期待する」



ふーん、二つ名持ち(ネームド)ね…


十中八九、ゲームのネームドキャラのことだろう。父さんだってゲームではレッドイーグルと呼ばれているが、本名はシルヴァン・ランドルフで別だ。


ゲーム目線で言えば、使用キャラは全てネームドだから、それ以外はモブキャラ扱いになっている。


私もモブキャラスタートってわけだ。


「続いて、ネームド【狩人】、ポール・ラードナー様より、お言葉を頂戴致します。よろしくお願い致します」


まじか!まじか!!

狩人!!やはりネームドキャラが出てくるとワクワクしてしまうのはゲーマーの血かな。


呼ばれて次に壇上に立ったのは、40歳付近だろうか。短い頭髪、体躯は決して大きくはない。が、腕は筋肉質で太い。

ブルーの瞳をしたイケてるおじさんが出てきた。


やっべー分かるー!ゲームと一緒だ。

思わず興奮してしまう。


「私がご紹介に預かりました、ポール・ラードナーです。これでもネームド、狩人を拝命しています。


私も君たちと同じようにこの軍学校で学んでいました。日々の訓練は辛く苦しい時もあるでしょう。しかし、その訓練のお陰で戦場で生き残る事ができる。


これから共に学び、共に成長してきた仲間、家族、それぞれのかけがえのないものを意識してください。


それが何よりも励みになります。


是非、ここにいる学生の中から新たなネームドの誕生をみせて頂きたい」


そこまで話すと、背中から弓を取り出す。


アレは!!


流れるように矢を番えると私達の頭上向けて打ち出した。

矢は一瞬で私達の頭上まで来るとドン!!と爆発して霧散する。

全て燃焼仕切ったのか、破片が全然落ちてこない。


彼のスペシャルスキルは着弾すると爆発する弓を使用できること。

ゲームを知っている私は余計にこのデモンストレーションは感激する。


すごい…っと思っていたら、入学式ももう終わっていた。

初日は教室で細かな説明を聞き、翌日から授業開始だ。


授業は午前中は普通の勉強だが、午後からは軍学校だからこそか、訓練となる日程。土曜日は朝から訓練で、日曜日のみ休息日となる。



勉強は25歳の知識なので余裕だが、午後は大変だった。


「さて、これより訓練を始める!」


レイン先生が訓練の教官も務めるのか。


「1年生はまず体力をつけなければならない。なぜだか分かるか?」


「はい!」

元気良く手を挙げたのは、ハーヴィンだ。


「たくさん動けるからです!」


「うん、そうだな。かなり簡単言うとそうだ。任務中に疲れて動けません。なんてことは死を覚悟しなければならない。敵に向かって行くことも、逃げる事も何も出来やしない。


全員にはっきり言っておこう!

全ての根幹は体力だ!」


「先生!魔術師は魔力があればそれでいいんじゃないないんですか?」


レイン先生は待ってましたとばかりにニヤリと笑う。


「魔術師も体力が必要なんだ。確かに魔法を使う際に使うのは魔力だ。だが、魔法を効果的に使うには体力もなければいけない。


そもそも動けない魔術師は真っ先に死ぬ。

格好の的だからな。

兎にも角にも体力という話だな」


うん、それは確かにそうだろう。絶対体力はあるに越したことはないもんな。


「そんなわけだが、君たちの年齢的にも、まだ始まったばかりということもあって手法を凝らしている。

今日から当面の間体力作りとして行うのは……


鬼ごっこだ!!」

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