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FPSゲーマーの転生先なんて決まってる!  作者: 栗飯


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81.ノードへ

リリちゃんは軍人ではない。軍学校でも、5年前から行方不明者リストに名を連ねていた。要するに一般人である。

一般人が軍の指揮を執ることは出来ない。これは帝国法で決まっている。軍部における相応の階級の者、有事は次席階級者が指揮を執ることになっている。

どうやら、ノウレア防衛の戦果がかなり評価されているようで、全てをクレアさんやフリードさんの戦果とするのが難しいようなのだ。

体裁としてはクレアさんがリリちゃんに助力要請を行った形とする方向だ。だが聞き取り調査などされれば直ぐに分かる。

リリちゃんが実質的に取り仕切っていたことが...


やり過ぎたみたい。能力が高過ぎたために、言い訳が苦しくなるなんて、リリちゃんは凄い。

でも、帝国法はヴァンリ皇帝陛下でも直ぐには変えられない。強権を使用して処分しないことは出来るが、今後も軍所属となることを考えればなるべく綺麗に納めるべきらしい。


話がややこしくなったけど、要するに特務機関じゃない他の軍部にも、食客として助力をこうに足る実力を示すことが手っ取り早いってことらしい。

リリちゃん本人の意向もありノードへと向かうことが決定した。


ノウレア防衛のために白亜三式と特務機関の約半数を残し、もう半数でノードへ行く。イエロー部隊の4人とノウレア組からはリリちゃんや先生、クレアさんにワイリーさんも一緒だ。


「リーダー、この御恩、ワシらノウレアの住民は一生忘れませんぞ!!」

「ブランドンさん、みんな……そんなに泣かなくても。また、今度は遊びに来るから!!」

「みんな待っておるからな」

「リーダァァー」「リーダー!マジでありがとうなぁ」「リーダー絶対遊びに来いよォ!」「シンディさん、僕!諦めませんからね!」「クレアさん、また飲みましょー」「ワイリー今度は漏らすなよー」「うっせー!」

ノウレアの人達とのお別れだ。みんな思い思い叫んでいる。リリちゃん達は本当に慕われ、この街を守っていたのだ。


「元気でねー!!」

手を振って応えるリリちゃんは涙をこらえていた。

「くそっ大変だったはずなのに、いざってぇと名残惜しく感じまうな」

「漏らすなよ?」

「漏らさねぇよ!鉄板ネタにしようとするな!」

「え?もうとっくにみんな知ってるよ?」

「お前が毎回話すからだろうがッ!」


私達は賑やかにノウレアを出発する。これから戦争に行くとは思えないほどのリラックスした雰囲気であった。

ノードへの移動はフリードさんが気を利かせてくれて、久しぶりに軍学校メンバーで乗ることになった。流石リリちゃんのファンである。気の回し方が凄い。


「え?じゃあ、目をやられた訳じゃないんだ!?」

「うん、結構光って目立つからね。夜とか特に...」


そういうとリリちゃんは遠い目をする。

「ふふっ」「はっはっあれは面白かった」

事情を知ってそうな先生とワイリーさんが笑っている。

「なになに?何があったの?」

「いやー、夜に遠くから私を見た子供が、紅く揺らめく目をお化けと勘違いしてね。騒ぎになったの」

「お化け嫌いのフランクさんが大騒ぎして、騒動を大きくしたからな。敵と勘違いした兵士とお化けと騒ぐ兵士で大変だった」

「それ以来、眼帯してるんだよ」


この5年私達と違うところで、色々とあったんだね。私の知らないリリちゃんのエピソードだ。それからはお互い他愛のない日常の話をしていた。まだまだ話が尽きないが、ここで一旦野営する。明日はノードへ奇襲を仕掛けるのだ。日が沈んでいるため念の火は使わない。

話たい事はあるが、翌日の戦闘に備えて寝ておく。疲労を残す訳には行かない。次はいつ寝れるかも分からないのだから。



翌日、朝早くから動き出す。

現在ノードを攻めている第3師団と第4師団だ。昨日の話だとノードの戦闘は拮抗している。それは逆を言えば攻めきれていないということ。ノード奪還には至っていないのだ。私達が到着した時も拮抗状態は続いていた。

ノードはノウレアと違い、国境付近の拠点ではなく、物資の中継地点となるような街である。このため防壁のようなものはない。しかし、防衛のために街の周囲には塹壕が大量に掘られている。合わせればかなりの距離になるだろうそれは、アルステリア軍の行く手を阻んでいた。


「特務機関全軍停止!我々は北から圧力をかける!装備を整えて集合せよ」

フリードさんから無線が入る。

ここからは分隊毎に北から攻める。事前に決められた分隊は私、先生、ロブ、イーノスとワイリーさんだ。


「……気をつけてね」


不満顔のリリちゃんが声をかけてくれる。そう、リリちゃんは留守番だ。なかなか崩せないノードを崩すために依頼した体裁で行かなければならない。そこで初めてリリちゃんの力を軍部へもはっきりと示すことができる。リリちゃんじゃなければこんな自信に満ちた作戦出来ないよ。


「うん、行ってくるね」

「リリー、いいか。今日は絶対出てきちゃダメだからな!いいな?」

先生がリリちゃんに念を押す。


「わかりました!行かないですから!」

「本当にな。頼むからな!」

「リリちゃんのためだからね!」

「え?私、どんだけ戦闘狂だと思われてるの?分かったから行かないから!」


不満そうなリリちゃんだが、言っておかないと多分出てきてしまう。ごめん。でもリリちゃんのためなの!

少しでも面白いと思って頂けれれば、

ブックマークやいいね評価等して頂けると、モチベーションも上がって非常に嬉しいです!

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