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FPSゲーマーの転生先なんて決まってる!  作者: 栗飯


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77.白亜三式

世界が白く輝いてから、遅れて衝撃波がここまで到達し、私達の肌を打ち付ける。

その後、ようやく光が収まると着弾周辺に破壊の限りを尽くしていた。着弾地点は敵軍の端、車両1台が巻き込まれただけであった。しかし、その原型が分からない程融解している。地面は抉れ、一部はガラス化していた。


「すっごい威力、アレが新兵器【白亜三式】ですか!?」

「すご……」

「俺も見るのは初めてだが...長官もとんでもない物を寄越したな。コレもひとえにリリーナの力を長官も高く評価してるからこそ、アレを派遣てくれた訳で……」

「フリードさんは着弾点の修正を指示してあげてください」

「う...はい」

フリードさんを軽く無視しつつ、私はクレアさんに疑問をぶつける。


「あの威力の割にはなんか範囲が狭い?」

正確では無いが着弾地点からだいたい100mくらいだろうか?あの威力ならもっと広範囲に影響が出ていいように思う。


「私も聞いた話だけどね。専用弾頭はわざと効果範囲を制限して、味方のいる戦場でも使用できるように改良したみたいよ。無差別な爆撃にしないようにね。ただし、効果範囲に関しては、生きとし生けるもの全てに死を与える……

そんなコンセプトで生み出されたらしいわ」


「それがアルステリア軍秘蔵の新兵器【白亜三式】……ですか...」

随分とまぁ、殺意増し増しな兵器である。

でも、めっちゃかっこいいじゃん。巨大な銃身でありながら、車両で牽引する機動力。口径はここからだと分からないけど、私が入れそうな程の大きさ、カノン砲などと呼ばれる大口径の榴弾砲のようだ。しかもあれで射角は山なりに飛ばすことも出来る迫撃砲でもあるらしい。

ロマンである。


「ちなみにリリーもよーく知ってる。マリーさんの設計が元らしいからね」

「なッ?母さんこんなの開発してたの?」

これを母さんが??

マジで何してるんですか。アルステリアの兵器開発にめちゃくちゃ関わっている。私、こんなに母さんの事知らなかったんだな。


「リリーが思っているよりも、マリーさんは凄い人だからね?」

「そういえば、母さんの仕事面は全く知らないんですよね」

「そっか……まだ、小さかったもんね。マリーさんはね。アルステリア軍研究室所属なんだけど、開発するものがどれも革命を起こすレベルの物でね。それはもう、敵国に狙われてしまうほどだったの」


「あの時も、狙いは母さんとそのパソコンでしたね……」

私と母さんが攫われ、父さんと母さんが死んだ時。奴は母さんのパソコンを狙っていた。今なら分かる。


中身は当然、兵器開発の設計図だ。


「そうなの……」

そんな話をしていると第2射が発射された。先程よりも精度の上がった一撃は確実にルンドバード軍の中央付近に吸い込まれる。その破壊力を今度はしっかりと敵軍に対して発揮する。なんの抵抗も許さないその一撃にルンドバード軍はパニック状態となる。着弾から破壊まで全てが見えるノウレアの兵士達は、そのあまりの光景に動きを止めて、ただ眺めていた。



……そりゃ、母さんが狙われるよ。こんなん作ってればこの世界に技術革新をもたらしている訳じゃん。

このゲームHoWには迫撃砲は存在しない。榴弾砲だってこんな威力の物はない。

5年前使われた【エーテルノヴァ】も【白亜三式】も元を正せば設計母さんの設計。そりゃ狙われて当然じゃんか。

ん?あれ?エーテルノヴァは敵に使われた訳で、母さんの研究が漏れた?でもあの時、パソコンは壊したって言ってた。

あの時、壊せていなかったか、既にデータはコピーされていた?もしくは、あの事件とは別にアルステリアにスパイ?裏切り者?がいて、データを盗まれたのか?可能性が多く絞り込めない。


とりあえず、母さんは凄い。それは分かった。そうだったんだ。知らなかった母さんの一面を見られて私は思わずテンションが上がってしまう。

特務機関の兵士達も慣れてきたのか、連射速度が上がる。次弾が撃たれるまで1分とない。

次々と起こる爆発をよそに私はずっと母さんを思い出していた。


前世を含めるともう何十年と経とうとしている私。たった5年しか一緒に居ないと言われればそうなのだが、毎日一緒にいて、私に愛情を向けてくれた母さんは何者にも変え難い。前世よりはっきりと記憶があるため、より強く感じる。

寂しくもあるが、もう大丈夫。私の中で両親が亡くなってしまった事実は咀嚼は出来ている...多分。

ただ懐かしい物を思い出を大切にしたい。ノーステリアに帰ったら、両親の荷物をもう一度整理しようかな。ザックさんと貸し金庫に入れてそのままだった物がたくさんある。

あの時は後回しにしちゃったけど


「さっさとやらないといけないね。となるとこっちも片付けなきゃだ」


ルンドバード軍が南下を辞め、東に撤退している。おそらく、クウィントンに行くつもりだろう。

ドォーン。今もその神の如き一撃を大地に刻む。この短時間でおそらく、敵は半数近く失ったんじゃないかな?パニックで事故ってる車もあるし。

あの援軍に状況を聞かないとだけど、こりゃそろそろノウレアともお別れかな。

少しでも面白いと思って頂けれれば、

ブックマークやいいね評価等して頂けると、モチベーションも上がって非常に嬉しいです!

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