表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
FPSゲーマーの転生先なんて決まってる!  作者: 栗飯


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

75/100

74.姉妹

戻ってきたノウレア軍はみんな至る所に怪我の痕があった。


「怪我が…みんな大丈夫ですか!?」

「なぁに、このくらい大丈夫さ!」

「さっきまでイデェイデェって言ってたじゃねぇか」


そう、1発食らっただけじゃ死ななくても、痛みはある。大人なら応急処置して安静にしてれば回復する。それでも撃たれるのはめちゃくちゃ痛い。文字通り死ぬほど痛い。


「バカッ!それは言うんじゃねぇ!」

「お前にだけいいカッコさせるかよ!シアちゃん、俺なんて今日だけで10人も倒したんだぜ」


思ったよりも元気そうに、声をかけるとみんな話しかけてくる。


「コラコラ!うちのシアにいい顔しようとしてるなぁ!?」

「リリちゃん!」「げ!?リーダー!」

リリちゃんも戻ってきた!でもその姿は

「ちょッと!?大丈夫なの!?」

顔からなにから、全身が赤黒くなっていた。


「げッ!てなんだよー。ん?あー、大丈夫!全部返り血だから」

「何故あんなに突っ込んでるのに、無傷なんだ!?」

後ろからそう言っている先生も……返り血のような痕はあるけど、服に穴空いてないので無傷っぽい。この先生も大概おかしいな。


「先生だって食らってないじゃないですか」

「そりゃ、私はリリーの後ろだったからな!」

「いや、2人ともあれだけ暴れておかしいですって」

うん、私もそう思う。近距離で勝てるビジョンが全くないし。


「んな事言われても……、でも、今日は流石に疲れたよ!昨日も夜襲したし、明日は敵さんにも動きがあるだろうからね。早くシャワー浴びて寝たい」

「うん、戻ろー!」

「警備班を残して撤収、しっかり休息とるように!」

「「「了解!」」」





ノウレア防衛戦、3日目の朝。

その日は生憎の雨だった。それでも少ない300程度のノウレア軍は少ない兵だが警戒は怠らない。リリちゃんが起きていない間は特に増員しているみたい。

兵士以外は炊き出しや洗い物など全員で手分けして行っている。今ここで人が住んでいるのは中央区のみ、昔の人口に比べ3割以下まで減っている。

陸の孤島と化したノウレアでは外敵に対して、一致団結しなくては対抗できなかったのだ。


しかし、住民の顔に悲壮感はない。

「お!?あんた一昨日きたって、子だろ!?」

中央区の城壁上から敵軍の方を確認していると、50代くらい?の男性から声をかけられる。

「そうです。分かりますか?」

「あぁ、もうすっかりみんな顔見知りだかんな。見ない顔はすぐ分かっちまう。昨日もリーダーと話してたろ!知り合いなのかい?」


リーダー、つまり、リリちゃんの事だ。

「えぇ、姉妹です!」

「なにぃ!?姉妹!?い、言われると似て……る…??」

男性は驚くと同時に困惑している。

「あ、姉妹と言っても親は違います。ご両親が亡くなったので……」

「そうか。リーダーはシルヴァンさんの娘だもんな。母も亡くしていたか……」

シルヴァンさん、レッドイーグルは英雄として有名だ。既に亡くなっていることは大勢が認知している。しかし、母親のマリーさんの方は知られていない。そもそも、両親共に殺されたあの事件は極秘だ。私だって環境が少しでも違えば知らなかっただろう。


「しかし、リーダーに家族がいて良かったよ。明るく振舞ってるが、ここに来た当初は酷い顔してたんだ」


「……昨日、リリちゃんと少し話しました。ノウレアに来る前に私のパパ。リリちゃんには第2の父ですが、リリちゃんを庇って死んだそうです」


「それは……なんと言うか…………リーダーも、君も辛い思いをしたな……」


「でも、パパらしい最後だと思います」

私は胸元にあるリリちゃんから渡された、パパのドックタグを握る。それだけで見守ってくれている気がした。

でも、リリちゃんは父を2回も目の前で失ったということ。ノウレアに着いた時はまだ日も浅かったはず。きっと、そのせいでリリちゃんのなにかが壊れてしまったのかもしれない。だから、命のやり取りをしている戦場でも必死に笑っているのかな?

正確には分からない。

けど、リリちゃんをこの戦場から遠ざけたい気持ちは強くなった。



「あ、自己紹介がまだでしたね。私、シアって言います。シア・フォーデンです」

「む?シア・フォーデン!?君が?」

「そうですけど……」

「俺はフランク・ホワイトロー、メリアの父だ!」

「えぇー!?メリアさんの!?」

メリアさんは私の1つ上の氷魔術師の先輩だ。2つ上のナンシーさんと合わせて3人氷魔術師として仲良くさせて貰っている。最近は会えてなかったけど、連絡はよく取っている学生の頃から仲良くしている先輩だ。ノウレアにお父さんがいるとは聞いていたけど、この人だったとは。


「君の話は聞いたことがあるよ!氷魔術の天才的な後輩がいるって!」

ちょっと、メリアさん。そんな事言ってたの??


「俺はここで工作兵の纏め役をしてる。なにかあったら言ってれ。力になるぞ」

「ありがとうございます。工作兵ってことは外縁区のアレも……」

「あぁ、リーダーにアレコレ言われながら爆弾を設置したよ……やっといてなんだが、凄まじいな」


外縁区の崩落。綺麗に崩壊場所と残る部分が分かれていた。計算された崩壊。凄い罠だった。


「リーダーはアレをやった時に、「人がゴミのようだ」と言ったそうだ」

「えッ!?」

「リーダーには君が必要だ。リーダーは戦いの才能があり過ぎる……

導いてやってくれ。本当に道を外れそうになった時、リーダーには君しかいないと思う」

「任せてください」


私が思っている以上にリリちゃんは深刻なのかもしれない。

少しでも面白いと思って頂けれれば、

ブックマークやいいね評価等して頂けると、モチベーションも上がって非常に嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
勘違いされてるやん!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ