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FPSゲーマーの転生先なんて決まってる!  作者: 栗飯


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56/99

55.みんなと

「……よって、ノウレア偵察は3日後の出発となります。以上が今回の任務の詳細です」


アリス秘書官から詳細を通達され、今回はこれで終わりという雰囲気が流れる。そんな折、説明を任せていた長官が口を開く。


「それとな。クウィントンへ偵察に出ていた部隊が、ザック・フォーデンの遺体を発見した……」

「ッ!!」


私は息が詰まる。

パパが死んだ……


〈すごいな!氷はそんなことも出来るのか!?〉

〈シアは自慢の娘だ!!〉

〈ハッハッハ、パパは凄いだろ!〉


パパとの思い出が一気に蘇り、目から涙が零れる。



…………正直、5年が経ってもう無理なんじゃないかと思い始めていた。


でも、改めて事実として突き付けられると……パパ……ぐずッ…………



「クウィントン西の街道沿いで、敵車両と思われる軍用車両の荷台で車ごと燃やされていたそうだ」

「車ごと?」

「あぁ、そして、ドックタグが1つしかなかったそうだ」

「1つ?誰かが取ったのか……」

「ルンドバードも流石に死者のドックタグに手を付けることはないはずだよな」


「奴らもそれだけはないだろう。

ザックの死因は背中に複数の銃弾を受けたものによるようだ。車両にも多数の弾痕が確認されている。状況的には逃げている途中で撃たれたものと思われる」


「ザックさん……」

「ザックと一緒に逃げていた誰かが火葬した?ポールかクレア?」

「分からんが、レッド部隊の生存者がいた可能性が高い」

「うむ。手放しで喜べる情報ではないがな。

私は生存者がノウレアにたどり着いいている可能性もあると考えている」


「確かに立地的にはクウィントンから西だとノウレアかノードになりますね」


「フリード、そこも念頭に置いておいてくれ」

「了解です」



________________



ロブとイーノスと共に晩御飯を食べに近くの飲食店へと足を運ぶ。

式のあと、さっきまでママにパパの報告をして泣いていたから、まだ目が腫れているだろう。

ロブとイーノスはパパのことを聞いていたからか、目の腫れには触れてこない。


「それじゃ、特務機関配属を祝って、乾杯!」

「「乾杯!」」


「くぅー、やっぱり美味い!これはすぐなくなっちまうぞ!?」

「追加頼んで置くか。おっちゃん!串盛り合わせ1つ追加してくれ」

「あいよッ」

「確かにここ美味しい」


ノーステリア基地からほど近い位置にある、焼き鳥屋さん。

塩ももちろん美味しいが、タレもまた甘みと塩味が絶妙なバランスで凄く美味しいな。


「しっかし俺達もついに特務機関に配属されたな」

「僕たちの昔からの目標だった。やったね」


ロブとイーノスは拳をぶつけ合う。

……いいな。私もリリちゃんと一緒に喜びたかったなぁ。


「シアはもう任務か。俺達は訓練らしいんだが、すげぇ評価されてるんだな」


「そうなのかな?」

「そうだよ!これからの国の方針に関わる任務だぞ。評価されてなきゃ抜擢されない」

「そうそう。能力的には僕の回復でも良かったはず。でも長官はシアを選んだ。君の力がすごいからだよ」



「……ふふっ」

思わず笑ってしまう。

「え?」

「ごめんごめん。なんか2人がやたら優しいからさ」


「ッ!?」

「えッ?そ、そんな露骨だったか?あ、いや!でも本当だぞ」

ずっと私が塞ぎ込まないように、話しかけてくれてたいたんだろう。


「ふふっ、ありがと。元気でたよ」

「そ、それなら良かった!」

ロブは恥ずかしそうにそっぽを向く。


「ほらっ、今日は飲んで食べてくれよ!」

「そうだね、食べるよ!!今日はいっぱい食べる!!」



「あー!もう飲んでるじゃんかー!?」

「本当だ!みんな久しぶりぃー!」

入口からハーヴィンとアッシュが入ってくる。


「いいじゃーん、君ら何時になるかわかんないし」

「お疲れさまです」

「おつかれー」

それに少し遅れてミシェル、ベルク、ミロと同級生みんなが集まった。

今日は私達が特務機関に配属されたお祝いとして、みんな久しぶりに集まることになった。


「ミシェルぅー、久しぶり〜!」

「シア〜!」

久しぶりにミシェルに会うことができて嬉しい。ミシェルは少し背が伸びたかな。


「シアちゃんおめでとう!特務機関目指してたもんね!」

「ありがとう、ミシェル。ミシェルも医療部隊で活躍してるって聞いたよ」

「ははッ、そんなことないよぉ」

「俺は見てたぞ!一度にたくさん担架で運ばれてきた人がいたんだが、ミシェルがその人はこっち、あの人はこっちって、テキパキ指示してたんだ」


「へぇ〜、あのミシェルがねぇ。成長したのは胸だけじゃなかったかぁ」

ミシェルの背後に周り、すかさずモミモミする。


「あっ、ちょっ…シアちゃんッ!」

「「「じー」」」

「ちょっと、男共!何見てるのよ!」


私が睨むとみんな目を逸らす。

「シアちゃんが揉むからでしょぉお」

「しょうがない。そこにミシェルがいたのだから!」

「なんでよぉ」

少し涙目のミシェル。癒される。


「ミシェルはずっとそのままでいてね」

「え?どうゆう事?」

ポカンとしたミシェル。うんうん。


「そういえば、アッシュは参謀本部に配属になったんだってな」

え?そうだったのか!


「おぉ、つい先日のことなのに、よく知ってるな!」

「ちょっとしたコネでね。凄いじゃないか」


「ありがとう。

俺はどちらかと言えば実戦派じゃくて、頭脳派よりだからね。軍学校もそれで入れたようなものだし」


「ははッ!その辺の兵士より動けるやつが頭脳派とか言ってるぅー!」


「そりゃ、一般入隊には負けられないさ!でもさ、軍学校を出て、正規軍に3年いて分かった。

軍学校出身者の能力持ち(スキルホルダー)はやばいね。特務機関じゃなくても優秀な人ばかりだ」


「それは僕も思ったよ。アッシュ、ベルク、僕は能力がない。

軍学校に一般枠で合格して、訓練したから優位になってるけど、そこから更に各属性の適合者や血統スキルを持ってる、君たちスキルホルダーは更に幅も広がるし強いもん。

そりゃ特務機関も引き抜くよ!

頭脳の参謀本部、強さの特務機関って感じだよね」


実際そうだ。私が言うのもなんだが、軍学校出身者がエリートと呼ばれるのも納得できる。やはり、年齢が同じでもそれくらいに実力差はある。

感じている。だからこその階級差なんだけどね。


「羨ましいぜ!俺ももっと力があれば!」

「いや、ハーヴィンは強いよ?ただもう少し勉強しよう」

「くッ!俺に学力があれば……」

ハーヴィンは強いんだけどね。ちょっと単純なところがあるからね。そこが長所でもあるけど。


「全部トップだったやつがいたんだけどな。会いてえなぁ」

リリちゃん……


「あいたッ」

「馬鹿野郎、空気読めよ」

ベルクが怒られている。あっ!私また顔に出てたかな!?


「だ、大丈夫!リリちゃんなら生きてる。みんなだってリリちゃんがすごいの知ってるでしょ!?」


「そうだよね。僕はリリーナが簡単にやられるとは思えない」

「俺だってそうだよ。リリーナを知らない人達に言われるけどさ。俺からしたら想像できないんだよなぁ」

「先生もマッドもジュストもさ、みんなみんな合流して生きてるって思いたいよな」


みんなそうだったんだ。みんな生きてるって信じている。リリちゃんがそう簡単に死ぬとは思えないもんね。私、こうしてみんなと話せなくて不安になってた。


「っだよ!みんななら脱出してるって。案外、ノウレアにいたりするんじゃない!?」


ロブがそう言ってこっちを向く。

ノウレアにいるかもしれない?

……確かにありえるかも!ちょっとこの任務ワクワクしてきたかも。


「え?ノウレアって?」

「「あ!」」


…………今、この店は私達で貸切だ。そんなに大きくないから、そりゃそうなんだけど、店主もいる。そもそもこの情報って言っていいんだっけ?希望的な情報だけど、多分まだダメだよね。

せめて真偽が分からないと、長官も話さないだろう。


「あー、まだこれ以上言えなかったわ」

「そ、そっか。機密か。君ら気をつけなね!」

「は、はい、気をつけます」


「おやっさんも黙っててくれるか?」

「大丈夫ですよ。ここは特務機関御用達でうってますんで!私、機密保持契約を結んでるんです」


「「「え?」」」

「そうなんすか?確かにラリー大佐に聞いて…ここに……」


「えっとねー、ほらこれ!」

店の裏に入ってすぐに戻ってきた、店主は額縁に入った書状を見せてくれる。

そこには確かにノーステリア特務機関テレーズ・アルノー長官の名前で、機密保持の契約をしていた。

この店で私達が何話しても店主さんはそのことを話すことが出来ないみたい。


「す、すげぇー」

「それは御用達になりますね」

「もう言っておきます!また来ますと!」


「飲みにくいから、機密保持契約しようって提案があったんだよ」

「すごいですね!誰が考えたんですか?」


「お、それはな、ザック・フォーデン少将だ」


「……」

なんてこった。ただの、パパの悪知恵だったとは。

「シアちゃんのパパだったとはね」

「え!?君がシア・フォーデン!?」

「あ、はいッ。シア・フォーデンです」

「そうだったのか!いやー、君のお父さんにはお世話になったんだよ」

「それはどうも。こちらこそ、父がご迷惑を、おかけして……」


「そうだ、そうだ!じゃあ、これはサービスだ」

そう言って追加で牛スジを出してくれる。

よく煮込まれていて、湯気が立ち上がっている。美味しそうだ。


「あ、ありがとうございます」

「娘がいるとは聞いていましたが、こんな綺麗な子だとはね!もっと筋肉モリモリな子を想像してたよ」


「あ、でも、シアは力めっちゃ強いっすよ!」

「おいッ!か弱い女の子に向かって何を言ってるんだッ!」

思わずロブの頭にゲンコツを食らわす。

「いってぇッ!?」

「ふははッ!でも確かシアって俺より力強くなかったか?」

笑いながらアッシュがそんなことを言ってくる。いや、そんなことはない。なかったはず。


「そ、そんなことはないって!」

「覚えてる?あの授業の時なんてさ!」


そこからもたくさん話した。軍学校時代の話や近況など。パパの話を聞いて落ち込んでいた私にはとてもいい機会となった。

パパはもう旅立ってしまったけれど、リリちゃんは生きてるはずだ。

私は強くなる。リリちゃんに会うために、隣にいるために。こうしてみんなと一緒に笑い合う場所を守るために……

※この世界は18歳からお酒を飲めます。


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