24.防衛②
ドン!!という爆発音が聞こえた。
「1階東の壁に穴が開けられた!多分ロブだ!」
「了解!ジュストはそのまま穴から来ないか警戒!ミシェルは2階に移動して合流!穴からの射線注意だよ!」
「「了解!」」
2階から今開けられたところを見てるやつを撃ちたいところだけど……
その開けられた場所の外はちょうど窓からは死角となっており確認出来ない。
今のベランダは危険だ。
仕方がない。
私も2階の階段上付近から移動する。
「ミシェル、2階についたらすぐに東窓を警戒して!」「了解です!」
1階から来ない……
ん、これは2階から来そうな予感。
「ミロは1階の援護、ベルクは地下の階段付近で警戒」
「はい!」「了解!」
「マッドはそのまま西窓付近に!異常があればすぐにに知らせて!」
「了解!」
静かな時が過ぎる。
緊迫した、神経を研ぎ澄ました状態で過ごす時間。
全ての情報を漏らすことなく感じとるために集中する。
……
カチッ
今の音はフック……、微かに壁を登っているようなラペリングの音がする。
東側はベランダになっている。音的には北側。
「マッド、西に問題なければ北窓を警戒して」
「了解!」
「ミシェルは東窓!」
「了解!」
……………
…………
…………
…来る。
ドン!!バリン!!
1階の壁を破った時と同様の爆破音が響き渡る。
壁が吹き飛び、破片が散らばる。
それと同時にからフラッシュバンも投げ込まれ、炸裂。フラッシュバンからの眩い光が点滅する。
ガシャンと音を立てて、敵が乗り込んできた。
東の窓から1人、これはミシェルが見ている。
北の窓からも1人、こっちはマッドが見ている。
そして、たった今壊れた壁から1人……
それは私の獲物。
未だ、爆発箇所からの煙が冷めやらぬ中なら、室内に1歩足を踏み入れてきた。
私は煙から1番先に出てきた足先に弾丸を浴びせる。
ダンダン!と2発撃ち込むと、
「うっ!?」
という声と共に倒れこむ人影に追加で3発。
今の私の銃は【カルカロス】。分類はアサルトライフル。カスタム製が高く、【レックス】と同様に癖が余りなく使い易い。
ゲームの性能グラフではレックスよりも若干カルカロスの方が威力が高く、その分反動が強い。
検証したけど、この世界も同様だった。
トリガーはタップ撃ち。
これで十分キル出来る。
私がこのゲームモードで最も使用頻度の高い銃でもあるし、今世でも射撃ルームで練習した。
やったのは声からしてはロブだろうね。
未だ、東側で交戦している発砲音が聞こえる。
なら…
東の窓は確かこの辺り。壁越しで発砲。ドンドンドンドンドン!
違うか…
素早くもう1箇所、2mくらい離れた位置ある北窓に向かって、発砲する。
5発。
「ミシェル、敵は?」
「あ、えっ!?き、キル確認!」
やはり、ミシェルがすぐに打ち返したために、突入した窓下あたりから余り動けずにいたようだ。
場所を少し移動しながら確認するが、
北側は……銃声が既に聞こえない。
「マッド、状況は?」
……
「マッド、聞こえたらマイクをタップして!」
……
やられたようだ。
マッドは遠距離仕様の武器だったから、室内のレンジだと不利だったか!?
もしくは……
気配を感じ、隣の部屋の出入口に照準を合わせる。
もしくは、マッドがエイムを外す程の何かがあったか。
幸い敵の情報は分かる。なんてったってクラスメイトだから。
十中八九、カンナが北窓から侵入した。
あの北側の部屋から侵入し、マッドがやられたとしたら、アクセルによる超加速でやられたに違いない。
なら、隣の部屋で決まりだ。
出入口からほんの僅かに銃口が見えた。
あの高さから行って、立ったまま構えている。
ならば自ずとこの辺りに頭があることになる。
ダンダンダンダンダンダン!!
念の為、6発横に薙ぎ払う。
ヘッドショットなら一撃で死ぬ。見えていた銃口が消え、倒れた音と共に足先が見える。
死んだふりではないか確認のため、再び壁抜きで数発撃ち込む。
……確実に倒したようだ。
やはり、カルカロスはいい。
壁越しでも十分な威力を発揮してくれる。
「2階制圧完了、マッドがやられた。残敵残り1。
ベルク、地下北側から外にでて敵を確認して!おそらく東側にいる!私も上から援護するけど、危険と判断したら下がって、無理はしなくていいから!」
「了解!」
あと一人はおそらく、アッシュだろう。
イーノスだとしたら、もう突っ込んで来るだろう。イーノスは回復血統の癖に自分から攻撃に参加しがちだ。
開けられた壁を見られている方が動きが制限されて厄介だ。アッシュはそこを見ていたんだろう。
ダダダダダダ!
発砲音がなり始めた。ベルクが交戦し始めたようだ。
すぐに私は開けられた穴からベランダにでる。すぐに林の方で発砲した際の光、マズルフラッシュを確認した。素早く狙いをつけベランダから発砲音する。
数発撃ちこんだ瞬間に
ビーーーーーー!
と試合終了のブザーが発報される。
ハッハッハッ!!
楽しいねぇ〜!
いや〜、銃が解禁されてから、全ての訓練が楽しくて仕方がない。
サバゲーやってる見たいな感じだけど、私自身の身体能力がゲーム内のように動き回れる体力がある。
なんなら身体能力はゲームだった頃より制限がない分動けるのだ。
楽しくない訳が無い。
ふひひっ!
低学年の体力基礎訓練ちゃんとやってて良かったー。辛かったもん。
装備を持って朝から晩まで走らされるのって、ヤバすぎるもんね。
「ねぇ、リリちゃん、なんでカンナがやられてるのにまた撃ったの!?」
おっと!?
死体撃ちだと思われたか!?死体撃ちは既に倒しているのに、ムカついたとかそんな理由でその死体に向かってめちゃくちゃ撃ちまくる行為だ。
ゲームだと、蘇るまでの画面で流れたりしており、やられた側も見る事がある。簡単に言えばマナーが悪い行為だ。
「壁越しで倒したから、死んだのかやられたフリなのか分かんなくてね。もう1人いることは分かってたから、危険を犯して確認には行かないで確認のために撃ったんだよ」
「なるほど!そんなこともあるんだね!」
死体撃ちされた本人もいつの間にか合流しており、特に気にした様子もなく、勉強になるねぇ〜などと言っている。
良かった。変な誤解はないようだ。
「り、リリーナ!リリーナはレッドアイを使っていなかったよな!?」
おっと?次はハーヴィンだ!
「うん、使ってないよ」
「僕も見てたけど、使っていなかった」
イーノスも来て同意する。
この2人はリスキルされて、ほとんど観戦だったから、何か文句でも言いたくなったかな?
「それならどうしてシアのいる場所がわかったんだ?リリーナの場所からは見えないし、無線を聞いてた限りじゃミシェルも位置を教えてなかったぞ!」
あー、それね。
「それは建物内に侵入されたことは分かったからね。ミシェルがそっちの窓を警戒していたから入れてもあんまり身動きとれるもんじゃない。
窓の位置は把握してたからそこから予測して撃った感じだね」
「……すげぇな」
「なるほど、そんなことも出来るんだな。ありがとう」
「まぁ、リリーだから……」
「リリちゃんだもん」
「リリーちゃんだからですね」
あれ?イチャモン的なやつではないのか。
「え、なに?その反応?」
みんなの評価がおかしい。
「いや、リリーはほら、笑いながら殺しに来るから……戦闘狂って感じ?」
「んー、笑う悪魔!?」
「……死神?でしょうか?」
うん、絶対おかしい。
「何を言ってるの!全く、こんなにもちっちゃくて可愛い私を捕まえてそんなこと言うなんて!!」
「「「イヤイヤイヤイヤ!」」」
こら!そんなに否定するなよ!
アサルトライフル【カルカロス】≒HK416
見た目などはこちらのイメージで。但し、あくまでも性能はゲーム〖Hero of War 虹色の戦争〗を元となっており、実銃とは必ずしも同じではありません。
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